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岡山で世界の光と影を読み解く3選



 中国 光と影編、2件目は岡山である。岡山と言えば"晴れの国"である。降水量1mm以上の日数が全国最小で、全国1位と2位の規模のメガソーラーが岡山にある。

 最初、3選は大雑把なテーマで決めた。調べていく内に人工照明についてもっと深堀りしたくなり、後半のエッセイを書いた。最後までお付き合い頂けるとありがたい。






①しろちか多肉植物園



 岡山城下の地下広場にある小さな多肉植物園。元々、太陽光を集光器で集めて光ファイバーで地下に照射していたが、2019年頃から壊れており、現在はLEDの光を植物に当てて育てているらしい。





②瀬戸内Kirei太陽光発電所



 瀬戸内市の牛窓の塩田跡地に造られたメガソーラーで、235MWと日本で2位の規模を誇る。1位は同じく岡山県の美作市にある260MWのメガソーラーだが、牛窓の方が見た目が分かりやすいのでこちらを採用することにした。牛窓は日本のエーゲ海とも言われ、牛窓神社から階段を下りた先にある砂浜の散歩が心地よかったのを覚えている。





③美星町(びせいちょう)




 1989年に日本で初めて光害(ひかりがい)防止条例を制定した井原市の町である。光害とは人工的な光によって生じる天体観測や生態系への悪影響のことである。屋外照明は午後10時以降の消灯を推奨、水平以上に光が漏れないようにすること、また、オレンジ色の電球色にすることが義務づけられている。電球色(オレンジ色)なのは、昆虫が紫外線に寄る習性を持つため、紫外線が含まれない電球色を採用している。

 2021年、国際ダークスカイ協会により日本で3番目の星空保護区に認定されている。国際ダークスカイ協会は名前からして悪の組織を想起させるが、世界の天文学者や環境学者を中心に公害問題に取り組んでいる、普通に善の組織である(そもそもこんな名前の悪の組織が現実にいたら怖すぎるけど)。




 





 人類が火を使った最も古い証拠はイスラエルにある約79万年前の遺跡ゲシャー・ベネット・ヤコブ(Gesher Benot Ya'aqov)にあり、炭化した植物と焼けた石器が並んでいるのが発見された。

 紀元前3000年頃にメソポタミアでオイルランプがつくられるようになる。ろうそくが使われだしたのは、紀元前1550年頃の古代エジプトである。ろうそくの明るさは約12ルーメン。ルーメンとは光源から放たれる光の量である。

 時代は一気に飛んで、1797年に世界初のガス灯がイギリスのマンチェスターの警察長官の家の戸外に設置された。1879年にトーマス・エジソンが白熱電球を完成させた。白熱電球は消費電力60ワットで800ルーメンである。

 1926年、ドイツの発明家エトムント・ゲルマーらのグループが蛍光灯を発明した。1934年、米ゼネラル・エレクトロニクスのジョージ・インマンらが蛍光灯を実用化した。

 1950年、世界の人口が25億人を超える。1962年に米ゼネラル・エレクトリックのニック・ホロニアックが赤色LEDを開発した。1968年には緑色LEDが開発される。しかし、LEDを白く光らせるには三原色の残り1つである青色LEDの発明を待つ必要があった。

 1987年、世界の人口が50億人を超える。1989年、赤崎勇さんと天野浩さんらのグループが青色LEDを開発する。同年、美星町に光害防止条例が制定される。

 1996年、日亜化学工業が世界初の白色LEDを開発する。1998年世界の人口が60億人を超える。2010年代に入り、LEDが急速に普及しだす。現在のLEDの消費電力は白熱電球の1/8、蛍光灯の1/3とされている。

 2011年、世界の人口が70億人を超える。2013年、国連食糧農業機関(FAO)が『食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書』を発表する。畜産と比べて環境破壊等の負荷が低く栄養価も高いため、FAOは食糧危機の解決策として昆虫食を推奨している。

 2019年、世界中に生息する全ての昆虫種のうち40%が減少しており、数十年の間に絶滅の可能性に直面するという論文が発表された。特に夜行性の昆虫にとって光害は大きな要因だとされる。昆虫が街灯に引き寄せられ夜を過ごした場合、疲労あるいは捕食者によって朝に死んでいる可能性は30%とされる。




 2020年、ドイツの自然・生態系保護団体(NABU)によって昆虫の減少にスマホの電波が関与しているという調査結果が発表された。

 2022年、世界の人口が80億人を超える。2023年、徳島の県立高校の給食で生徒らがコオロギエキスを使用した大学イモを作り、希望した生徒が試食し、それがSNSで拡散・炎上する。

 ちなみにコオロギは養殖が簡単で、バッタは養殖が難しい。2021年時点で世界で飼われているニワトリは250億羽で人類よりも多い。食用での養殖に成功して味も受け入れられた場合、その種は人類の庇護を得て繁殖する。



美星町から近場の公園で撮影したホタル

 


 ホタルは夜行性昆虫の中でも最も光の影響を受けやすい生き物である(参考文献:「動植物に対する「光害」、特にホタル類への影響」)。夜間照明が1ルクス(1ルーメンを1㎡の面に照らした明るさ)以上になると活動に影響を受け、生殖行為や産卵数などが減少する。

 現在、環境省のレッドリストにはホタル科では絶滅危惧IA類にクメジマボタル(分布:沖縄の久米島)、絶滅危惧IB類にコクロオバボタル(岐阜県と三重県)、準絶滅危惧種にミヤコマドボタル(沖縄の宮古列島)が掲載されている。

 絶滅危惧IA類とは「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」で、クメジマボタルは種の保存法により1994年に緊急指定種に指定、2016年に国内希少野生動植物種に指定され、野生個体の採取・捕獲は禁止されている。


 また、ホタルは味が悪い上に毒も有するため、食用には向いていない。
















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 終わり



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