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私のベースよもやまばなし

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いちベーシストとして、ベースにまつわるアレコレをゆるっと発信します。
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インナーマッスル

インナーマッスル

スムーズな関節の動作を助けてくれるインナーマッスルを鍛えると、アウターマッスルの無駄な動きを省けるから、疲れにくくなるらしい。

手のインナーマッスルを正しく鍛えたら、指も腕もスラッとして、おまけに手首の痛みや腱鞘炎の防止にもなるらしい。

手のインナーマッスルなんて考えたこともなかった。これ鍛えたら、もうちょっとスムーズに指が動くようになるだろうか。試しにしばらくのあいだエクササイズをしてみよう

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強い音

強い音

「強い音じゃないとだめだ」という。
力任せの音のことではない。ただ大きな音でもない。
自信のある音。
意志のある音。
信念のある音。
血の通った音。
「強い音」とはその存在感をいうものなのかな。

存在感のない音をたくさん並べても、いっぱい集めても「強い音」にはならない。一音一打でも「強い音」。永遠の憧れ。

樹木を担ぐ

樹木を担ぐ

言ってしまうと、私の持っているベースは決して安くはない。

安くない理由のひとつには「使用する材木の価値」がある。多くの木製楽器が貴重な地球資源を伐採して作られているのは事実だ。そんなものを買って使うなんて、と思う環境保護活動家の方もいたりするのだろうか。希少な木を音楽家の欲望のために切るなんて……などと思われたりするのだろうか。

私だって森林が猛スピードで減少していることにも、多くの樹種が存続

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キラキラ

キラキラ

2020年10月15日、「ライラ開店48周年記念日 セッション&パーティ」に足を運んだ。数字からも分かる通りの老舗ジャズバー。アクの強い名物マスターの仕切るこの店の扉をおおかた1年ぶりに開いた。キラキラと輝くトランペットの音色、キラキラと輝くウィスキーグラス、キラキラと輝く黒塗りのグランドピアノ、キラキラと輝く、この店を愛して音楽に打ち込むプレイヤーたちの表情……自分の周りの全てが輝いて見えた。こ

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豊かさの弊害

豊かさの弊害

お金を出せば大概のものが手に入るのが当たり前になると、物を限界まで使う、あるいは使い込んでそのポテンシャルを引き出すことをする前に、新たな物を投入して不満を解消しようとしがちではないだろうか。

訪れたキューバには物もお金もなかった。しかし多くのミュージシャンは私たちの感覚ではありえないようなズタボロの楽器や粗末な機材ですばらしい演奏を聞かせてくれる。彼らはそこにある物を最大限に愛し、最大限に使い

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思い描くこと

思い描くこと

 それなりの期間クラシックピアノを習っていた。家から一番近い教室という理由で通った先の先生は、音大進学の指導をするような方でなかなかに厳しかった。私はちっとも家で練習しない子で、しまいには親が怒られていた。高い月謝を払ってもらいながら大変申し訳ないとしか言いようがない。
 それはさておき。この先生がいつも熱心に指導してくださったことのうち、どんな楽器を手にした時も感謝の念が湧き起こる点が二つある。

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My first bass

My first bass

YAMAHA MB-50 大学の入学式終了後、その足で神戸三宮の楽器店へ行き、予算5万円で一式揃えたいと伝えて店員に勧めてもらったベース。身体が小さいからまずはミディアムスケールではじめてみてはどうでしょうかという提案だった。そんなちょっとばかり小振りで軽量なMB-50だったが、なぜか電池の減り方が尋常ではなく、その電池代がバカにならないという理由で、結局数ヶ月後に2本目を買ってしまった。そして弾

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セーターの毛玉だったり穴だったり

セーターの毛玉だったり穴だったり

 新型コロナウィルスの影響で、いつもとはずいぶん違った空気の春だったが、それは私たちが勝手に感じている社会の空気感でしかなく、自然の営みは今年も変わることがない。だからそれに則してやるべきことは、やはり今年も変わらない。

 晴天の多いこの時期に冬物衣類を一気に片付ける。すっかりお約束、セーターにはストラップの「アタリ」が出て、そこだけ妙に毛羽立ったり毛玉ができたり。裾を見るとパンツのリベットかベ

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弟子とはなんぞや

弟子とはなんぞや

ドラマーの友達に弟子ができたという。

ん?

彼女には何人も生徒がいる。しかし言われてみると、確かに弟子と生徒でニュアンスは異なるようにも思う。そんなわけで実際に言葉の違いを調べてみたが、それはもうとにかく人によって、業界によって、捉え方は千差万別なので、結論としてはまあ好きに使えばいいのかなというところにしか着地しない。

彼女は「弟子」は自分の代わりがある程度できる存在と位置付けているらしい

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過去を振り返ってしまった

過去を振り返ってしまった

 新たにYouTubeのチャンネルを作成し、ようやくキューバで撮ってきた動画をぼちぼちとアップし始めた。動画の編集や公開に関しては毎度行き当たりばったりなので、ちっとも知識がなく、気付けばYouTubeのアカウントが三つ…。おや、まあ。

その中には2008年に作ったチャンネルがあって、2本だけ演奏動画を上げている。うち1本は曲目がかの有名な『COPACABANA』だからなのか、今現在の再生回数が

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ギャラの思い出

ギャラの思い出

演奏で初めてギャラをいただいたときのことは今も忘れない。嬉しかったからではなく、そのときから今に至るまで、変わらず自分への戒めとして心に留めているからである。

店舗のプライベートパーティでの演奏だった。そのときのメンバーの中で私一人が突出してレベルが低いことは明らかで、帰り道でギャラを分配する際に、私は自分の取り分を減額して欲しいと申し出た。皆と同額は受け取れないと。しかし返ってきた答えはこ

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憧れのネイルアート

憧れのネイルアート

深爪にはならない程度に残しつつも、ネイルアート全盛の今、多くの女性から見たらなんともみすぼらしい指先をしている。指は太短くてどうしようもないのだが、爪の面積自体は結構大きめなので、伸ばすことができれば人前に差し出す指先はもうちょっと美しいものになるのだろうなと、せっかくの少ない見た目の長所を生かすことができないのは、やはり女としては残念なのである。諦めているからいいのだけれど、ベーシストだからこの

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ボロボロのベース

ボロボロのベース

 私の使っているベースの背面は、このように傷がついている。いわゆるバックル傷というもので、文字通りベルトのバックルによってついてしまう傷のことなのだが、この傷は私がつけたものではない。私の体格だとこの位置に傷はつかない。

このベースはレリック加工(あるいはビンテージ加工、エイジド加工)が施されている。最初から至るところ傷だらけ、金属にはサビが浮き、塗装には無数にヒビが走る。そんなもんで、よく「ビ

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打算もたまにはいいもんだ

打算もたまにはいいもんだ

 ベースを手にして随分になる。正直、なにもベースが弾きたかったわけではない。ハードロック、ヘビメタが好きなら憧れるのはやっぱりギターでしょ。ゆくゆくはレスポールカスタムで華麗に速弾きをするのだ…という女子高生は、大学で軽音楽部に入部を決めた直後にあっさりとその妄想を打ち捨てる。3年もの間妄想していたわりに案外どうでもよかったらしい。大学デビューでギターなんてやってみても、既に経験者がゴロゴロいるの

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