ビヨンセのツアー映画は、最高峰のエンタメで、号泣できる傑作。誰もが自由に生きる世界に。日本でも公開!
ビヨンセのワールドツアーが映画となって、
「Renaissance: A Film by Beyonce(ルネッサンス:ア・フィルム・バイ・ビヨンセ)」
となり、全米公開中!
日本公開は、12月21日から。
これが観たら、なんと感動と号泣の傑作だったのです。
今回のワールドツアーは、ヨーロッパと北米だけで、アジアはなかったのですが、そんなあなたもノープロブレム。
ばっちりこれでコンサートを楽しめる、どころか、なんだったらコンサート以上に感動できるのです。
ドキュメンタリー映像が加わってビハインドが観られる
わたし自身は、実際の「ルネッサンス」ワールドツアーのコンサートをフィラデルフィアで観たんですよ。
これがすばらしかった!
音楽はもちろん、巨大なステージセットもダンスも衣裳も、もう超ド級のレベチ。
今年見たコンサートのなかでも断トツにすごい内容でした。
なので、もう一度細部を見てみようと、映像になったものを、大画面のアイマックスで観に行ったのです。
そしたら予想以上に、すばらしかったのです!
まずライブでいえば、エンタメとして最高峰。
歌がうますぎる。
いや、歌手なんだから、うまくて当然だろ、とかいうレベルじゃなくて、もうすみません、参りました、ごめんなさいレベル。
アスリートでいったら「後方3回宙返り」のワザみたいなレベルで、もう声を自由自在に使って、観客を魅了するビヨさま。
それだけで充分楽しめるのですが、ノンノン、それだけでなく、映画では楽屋裏やビヨンセの子ども時代にも触れるドキュメンタリーがかなりの分量であるんですね。
そしてそこに込められたメッセージが力強いのです。
このツアーでは、人種や性別や見かけを越えて、誰もが自分を恥じることなく、自由にいられる世界を作る!
もうここから胸アツですよ。
では見所ポイントを解説していきましょう〜!
見所その①ステージがすごすぎて、もはや都市開発
すごいポイントのその1は、ステージ製作の段階から見られること。
これが大規模すぎて、ステージセットというより、ビルを建てるとか、橋をかけるとかの土木工事レベル。
「長い間、ツアーをしているけれど、これほど製作の裏方に、女性が働いているのを見たことがない」
とビヨンセが語っていて、ガテン系の現場で働く女性たちが増えているのも、燃える!
あまりに巨大なセットであるため、ある都市でコンサートをしている間に、最初の部分で使われたセットはすでに途中からつぎの公演地に向かって、先に組み立てられるそう。
衣裳も、さまざまな公演先で何バージョンもあって、それもバックダンサーやシンガーまで全部揃って着替えるのだから、莫大な数でしょう。
えー。どれだけ製作費をかけているのか!
そしてツアー参加者たちが一体となり、コミュニティを築いていく。
なかには妊娠する女性演奏者もいるんですが、ここで「妊娠したから今回は仕事をおろす」じゃなくて、だんだん大きくなるお腹を抱えてツアーをめぐるんですね。
「これはコンサートではなくて、ひとつのカルチャー」
とビヨンセが語っている通り、大人数の人が係わって、ひとつの町といっていいほどの規模でコミュニティを作り上げ、世界をまわっていく。もうアナザーレベルです。
見所その② ブルー・アイヴィーのダンス裏話が刺さる
コンサートでは、娘であるブルー・アイヴィーちゃんがダンスを披露するシーンがあるのですが、それの裏話が撮られていたのも良い!
実は11歳の子には早すぎると、ビヨンセは最初娘が出るのを禁止して、それから一回だけなら、と承知したそう。
ブルー・アイヴィーちゃんはビヨンセとジェイZの子どもであるために、生まれた時から特権階級でもあり、反対に世間から「ネポ・ベイビー」(親の七光りっ子)と叩かれやすい存在。
ビヨンセよりもジェイZに顔がそっくりであるところも、あれこれとネットで悪口をいわれやすいところ。
たぶんそれも本人はネットを見て知っているんですよね。
ネットで叩かれるわが子の気持ちを思うビヨンセや、娘のことを見守るジェイZの良いお父さんぶりも胸に来ます。
そしてブルー・アイヴィーちゃんの負けん気も、励ましてくれるまわりのダンサーたちも、胸アツ!
見所その③ビヨンセのクリエイティブにかける情熱と頑固さ
ドキュメンタリーでは、ビヨンセのクリエイティブに対する真摯な姿勢、そして頑固な態度が観られるのも面白いところ。
ビヨンセはこだわりを持っていて、自分がやりたいことを絶対に妥協しない。
これは男性がトップを占めていたアメリカのエンタメ業界で、30年以上仕事をしてきたなかでビヨンセが培ってきた「絶対に譲れない」力なんでしょうね。
ふと考えてみると、今、全米エンタメのトップを走るのが、テイラー・スウィフト、ビヨンセ、レディ・ガガ、ビリー・アイリッシュあたり。
男性シンガーはといえば、最近圧倒的な人気を誇るバッド・バニーはプエルトリコ人。
ファンダムが強いK−POPはいわずもがな韓国人。
エミネムやカニエが爆走していた時代とは違って、実は今や国籍や性別が、「アメリカの男性支配」じゃなくなって、多様に広がっているんですね。
これに気づくと、先駆者としてビヨンセが切り拓いてきた道、グラミー賞通算32冠で歴代最多受賞者という偉業を達成してきたすごさがあらためてわかります。
見所その④女性、黒人、LGBTQをエンパワー
「ルネッサンス」には、「再生」の意味がこめられているそう。
そしてこのツアーでは、人種や性別を越えて、すべての人が自由に生きられることを目指したというビヨンセ。
ダンサーたちの人種や性自認、体型もさまざまで、みんなクセが強くて、そのクセの強さが魅力になっていて、すばらしい!
ダンサーでは唯一の日本人、島津藍さんのことを書きましたが、藍さんもばっちり出てきます。
ビヨンセがこのツアーでエンパワーするのは、マイノリティといわれる人たちであり、文化。
ガールズ・パワー
ブラックピープルカルチャー
LGBTQ
ストリートカルチャー
ダイバーシティ
これをエンパワーする愛が溢れているのです。
女の子たちよ、世界を動かせと歌う「ラン・ザ・ワールド」
誰も私から力を奪えないと歌う「マイ・パワー」
ブラックの歴史を背負っていることを誇りにする「ブラック・パレード」や、自分の肌の色に満足しているという「コージー」
「ダディはアラバマ、ママはルイジアナ出身、わたしは自分の黒人っぽい鼻が好き」と歌う「フォーメイション」
ここでは誰も自分を恥じることなく、自分らしく生きられる。
自分をあるがままに認め、自分の力を信じ、否定者を打破していき、「私はユニーク」と鼓舞する歌に、気持ちも高揚しまくります。
見所その⑤ジョニーおじさんに捧げられたシーンがエモい
そしてもっともエモなポイントが、ジョニーおじさんのエピソード。
「ヒーテッド」という曲には、
「ジョニーおじさんが安いスパンデックスでドレスを作ってくれた」
という歌詞が出てくるんですが、このジョニーおじさんは、実在の人物。
親戚のジョニーおじさんはゲイで、ビヨンセとソランジュ姉妹にとても近しかった存在だったけれど、エイズで早くして亡くなったそう。
当時はデスティニーチャイルドとしてステージに立つのにも、デザイナーは服を貸してくれないし、衣裳を買うお金もない。
そこでビヨママと、おじさんが衣裳を作ってくれたそう。
ママとおじさんが手作りした衣裳で、パパがマネージャーをするという家内制手工業みたいなスタートから、世界のトップに上りつめたビヨンセ。
コンサートの観客のなかに、
「ジョニーおじさんが、あなたのことを誇りにしているよ」
と書いた応援ボードをかかげている人がいて、それを観るだけで、もうウルウル。涙が止まらないエピソードでした。
より没入するために、扇子を用意しよう
さて、このビヨさま映画、日本での公開は12月21日から。
なるべく大きな画面の映画館をお勧めします。
より楽しみたい人は、ぜひ映画館に、扇子をご持参下さい。
「ヒーテッド」という曲で、ビヨンセが「扇子を出して」という箇所があるのですが、なんと映画館劇場で扇子を広げる人がいっぱい。
いきなりバサバサ、と煽ぎ出すので、びっくりしたッス。
お立ち台かよ、という勢いでした(笑)
実際のライブトのような一体感はさすがにないけれど、反対にいえば、コンサートにつきものの、入るまでの長蛇の列、開演するまで1時間待ち、帰りの地獄などがなくて、コンサートが楽しめるんだから、お得といえば、お得。
テイラー・スウィフトのツアー映画も大ヒットしたし、これからこの形式をとるアーティストが増えるはず。
きっと「ルネッサンス」を観たら、力づけられるはず。
世界最高峰のエンタメにして、誰をもエンパワーしてくれる作品。
ぜひ体験して下さいね。
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