空気を読むこどもたち
田畑栄一です。「うちの子、空気が全然読めなくって…。」そんなことを仰るお母さまが稀にいらっしゃいますが。こどもたちは、我々大人が感じている以上に、とても敏感に空気を感じ取って日々を過ごしています。私が埼玉県教育委員会の指導主事を務めた3年間、たくさんの学校を訪問し授業を参観することができ、これが現在の私の学校経営や授業づくりのベースとなっています。そこで、この「空気」について思うところがありましたので、今回はそのお話をさせてください。
学校独自の「空気」がある
すべての学校や学級には独特の「空気」があり、それは下駄箱・返事・挨拶・姿勢などを見れば一目でわかると森信三先生(「真理は現実のただ中にあり」致知出版社刊)は述べています。確かにその通りだと思います。それらは校長の教育哲学や教育理念、学級を受け持つ先生一人ひとりの発する熱量等が醸し出す「空気」による現象の数々と捉えることができるからです。
また、たくさんの学校を訪問する中で、ある種の共通点や傾向が存在すると感じました。例えば、規律のしっかりした学校の子どもたちは何事にも一生懸命ですが「温かい笑い」が少ない印象を持ちました。あまり、笑わないのです。一方で、規律が緩いと感じる学校の子どもたちは、行動がなんとなく緩慢で嘲笑する雰囲気があり、人間関係の力関係が顕在化している傾向もあります。したがって、子ども同士の間に変な気遣いにおける緊張感や堅苦しさのようなものが見て取れました。
空気を左右する「温かな人間関係」
教育は規律と寛容さのバランスが重要です。しかし、いじめや不登校、自殺を防ぐには、そして、子どもたちがのびやかに意見を繰り広げることができる学校や学級であるには、規律や教育内容の前に「温かい人間関係の繋がり」があってこそです。そして、この「温かい人間関係の繋がり」は、学校やその学級が持つ「空気」を大きく左右します。指導を受けている子どもたちは、日々この「空気」を敏感に感じ取り、どこまで自分を表現してよいのかを考えて、いや直感的に気を使いながら対応しているのです。
だからこそ、漫才学習が作り出す「愉快な笑い」をポジティブにとらえ、そこから生まれる「朗笑・爆笑」が創り出す「温かい空気・雰囲気」を基盤とする、温かくほっこりした学校を創造したいと思い至りました。人間関係の繋がりを、より温かで、より確かなものに。そしてより多くのこどもたちが「自分は受け入れられている」と実感できるような学校、学級作りを実現していきたいというのが「教育漫才」にかける願いであります。
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