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「不完全」がエモい。大学生が昭和レトロブームについて考えた話。

こんにちは!どさんこ大学生RUNAです。

新しい年が始まって早1ヶ月が経とうとしています。
私は、今年もみなさんと記事を通して、ステキな交流ができればと思っています。

突然ですが、今「昭和レトロブーム」が来てるって知っていますか?

1990年代後半から2000年代に生まれた人々を指す“Z世代”が、流行の火付け役とされているブームです。これは、一時的な流行としてだけではなく、今を生きる若者の気持ちに大きく関わっていると感じることがありました。

昭和レトロブームとは?

2010年以降から、ブームになったと言われる昭和レトロ。
そもそも、どんなモノ・コトに再注目されているのでしょうか?
大学生である私の周りで流行った、3つの昭和レトロブームをご紹介します。

1つ目は、カメラです。
やはりフィルムカメラ、チェキ、使い捨てカメラの人気は絶大です。

現在、カメラの高画質化が進んでいますが、逆にフィルムカメラで撮ったような画質の荒い写真が撮れるアプリが流行っています。その他にも、写真をわざとチェキ風に加工したり、チェキをいれるトレーディングカードのケースをデコレーションしたりする人が身近に増えています。

また、わざと旅行に「写ルンです」を持って行き、限られた枚数を大切に使い、撮影時に確認できないからこそ、旅行後に再度集まって現像した写真を見るという楽しみ方をしている人も多くいました。

2つ目は、音楽です。

インターネットに繋げば、音楽だけでなく動画まで簡単に再生できる時代ですが、特に海外のアーティストがレコード版・カセット版を発売しています。

私の友達が相次いで、カセットテープの話題をし始めたのは、大人気K-POPグループのBTSが楽曲「Dynamite」のカセット版を出したことがきっかけでした。
その他にも、テイラー・スウィフト、レディー・ガガ、The 1975、ビリー・アイリッシュなど、多くの世界的なアーティストがカセットテープで新曲を発売しています。 

3つ目は、“エモい”空間です。
純喫茶、銭湯、商店街、一部テーマパーク…などがエモいと表現されます。

“エモい”とは、エモーショナルを由来とし、感情が動かされた状態を指します。

“なんとも言えない”切なさ、懐かしさ、心の揺さぶりを表現しています。分かりやすさが求められている時代に、具体的な言葉で言えないけれど、とにかく良いという感情を表す言葉が流行っているのも時代に逆行していますよね。

1980〜90年代に人気を博したキャラクター「OSAMU GOODS(オサムグッズ)」の美術展が開催された時期は、ほとんどの友達がいったのではないか?と思うほど、#エモい付きで美術展の写真が頻繁に投稿されていました

写真を手に取る時間

前出のチェキですが、みなさんはチェキをお持ちですか?
私は、持っていないのですが、チェキがとても魅力的なモノだと感じるできごとがありました。 

それは、3年前友達と出かけた時のことです。
いつもだったら、スマホで写真を撮るのが好きな友達の1人が、チェキを使って集合写真を撮ったのです。

すぐにプリントされますが、色が反映されるまでに待ち時間があります。少しずつ色が出てくるその写真は、ちょっと荒い画質にも関わらず、何か特別さを感じました。

友達と会った際にスマホで撮る写真は、それぞれが好みの加工・編集をほどこしがちです。

過去に送られてきた印象的な写真は…
雨が降っていた日の写真の背景が青空に加工されていたり、スタンプでみんなの顔をオシャレに覆っていたり、足が尋常じゃないくらい長くなっていたりしました。

その時、どんな景色でどんな表情をしていたのかが分からない…。そんな写真が加工や編集によって生み出されることもあります。

ところが、チェキの写真に触れ、また写真の余白の部分に日付やメッセージを書き合うと、今一緒にいる「その場の時間」を大切に感じることができたんです。

色が反映されるまでパタパタと写真を振りながら“待つ時間”さえも、自動で出来る現代には特別な時間です。

去年、大切な愛犬を亡くした時も手元にある写真に私は救われました。

私のスマホやパソコンの写真アルバムは、愛犬の写真がほとんどです。スマホを開ければすぐに見返せますが、あえて沢山の写真を印刷しました。なぜかデータの中に入っている写真には、温もりを感じず、そのままではいけないという気持ちにかられたのです。

私だけでなく家族全員が印刷する写真を選び、印刷した写真を手元に持ちたいという気持ちになっていました。 

この、手に取って感じられる愛犬の写真は、スマホの中の写真とは全く別モノに感じます。
うまく言葉にできませんが、印刷する写真を選ぶ時、印刷した写真が手元に届いた時、アルバムを作りながら写真に一言そえている時、その一瞬一瞬が全く異なる特別な時間でした。

ペーパーレスが必要とされる現代で、写真を印刷・現像することは、不便・非効率・アナログな行動かもしれません。しかし1枚の写真の中に、予想以上の”あたたかさ”を感じる人も私のようにいるのではないでしょうか?

なぜ「レトロ」に魅力を感じるのか?

昭和レトロブームは、単なる消費行動につながるトレンドの1つではないのかもしれません。

なぜ、スマホ1つあれば出来るような写真撮影、音楽再生のために、わざわざ使い捨てカメラ、カセットテープを使うのか。
なぜ、レトロ要素のあるキャラクターや空間にエモさを感じる人が増えているのか。 

それは、レトロやエモいに、「あたたかさ」・「不完全さ」があるからではないでしょうか? 

昭和レトロブームを巻き起こしたZ世代は、幼少期からデジタル機器に囲まれて育ってきました。手間のかかる操作がどんどん削ぎ落とされ、面倒さ・曖昧さがなくなり、分かりやすい完成されたシステムで溢れています。

このようにテクノロジーの進歩が築いた豊かで便利な社会には、不足しているものはないように思えます。
しかし、その効率的で余白のない社会が、どうも機械的で冷たく感じてしまうのです。

使い捨てカメラでフィルムを巻く音、現像した写真に触れる瞬間。
ラジカセにカセットテープを入れて、A面を聞いたら、取り出してB面を聞く動作。
少し面倒な作業、手で触れられることに「あたたかさ」を感じるんです。 

人間特有の感性は、分かりやすく理論的に説明できるモノではありません。
昭和レトロブームは、人間だからこそ生まれる“感情・情緒”を「エモい」という言葉に包み、“あたたかさ、不完全さ”という「人間らしさ」を無意識に求めた若者の気持ちから生まれたモノに思えます。

 “あたたかさ”が今こそ必要だ

これから先は、もっとテクノロジーが進化し、コロナ禍で生まれた新しい生活様式・価値観がどんどん塗り替えられていくでしょう。

今でさえ、1年ごとに驚くほど考え方・暮らしが変化しています。
2022年、2023年…と時が経つにつれて、SF映画の世界がファンタジーからリアルに移り変わり、現実の話になるかもしれません。 

新しい年の始まりではありますが、昭和レトロブームに触れたことで、人間らしさとは何かを考えることができました。

時代が変わっていっても、「あたたかさ」のある人間でいたいと感じます。
写真を切って貼り、余白に一言書いて思い出をアルバムに残したり、手書きのノートや手紙を書き続けたり、生で音楽・芸術を体験したり、喫茶店のエモい空間で友達と話に花を咲かせたりなど……。不完全で、手間のかかる作業に触れ、自分の感情を、説明できない“なんか良い”を大事にしていきたいと思います。

みなさんは昭和レトロブームから何を感じたでしょうか? 

懐かしかったり、発見があったり、少しでもあたたかい気持ちになっていただければうれしいです。

 まだまだ寒い冬だからこそ、あなたにとってのあたたかさに包まれますように!

Text by どさんこ大学生RUNA



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