小説:囚人番号02番は愛した(後編)
翌日──つまり、犯行当日、自分はバイクに乗って事務所に向かいました。自分が丸一日講義に姿を見せなかったと皆が証言しているのはこのためです。バイクに乗ったのは、最悪連れ去られる藤咲さんを追跡することになるかもしれないなどと考えたからでした。この判断は間違っていなかったと信じています。そうでなければ彼女は今頃どうなっていたか、想像しただけで吐き気がこみあげてくるほどです。
情報開示請求を行いナンバーを調べた結果、全く知らない男の名前が出てきました。それが自分が間違いなく直接手