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#エッセイ
「ずっちのこと」と大家さんの猫たちのこと
台所の隅に、鯖虎の、毛もまばらな猫の赤子が置かれていた。母猫が咥えて運んできたのだろう、唾液のようなもので全身がべったり濡れていた。階下の大家さんの、まだ一歳くらいの子のお腹が膨らんできたのは知っていた。よく一匹でベランダの金網の中まで避難してきて、心細いような目でわたしを見たことがあった。赤子を助けてほしくて運んで来たにちがいない。赤子は死んでいた。
わたしはその赤ちゃんをどうしたのだったろう
ずっち原っぱ / Rock' N' Roll Suicide 97-99
「ずっちのこと」に出てくる野原のずっち。いつもここにいました。
この空き地は10年のあいだありました。(デヴィッド・ボウイ・ヴァージョン)