それぞれの昼休み
転職回数が多くなると、その職場によっていろいろな昼休みの過ごし方があるんだなと気づくことができるし、どんな過ごし方をしたっての自由であることが理解できるようになってくる。
転職回数が多いと聞くとあまりいい印象がもたれないけれど、一度結婚し、住む場所を変え、離婚を経験しているので、その分他の人より多くなってくるのだ。しかたがあるまい。しかも派遣社員の時代もあったので、いろんな人や場所で昼休みを過ごしていた。
わたしは昼休みには同僚と一緒にいるより一人で過ごしたほうが気が楽。
社会人として初めて入った職場では、昼休みに集まる食堂(とは言っても、そこに調理場がなく毎朝お弁当を注文するスタイル)があり、同僚や先輩と一緒に移動するところであった。
普段から口数の少ないわたしは、同僚や先輩と話をすることも少なかった。
広い食堂で遠くにテレビがあり、朝の連続テレビ小説の再放送の音が聞こえる。
それをボーっと聞きながら過ごしていたのが初めての職場の経験。
社会人の昼休み、誰かと一緒にいることが当たり前で学校と一緒のようなものと思い込んでいた。
その後、ある研究所へ派遣へ行き、普段仕事をしているデスクの近くで昼食をとるスタイルとなった。
わたしは一緒の派遣会社から来た同僚と、お弁当やコンビニで買ったパンを食べながら昼休みを過ごしていた。
同じフロアには、成分分析を専門にしている部署があり、そこでは男性1人、女性の助手が居るチームで行われていた。
わたしはその女性がいつも1人で、更衣室で小説を読んで過ごしているので、一緒にお弁当を食べようと誘ったことがあるのだが、断られてしまった。
その時は不思議な人だなぁとしか思っていなかった。
やがて結婚、離婚を経験し、また仕事を見つけなくてはならず入社した会社。
その女性7人の部署でわたしひとりだけが子持ちだったのでなんとなく浮いてたようで、そのうちのひとりの先輩に目をつけられていた。
普段からサッサと仕事を終わらせてから周りの人の悪口を言うような人で、もちろんわたしもよくターゲットにされていた。
しかしお昼休みは同じ島のデスク上でその人達と一緒にお弁当を食べることになっていた。
なので、その先輩とも毎日隣で、誰かが何か話しているのだが、嫌な気持ちが大きくてご飯も喉を通らなかった。
この時、やっと研究所の頃の女性の気持ちが分かった気がした。
毎日残してしまうおかずも、誰かに作ったお弁当も、外で苦しい思いをしているということだったのかもしれない。それなら、誰からも見られず、ひとりで過ごす昼休みも普通のことなのだ。
なのでわたしの子どもに対しても、おかずを残したことに対してあまり怒らないようにしたいのです。
このことは以前も書きましたね。
https://note.com/ebooodomonic2/n/n532220721fa4
ところで、NHKで放送されている「サラメシ」という番組がある。
いろんな職場で働く人の昼ごはんを紹介するという番組なのだけど、その中でもお昼休みに会社から出て自分の車でお弁当を食べる人も居て、それを見た時に研究所の頃の彼女のことを思い出した。
誰もいない空間でひとりで過ごすことって普通なんだよね。同じ会社に居たら分からなかったかもしれない。
今わたしは仕事場のデスク上で、1人でお弁当を食べている。
けれど、スマートフォンでテレビも観られるし、SNSを使って誰かと話すことが出来る。
ひとりで居ても、数人でいても、どんな昼休みの過ごし方をしたって自由で、他人に合わせるような職場の雰囲気は作らないようにしたいですね。