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丸善京都店「逆張りくん」の本棚選書リスト

昨年、『「逆張り」の研究』(筑摩書房)の刊行記念として、丸善京都店でブックフェアを行いました。「逆張りくん」として影響を受けた本を20冊を選び、コメントをつけています。フェアは終了したのですが、そのままにしておくのは持ったないので、ここに載せておきます。よろしければ、ぜひ読んでみてください。


1 長濱一眞『近代のはずみ、ひずみ: 深田康算と中井正一』(航思社 2020年)


 逆張りは差異化するための最も効果的な方法。だから、新しい批評家は先行世代の批評家の逆をはってデビューする。とはいえ、ぼくはそんな気持ちを持ったことがない。もうオイディプスなんて時代じゃないのだろう。ただし、長濱さんとはどう差異化するかはちょっと考えた。本書のもととなった修士論文(原稿用紙400枚!)を読ませてもらったとき、まともにやり合ってもかなわないと思ったからだった。

2 安川奈緒『MELOPHOBIA』思潮社、2006年(絶版だと思うので→『子午線 原理・形態・批評 Vol.4』書肆子午線、2016年


 本当は安川奈緒『MELOPHOBIA』(思潮社、2006年)を並べてほしかった。残念ながら絶版ということで、彼女の遺稿詩篇を掲載したぼくたちの同人誌を置いてもらった。大阪のシネヌーヴォという映画館で彼女の詩集を偶然発見した。一読して同時代にこんなすごい人がいんのか、と衝撃を受けた。『子午線』は安川奈緒さんにインタビューしたいと思って始めた同人誌だ。その望みは叶わなかったが。思潮社さん、『安川奈緒全集』を早く出してください。お願いします。

3 中尾太一『中尾太一詩集』現代詩文庫、2013年

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