綿野恵太

1988年、大阪府生まれ。福島県在住。出版社を経て文筆業。近刊に『「逆張り」の研究』(…

綿野恵太

1988年、大阪府生まれ。福島県在住。出版社を経て文筆業。近刊に『「逆張り」の研究』(筑摩書房)。そのほか『みんな政治でバカになる』(晶文社)、『「差別はいけない」とみんないうけれど。』など。 mail:edoyaneko800@gmail.com

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    現在執筆中の本の草稿を掲載していきます。 悪意といったテーマになるかな、と。 目標は月2回以上の更新です。また、過去に執筆したエッセイや論考を掲載予定。 (※宣伝や読者獲得のため、過去の記事を期間限定で無料公開する場合がございます。ご了承くださいませ)

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最近の記事

7/22(月)に西田亮介さんとトークイベント

最近、新聞にコメントをつける仕事をしてて、記事エモくない?と感じてたんですが、そのものズバリご指摘された西田亮介さんとお話しします。 2024年7月22日(月)19時〜atツバメコーヒー(新潟県燕市)です。遠方で来られない方はアーカイブ視聴もあるそうです。よろしくです

    • 論破されてみた件、その5

      (つづき)  数年前、ひろゆき氏の発言がネットで話題になっていた。どうやら「猫の寿命ってだいたい5、6年なんですよ」とひろゆき氏がいったらしく、「もっと長生きするぞ」と2ちゃんねらーに嗤われていた。たしかに猫の平均寿命は10歳を超える。ペットアレルギー持ちらしいひろゆき氏はこれまで猫と接する機会がなかったか。野良猫の平均寿命は3〜5歳とも言われているので、ほぼ放し飼いで飼われた猫にしか接したことがないのだろう。  ひろゆき氏はけっこう適当なことを言っている。いくら事実ベー

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      • 論破されてみた件、その4

        『表現者クライテリオン』2024年7月号、5月号に與那覇潤さんの新連載「在野の知を歩く」にゲストとして出ています。 よろしければご覧ください。    ひろゆきさんに論破されたその日、ぼくは元歴史学者の與那覇潤さんと対談していた。與那覇さんの新著『危機のいま古典をよむ』(而立書房、2024)の出版記念イベントにゲストとして呼ばれたのだ(「古典を読むのは逆張りですか」@ブックファースト新宿店)。対談をするのは実は3回目、そのたびに思うのは、この人めっちゃ話うまいなあ、というこ

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        • 論破されてみた件、その3

          (前々回、前回からのつづき)  ひろゆきさんからは予想外の言葉が飛んでくる。その言葉を理解するには、ちょっと時間がかかる。さまざまな意見が飛び交う討論番組でこのタイムロスは致命的だ。はたからみれば、反論できずに黙ってしまった=論破されたように見えてしまう。  だからといって、ひろゆきさんがめちゃくちゃなことを言っているわけではない。ここが大切なポイントだ。ぼくの言葉をまったく聞いていないわけではない。たしかにぼくの言葉をそういうふうにとらえれば、そういうふうに言えないこと

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          論破されてみた件、その2

             (前回のつづき)  あ、ひろゆきさんはぼくの話をぜんぜん聞いてない。何度か言葉を交わして、気がついた。正確にいうと、ぼくの言葉は耳に届いている。けれども、単に届いているだけ。どんな事情で、どんな意図で、どんな思いで、どんな文脈で、どんな背景で、その言葉を使っているのか。相手を理解しようとする気配がまったくない。他人の言葉に耳を傾けようとは絶対にしないのだ。

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          論破されてみた件、その2

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          論破されてみた件、その1

           2024年2月23日の夜。ぼくは疲れ切っていた。テレビ局が用意してくれたタクシーで、ぼくは友人宅に向かっていた。高級ミニバンのアルファードの乗り心地は最高で、リクライニングを倒してそのまま眠りたかった。けれども、いろんな感情が渦巻いて眠れそうになかった。ムカつく、悲しい、くやしい……。  論破された、論破されたらしい……ぼくはネットテレビ番組「アベマプライム」に出演したところだった。時事問題を討論する番組で、その日のMCは2ちゃんねる創設者のひろゆきさんだった。朝日新聞に

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          アステイオンに寄稿しました

          5月24日に刊行される『アステイオン』100号に「物流倉庫のバイトのあとに『柔らかい個人主義の誕生』を読む」というエッセイを寄稿しています。文字通り末席に加えていただいております。あいうえお順的に。   よろしくお願いたします。    エッセイにも書いたのだけど、物流倉庫でバイトしている。注文に合わせて在庫の商品を集める「ピッキング」という作業である。働き始めて一週間ぐらい経ってから気づいたのだが、まったく会話がないのだ。同じフロアで十数人の人間が働いているにもかかわら

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          エスカレーターと合理的利他主義

           コロナ禍のころ、フランスの思想家ジャック・アタリの「合理的利他主義」が注目された。合理的利他主義とは、利他主義が自分の利益になる合理的な選択である、という考え方だ。将来の世代といった他人のために行動すれば、長期的に見ると自分に利益をもたらす。他人にした親切は巡りめぐって自分に戻ってくる。いうなければ、「情けは人のためならず」である。  アタリ氏によれば、いまの資本主義社会では「自分さえ良ければよい」という利己主義が蔓延している。そのために、貧困や格差、気候変動や戦争といっ

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          下向きの自己啓発書とアナキズム

           「下向きの自己啓発書」と僕が勝手に読んでいるジャンルがある。  一般的にビジネス書や自己啓発書は上を目指す人が読むものだ。日々の努力を欠かすことなく、さらなる上を目指そうと、優れた経営者の思考法やノウハウを学ぶ。偉人の人生を追体験し、己の心を奮い立たせて、仕事のやる気を高める。仕事や勉強を効率化するための本は、書店にたくさん並んでいる。  けれども、下向きの自己啓発書は真逆だ。がんばらなくていい。努力しなくていい。しんどい仕事はしなくていい。人生無理せずに、もっと楽に。

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          下からのウォーク・キャピタリズム

          二〇一九年の東京大学の入学式、社会学者の上野千鶴子さんが、受験競争を勝ち抜いた新入生たちを前にして、こんな祝辞を述べた。がんばったら報われると思えることこそ、あなたの恵まれた環境のおかげだった。だから、あなたたちの恵まれた環境と能力を、自分ひとりが勝ち抜くためだけに使うのではなく、恵まれない人々を助けるために使ってください、と。 この反響と反発を巻き起こした上野さんの祝辞を思い出したのは、ある新聞記事を読んだからだった。少子高齢化に直面し人手不足で悩む福祉業界に新風を巻き起

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          これがほんまの犬死やなあ

           むかし上岡龍太郎と笑福亭鶴瓶がやっていた『パペポTV』というテレビ番組があった。二人がフリートークをおこなう番組なのだが、そのなかで上岡さんが若手時代に見た、上方のお笑い芸人の話が面白かった。リアルタイムではなく再放送とかで見たと思う。もう一度観たいと思っていたが、なかなか見つからなかった。  上岡さんが亡くなられたとき、過去のインタビューがネットに再掲載されていたのだが、そのなかで同じ話をしていた。  パペポTVのときはもっと面白おかしく話していた記憶がある。楽屋で花札

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          マガジンを定期購読されている方へのお詫び

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          丸善京都店「逆張りくん」の本棚選書リスト

          昨年、『「逆張り」の研究』(筑摩書房)の刊行記念として、丸善京都店でブックフェアを行いました。「逆張りくん」として影響を受けた本を20冊を選び、コメントをつけています。フェアは終了したのですが、そのままにしておくのは持ったないので、ここに載せておきます。よろしければ、ぜひ読んでみてください。 1 長濱一眞『近代のはずみ、ひずみ: 深田康算と中井正一』(航思社 2020年)  逆張りは差異化するための最も効果的な方法。だから、新しい批評家は先行世代の批評家の逆をはってデビュ

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          異世界転生しないホリエモン

           ひろゆきは異世界転生する。しかし、ホリエモンは異世界転生しない。この点にふたりのキャラの違いがもっとも表れている。  たしかに両者には共通する感覚がある。どちらも集団の不合理なルールが大嫌いだ。  少し前、ホリエモンが「寿司職人が何年も修行するのはバカ」と発言して、炎上したことがあった。寿司屋で下積みする必要はない。専門学校で集中的に勉強したほうが効率良く技術を習得できる、と。こういう発言の背景には、前回触れたインターネットのオープンイノベーションの考え方がある。  「

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          ポリコレという市場化について

          (前回のつづき)

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          自利利他を実現するバザール

          (前回からの続き) 資本主義はさまざまな集団を解体していく。その最果てにあるのが、フリーエージェント社会である。  2001年に出版された『フリーエージェント社会の到来』という本がある(邦訳は2002年)。著者であるダニエル・ピンクは、クリントン政権下でスピーチライターを務めていたが、家族と過ごす時間を増やすためにフリーエージェントとして独立した。すでにアメリカ人の四人に一人がフリーエージェントとして働いている、とピンクは紹介している。  組織から自由になった人々が

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