理想はいつも選択肢の外にある = f(最善を尽くす)
あらすじ:自分の口をついて出た最善という言葉。嫌いじゃないけど、がむしゃらに頑張るのと何が違うんだっけ。ベストを尽くしていればそれでいいんだっけ。いつも意識していたようで、やっぱりあんまり考えたことがないような気もする。せっかくなので、理想と最善のギクシャクした関係について改めて考えてみる。今日はいつもよりちょっと短めな第六弾。 / やまびこ恵好
要するに、がんばりますってこと?
「やれるだけ最善をやってみます。」
ふと自分の口からこぼれた一言に、引っ掛かりというか、違和感を覚えた。わかっている、こういうところがめんどくさいヤツなのだ。
最善をとる。ベストを尽くす。
日本に住む私たちは、この表現が結構好きだ。スポーツなど競技の世界では、特によく使われているように感じる。
やることはやった。負けてしまったけど頑張ったからいいじゃないか。結果は出なかったけど3年間楽しかった。縁起的、共同体的、プロセス志向の為せる業だろう。
初めに断っておくと、私はこの言葉が嫌いだとか、不毛だとか、そういう頭の悪い議論がしたいわけではない。むしろ理不尽なこの世を生き抜く上では欠かせない心構えだと思っている。
しかしこのところ、以前と比べて自分自身の言葉たちと向き合う機会が増えたので、今日はこの”最善”について考えてみようという次第だ。
選択肢の檻
日々の業務をこなしていく上で、私たちは常に選択や決断を繰り返している。当然、目の前の事象に対しては所与の選択肢の中から最善の手を尽くす他ないのであるが、自分がそれだけで満足していないかどうか、いつも考えておきたい。
選択とは私たちに開かれた権利のようでいて、人間が全知全能でないことの証明でもある。10の選択肢を持つ者も、100の選択肢を持つ者も、縛られている規模が異なるだけで、常にその中での最善を採ることを迫られている。
理想の状態
少し距離を置いて考えてみれば、理想の状態は常に選択肢の外に存在することが分かる。
私たちはいつもそうだ。ないものねだりで文明を築いてきた。「これさえあれば」、「もしこうあったなら」という人々の願望は、科学技術の進歩と共に、その意識の枠組みすら超えて飛躍してきた。
科学技術だけではない。伝統的な工芸や芸能、伝統も同じだ。彼らは数世紀もの間変わらずに存在し続けてきたようで実は違う。毎年、毎月、毎週、毎日、毎時、毎分、毎秒の仮説検証の連続を乗り越えて、自らの理想状態を追究し続けてきたからこそ後世に伝わり、今この世に残っている。
企業に勤める私たちについても、技術や伝統と同様、放っておけば常に理想状態から遠ざかっていく存在だ。そして理想から遠のいた状態で繰り返される業務は、それらが構成する事業と、その集合である会社全体のの競争力を失わせていく。
市場競争力を失った企業がどうなるかについては、また別の議論があるにしてもだ。業務に限らず、目先の最善を拾うことばかりに躍起になって、だんだんと自分の首を絞めるようなことだけは、あってはならないように思う。
理想を採ることはできないにしても
今この時、どうすれば101個目の「より理想に近い選択」が採れるようになるのかを考え、そこから仮説を立て、検証していく。それを繰り返して、一歩ずつ理想に近づいていく。
この場合、これでは永遠に理想に届くことがないじゃないかという反論は受け付けるべくもない。なぜなら辿り着いたそこは、相対的にはもう既に、理想の場所では無くなっているのだから。
しかしそれでいいじゃないか。山頂を見上げて登っているうちは、他の山の存在を知ることはできない。私たちは何かのてっぺんに立って初めて、次に目指すべき理想が遠くにそびえる様を目の当たりにできるのだ。
あえて言うなれば、常に最善ではなく理想を意識して行動することが、「最善の選択肢」なのかもしれない。
こうなってくると理想とは何かについて考えてみたいとも思う。このまま続けると過去最大級の長文になる予感がするので、また今度、小分けにして投稿させていただこうと思う。
良ければ読者のあなたのご意見もお聞かせ願いたい。
今日の関数:
理想はいつも選択肢の外にある
= 0.5*最善の選択肢 + 0.5*理想の自分
ご読了ありがとうございました。
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