見出し画像

韓国人はすぐに「怒る」が、怖がらなくても大丈夫なはなし

前回、韓国人は韓国語で話す時、すぐに「死にそう」になることについて解説してみた。

これが意外と好評だったので、もうひとつ。

わたしが働いている会社には、韓国人もたくさんいるので、「韓国人はすぐ怒る」と、日本人から相談されることがある。

もちろん、すぐ怒る人もいる。それは、日本人も同じだ。

でも、怒っているように見える韓国人は、本当に怒っているのだろうか?


韓国人が怒っているように見える理由


韓国人の友人と歩道を歩いていたら、すごい勢いで走ってくる車が見えた。

車は何もないところで急ブレーキをかけ、Uターン。すぐさま、急スピードで逆方向に去って行った。

おどろいた。

おどろいたけど、まぁ、そこまでは、よくある道端の光景。

でも、さらにおどろいた。

その車を見た韓国人の友人が、「危ないじゃないか」と大激怒したのだ。

車がUターンしたのは、わたしたちが歩いていた歩道とは10メートル以上距離があり、ケガをするほど近かったわけではない。

物理的な怖い思いは、していない。

日本人同士なら「なにあれ?変な車だね~」で済むレベルの話だ。

それにも関わらず、彼はかなり長い間、とても怒っていた。

数件お店に入って買い物をして、その後、お茶を飲みにカフェに入っても、まだ怒っていた。

さすがに、わたしは聞いた。

「もういいじゃん。なんでそんなに怒ってるの?」

「だって危ないでしょ。誰かが引かれたらどうするの?」

なるほど。と思った。

彼は、自分のことを心配して怒っていたわけじゃない。

「将来的」に被害にあうかもしれない、知らない「誰か」のことを心配して怒っていたのだ。

韓国では、時々怒りが「時空」を超える。

整理すると、ポイントは2つ。

1:韓国では、知らない「誰か」と「自分」の距離が近い
2:韓国では、「まだ起こっていない」事象が怒りの原因になりえる

これは、韓国の独特な文化に由来する。

知らない「誰か」との距離が近いのはなぜか


知らない「誰か」との距離が近い原因は、韓国の「ウリ文化」にある。

ウリ=わたしたち

ウリは、日本語でいう「わたしたち」に近い意味を持つが、厳密に言うと微妙にニュアンスが違う。

日本語の「わたしたち」は、わたしと、あなたと、あなたと、あなた。

あくまで「わたし」と「わたし以外」の間には、「遠慮」という名のスキマがある。

でも、韓国語の「ウリ」は、「わたし」と「わたし以外」の間にスキマがない。ぴったりくっついているので、分けられない。

韓国語では、名詞によく「ウリ」がつく。そのままその名詞を使うよりも「ウリ」をくっつけて使う回数のほうが多いくらいだ。

ウリナラ=わたしたちの国
ウリチプ=わたしたちの家
ウリヨクサ=わたしたちの歴史
ウリハラボジ=わたしたちのおじいさん

韓国では、この「ウリ文化」のせいで、よくも悪くも集団的な幻想を抱きやすい。ウリという言葉を使ったとたん、自分が関係する範囲がめちゃくちゃに拡大してしまう。見えないところまで、怒らないといけない。

だって、将来的に事故に合うかもしれない、知らない「誰か」と自分が混ざってしまうぐらいなのだから。

もうひとつ、こんな例もある。

日本語には、他人と自分をあえて切り離し、自分は含まれないことを前提にして、相手を上に上げる「尊称」がある。

具体的には「世間さま」「人さま」などだ。

しかし、韓国語にはこのように自分と他人をあえて切り離した尊称は、おそらく存在しない。(もしかしたらあるかもしれないけど、使っているのを聞いたことがない…)

韓国語は、他人と自分を切り離さない。

この事実を知らないと、韓国人は自分とは関係がないことに関しても、なぜか怒っている「超短気な怖い人」に見えてしまう。

逆に日本人は、韓国人から見ると、「超冷たい人」に見られやすいので、これまた注意が必要だ。

怒りが「時空」を超えるのはなぜか


怒りが時空を超えるのは、韓国の「パリパリ文化」にあるように思う。

パリパリ=早く早く

韓国では、何事も早ければ早いほど良いと考え、せっかちな人が多い。下手をすると、未来と今が同じ次元に存在してしまうほどに、とにかく急ぐ。

また、事前準備よりも取り掛かりの素早さを優先しがちなので、これは日本人の「急がば回れ精神」とは真逆。

特にビジネスシーンではこの違いは顕著で、わたしも最初はかなり驚いた。

とにかく韓国人は計画より前に動く。思考は浅いまま、走りながら考える人が多いのだ。その分たくさん問題は起こるけど、日本人ほど気にしない。

韓国人は「日本人は仕事が遅い」と思うだろうし、日本人は「韓国人は計画性がない」と思うだろう。

【仮説】韓国人が怒っているように見えるもう一つの理由


もうひとつ、韓国語ができるようになって分かったことがある。

怒っているように見えても、韓国人は意外と怒っていない。

大きな声をだし、どすを聞かせているようにみえても、その内容はただの世間話だったりもするのだ。

この理由は定かではないが、わたしは韓国語の母音の多さに原因があるのではと少し疑っている。

大学入試センターの研究によると、音声の母音が明瞭であればあるほど、その人の性格が「勤勉」で「協調的」に見えるという研究結果があるのだ。

引用:音声中の母音の明瞭性が話者の性格印象と話し方の評価に与える影響

日本語の母音は5つしかない。これは世界的にみても、かなり少ない。(ちなみに、英語の母音は10個だ)

a ア
i イ
u ウ
e エ
o オ

そのため、日本語の発音は明瞭になりやすく、「協調的」な印象を与えやすい。

一方、韓国語の場合は、子音字母が19個、母音字母が21個で、なんと合計40個もある。この研究論文が正しいとすると、「協調的」には見えずらく、「排他的」や「対立的」に見えてしまう可能性は高い。

韓国人はすぐに「怒る」が、やたらに怖がらなくても大丈夫なのは、文化や言語の特徴が原因で「怒っているように見えているだけ」というケースがあるからだ。

もちろん本当に怒っていることも多いので、楽観的になりすぎるのも良くない。

まずはぜひ、怖がらずにコミュニケーションをとることをおすすめしたい。



↓↓↓ この note の人気記事はこちら ↓↓↓

↓↓↓ 韓国に関する他の記事はこちら ↓↓↓


だれかの明日の行動を変えたり、不安が減ったり、元気になるエッセイが書けるよう、日々精進しております。いただいたサポートは、活動費に使わせていただきます<(_ _)>