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ノート

現在執筆中の本の草稿を掲載していきます。 悪意といったテーマになるかな、と。 目標は月2回以上の更新です。また、過去に執筆したエッセイや論考を掲載予定。 (※宣伝や読者獲得のため… もっと読む
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記事一覧

エスカレーターと合理的利他主義

 コロナ禍のころ、フランスの思想家ジャック・アタリの「合理的利他主義」が注目された。合理…

綿野恵太
2日前
5

下向きの自己啓発書とアナキズム

 「下向きの自己啓発書」と僕が勝手に読んでいるジャンルがある。  一般的にビジネス書や自…

綿野恵太
6日前
19

下からのウォーク・キャピタリズム

二〇一九年の東京大学の入学式、社会学者の上野千鶴子さんが、受験競争を勝ち抜いた新入生たち…

綿野恵太
3週間前
14

これがほんまの犬死やなあ

 むかし上岡龍太郎と笑福亭鶴瓶がやっていた『パペポTV』というテレビ番組があった。二人がフ…

綿野恵太
3週間前
14

マガジンを定期購読されている方へのお詫び

マガジンを定期購読されている皆様へ

綿野恵太
1か月前
7

丸善京都店「逆張りくん」の本棚選書リスト

昨年、『「逆張り」の研究』(筑摩書房)の刊行記念として、丸善京都店でブックフェアを行いま…

綿野恵太
1か月前
16

異世界転生しないホリエモン

 ひろゆきは異世界転生する。しかし、ホリエモンは異世界転生しない。この点にふたりのキャラの違いがもっとも表れている。  たしかに両者には共通する感覚がある。どちらも集団の不合理なルールが大嫌いだ。  少し前、ホリエモンが「寿司職人が何年も修行するのはバカ」と発言して、炎上したことがあった。寿司屋で下積みする必要はない。専門学校で集中的に勉強したほうが効率良く技術を習得できる、と。こういう発言の背景には、前回触れたインターネットのオープンイノベーションの考え方がある。  「

有料
300

ポリコレという市場化について

(前回のつづき)

綿野恵太
3か月前
28

自利利他を実現するバザール

(前回からの続き) 資本主義はさまざまな集団を解体していく。その最果てにあるのが、フリ…

綿野恵太
3か月前
5

集団に謎ルールが残り続ける理由

(前回からのつづき)  どの集団にも謎ルールが存在する。謎ルールとは、集団のほとんどのメ…

綿野恵太
3か月前
9

利己を利他に変える「見えざる手」

(前回からの続き) アシュリー・バビットという退役軍人の女性が銃で撃たれて死亡した。20…

綿野恵太
3か月前
8

思いがけず悪意

(前回の続き) 統治の倫理が思いがけず悪意ある行動を生み出してしまう。 統治の倫理は集…

綿野恵太
3か月前
14

金持ち編集者 貧乏編集者

 ぼくが編集者として働き始めたころ、まったく異なるタイプの先輩の編集者がいた。ひとりは金…

綿野恵太
4か月前
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悪意は言葉の問題でもある

 言葉は別の意味をほのめかすことができる。世界に悪意が満ちているように見えるのは、言葉そのものに原因がある。   京都の老舗のうどん屋さんで、ある文学研究者とごはんを食べたことがある。その研究者は東京出身で、京都に来たというだけでテンションが上がりまくっていた。店内には洛中洛外を描いた古い京都の地図が貼られていた。その研究者は指を指して、「このあたりに谷崎潤一郎が住んでいたんだよ!!!」とおおはしゃぎしていた。  すると、店員のおばあさんが、注文したうどんを持ってきた。そし