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価値に種類があるとは
この時代において、我々もお客様も、何に対して「価値」を見出していくのか、感じるのか。その「価値」に対しての投資をおこない寄り添うものです。古い経済成長の時代では、モノ自体が無い(不足)時代だったり、モノがあっても高価であったりと、プライド的な自慢を要する需要が先行していたことでしょうか。ところが成熟期時代では誰もが当たり前のように購入できる需要になっていることから、いくら性能やデザインが進化していても壊れない限りは買い替える需要の頻度は低下するでしょう。しかも「住宅」となったら金利に関係無く一生を掛けてローンを組むことから、購入頻度的には一生に一回あるかどうか、結婚したからといっても、賃貸を生涯選択する場合もあるでしょう。

さて、表題における「価値」の種類とはいかに。年功序列の良し悪しはまたの機会にして、今の時代では「転職」と言われる、又は転職を推進する時代なのでしょうか。「市場価値」という言葉が出回っています。殆どが自分の存在(経験やスキル等)を「市場価値」に通じるか通じないかの評価であり、時流の表現だと思われるのですが。(私が古いのでしょう)

一般的には、やはり商品が売れる購買心理、マーケティング理論に基づき「商品価値」が高まっているからこそ「売れる」わけであって、売上向上を図るという表現と同じと捉えるべきです。これを分解して見た時に、ブランド力と言われる「感覚感」「観念感」と言われる価値「感」、すなわち、SNSやアプリの情報ランキングに左右されたり、誰かが使用しているからとか、みんなが当たり前のように使用しているとかでしょうか。また、このブランドが一度築かれると、製品を作っている企業は、維持・向上・進化するにも大変な労力を伴うでしょうが、黙ってても売れるという法則が付いて回って来るので、その分、広宣費や人件費等など、新製品の開発等と比較した場合、雲泥のコスト差が生まれます。一方で一般的な商品価値には「基本的」(基本・機能)な価値と「便宜的」(便利・機能)価値があります。最低限に必要とされる「基本性能」と「基本機能」と言った方が良いかも知れませんね。

ところがマーケティング戦略を組む上で競合他社との「差別化」を考察するのですが、差別化することで商品が売れるという勘違いを起こしがちです。つまり「差別化」と「価値」を混同してしまい明確に理解していないというか、根本的に異なるものだという事を理解していません。まずは、差別化はあくまでも副産物(相乗効果的な)であるしかないという事を理解しておきましょう。

今の世の中「多様的な価値観」がひしめき合っている時代です。万人に愛される商品を開発すること、売るということは難しいでしょう。できないでしょう。このコラムでも再三に渡って取り上げていますが、成熟した市場を含めて物事には「目的」を始めとする「本質を見極める」ということが最も大事なことです。これは企画を練る上においても、ターゲットが明確になければ「仮設」を立てることと同じ重要性を持っています。

では商品価値の本質とは「誰のため」であるということ。誰のために「何を」(問題)「解決」するかということを、できるだけ明確にしなければなりません。ユーザーが求めているものは何か。ユーザーと言ってしまえば、万人になってしまうので、やはりターゲットとなるペルソナを仮説的に設定した方が良いでしょう。この商品を明確に誰に買ってもらいたいのか、この商品を買ってもらったら、ユーザーであるあなたにどのような価値(ベネフィット)をもたらせてくれるのか。見た目や機能や性能で差別化を図ったとしても、ユーザーが求めていないのであれば価値は生まれないのです。つまり売れないでしょう。だからこそ、即、売り方が悪いとかに繋げるのは危険です。開発者や経営者が気に入ったとしても、ユーザーにとってさほど購入するに意味の無い「差別化」だったりするのです。

同様にコラムでも再三取り上げていますが、このような多様な価値観が生じる時代だからこそ、最先端のCMでは「開発秘話」というより「その商品が最大限の価値を発揮できる物語風」仕立てに流されていることです。スバルの車では「アイサイト」。全てのメーカー車種に標準的に搭載されている技術ですが、スバルでは「スバルブランド」としてミッションステートメントである「2030年死亡交通事故ゼロ」のスローガンを掲げ、交通事故を取り上げたCMを作っています。また一方でソニー損保は交通事故に遭った時の面倒くさい、相手側との難しいやりとりの対応物語を作っています。生命保険会社なども、表現は悪いかも知れないが、生命保険が使用される時の物語を作っています。

主婦が作った(発明)商品などが大ヒットを生んでいるケースがあります。これは何よりもまずは自分自身が困っていること、悩んでいることを具体的に解決しているところに、同様の悩みなど抱えている「主婦」に対し多くの「共感」を生んでいるからです。

BMWでは車検時などの代車にワンランク上の車種(又は新車)を提供しているとか。他社の展示場では予め決められた周辺の道路を数分運転するだけ、しかも助手席にはメーカー担当者がいる。日常的に使用するということは、好き勝手に運転するでしょうし、また色々な機能を試したくなるものです。その性能を満喫する数日間の「試乗」です。車検時は車自体の購入動機としては一番の購買心理が生まれます。これによって購買意欲が各段に上がり、売上計上に計り知れない恩恵がある。もちろん、傷などの損傷や走行距離などのリスクはあるが、それ以上のリスクにおいて、BMWファンにとっては、価値観の向上に繋がることでしょう。

商品を開発する上で多くのニーズに応えたいという気持ちはあるでしょうが、まずはたった一人でも耳を傾ける創造性を身に付けることをお勧めします。商品開発者や経営者の自己満足的な価値は必要ありません。「消費者の求める価値を提供」できることが、商品価値そのものだということです。昨今では「アンバサダー」の取組みが流行っています。企業のアンバサダーには誰もが登用されるわけではありません。まずは自社のファンであるかどうか、購買頻度はどうか、ティッピングポイント(インフルエンサーなど)であるかどうか、企業によって選考基準は様々でしょうが、「直接的にファンの意見を聞ける」という「場」を持てるという事は、商品開発におけるマーケティング戦略やプロモーション戦略に絶大な効果が得られることは間違いありません。ただアンバサダーの取り扱いには気配りとおもてなしが必要不可欠です。「特別扱いを受けているんだ」という気持ちを持ってもらう必要があります。顧客を育成する上では、私が実際に関わって来たことでもあるので、詳細については、またの機会にご紹介をしましょう。

また、個々のアンケートに目を向けるのは「品質」の向上だといえるのですが、本質的には商品の品質ではなく「人」の品質だという事を理解しておきましょう。これは最前線の現場スタッフが直面する現場対応力を図る上で、とても重要な位置付けなのですが、経営理念や方針等の理解度に影響を受けます。だからこそアンケート評価というのは個人に付与されるものであり、会社を大きく改善(人含め製品にも)できる指標になるものです。ただ、アンケートにはデメリットが多くあります。まずはアンケートに返信して頂けるかどうか、回収率にも影響を受けます。効果的に回収率を上げる「しくみ」は、またの機会にしましょう。
また、上層部含め経営トップに届くかどうか、現場で生じる時間差にも問題があります。

これを解消したのが「クレド」です。発端はアメリカ企業の「ジョンソンエンドジョンソン」が60年以上も前?から使用しているものであって、経営理念や方針等について「具体的な行動指針」を明文化したもので、社員スタッフは非正規社員であっても携帯した上で、現場で問題等が生じた時に上司に連絡を取る場合の時間を省いて、その場で結論(解決)を下す判断を示すものです。言い換えれば、どんな場面においても問題解決する上で、クレドに基づいて判断したことが全て正しいというものです。だからこそ、経営理念や方針等などミッションステートメントは、その時代に応じて書き換えられて提唱されなければ意味を持たず、よってクレドも常に進化することで顧客満足を得ているものです。その代表的な企業に直面しているのが、ディズニーランドです。ディズニーランドのファンは、多様な演出の素晴らしいエンターテインメント性だけでなく、そこで働いている「クルー」と呼ばれるスタッフの対応の素晴らしさにも「共感」と「満足」を得ているのです。

話が「クレド」まで行って脱線してしまいましたが「クレド」を作成している意図、クレドを実践で使用する根拠は理解して頂けたと思います。逆に「クレド」があるにも関わらず、意図や根拠を知らない上で現場で活用されていなかったら、もったいない事でしょうし、顧客満足は見た目以上に得られていないでしょう。

差別化と価値を判断する上で、見るべき優先順位は競合を見るのではなく顧客という消費者を見ることです。では「住宅」を取ってみましょうか。住宅の機能や性能も頭打ちのような気がしますが、消費者にはまだまだ理解を得られていません。ここのマーケティング戦略はまたの機会として、新築住宅は生涯において一回と仮定するなら、十年後以降等では「リフォーム」の需要が待ち構えています。ぜひとも当社でお願いしたいものです。ここで「リフォーム出身の経営者」や「リフォーム出身の事業責任者、設計開発者」がいたとしたら、プロモーションの在り方が変わって来ます。「リフォーム出身だからこそ、できた何か」が必ずあるというコンセプトはどうでしょう。新築を購入する上で、数十年後に生じるリフォーム内容を掌握しているので、その問題のワーストノウハウを設計に活かしました。」と訴求することができますね。(別にリフォーム出身でなくても、リフォームノウハウを活かしていますでも良いでしょう)この「価値」をどう活かすか。新築を購入してから初めてのリフォームをしている要望と悩みが活かされた新築。現在ヒットしている商品群を見渡して見ましょう。いずれも消費者の要望と悩み、サービスの価値が同等又はそれ以上に提供できているモノばかりだと思いませんか? ライバル(競合他社)を無視するのではなく、足元である自社製品(商品)が、自社の顧客にとって価値を見出しているかどうか。その価値とサービスが満足されているからこそ、売上が向上し、結果的に差別化に繋がっているのです。

但し、まだまだ機能や性能が消費者に浸透していないので、意匠性やデザイン性を重視している人の需要が高いのも事実です。しかしながら、昨今の世界情勢含め国内の社会・経済情勢からは、早い段階で意匠性よりも機能や性能を重要視する需要が高まるでしょう。一緒にマーケティング・プロモーションを勉強していきましょう。

さて、冒頭に出て来た人材による「市場価値」の方ですが、デジタルの時代でもありSNSなどを通じて自分自身をPR(広告)することが容易にできる時代なので「自分プロデュース」を講じてみましょう。今や企業広告よりも個人のインスタなどで予め「共感」を得てから購買に活かしている消費者が沢山います。

市場価値という意味合いでは、専門性やスキル、経験値が必要でしょうし、転職をするなら申し分ないほどの実績を積み上げるのも良いでしょう。採用を試みる企業から見れば、一時的であっても、即再現性を期待できることでしょう。よって、年齢は余り関係無く若い人でも、年配者であっても、どういう方向性を示すかによって採用率は変わって来るでしょうね。ところがヒューマンスキルが難しい。転職等においては、長年勤めていて実績があるにも関わらず評価されなかったとか、人間関係の問題等が関わって来ます。その事からも、先方から自分を必要とされることの気概や気持ちがモチベーションに繋がることでしょう(実際にやる気やモチベーションの向上は必要と思われる気持ちだとか)が、「招かざる客」という見方もあるということは忘れてはなりません。こちら側にヒューマンスキルが整っていたとしても、相手側に備わっているとは限りません。もし受け入れ体制が整っていたとしても、ヒューマンスキルというか「招かざる客」と感じた場合、違和感がある場合は、即、第二第三の転職等(移り変わり)を講じた方が良いでしょう。生活(生計)が関わっている以上、ここはシビアに行動へ移すことをお勧めします。実際にそうやって渡り歩いている優秀な企業人も多く見かけます。

要は「価値」を見出す事と、自分の仕事感への大きな「志」をもつことですね。