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アラサー運動記録〜サイクリングを始めて太るまで〜


30歳に近づくと今まで20代の頃とは明らかに
身体の色々な勝手が変わってくる。

 記憶力云々は仕事のストレスもあり(詳しくは私の1作目のnoteに書いてます。)心身の衰えが30手前でガクッと落ちているのを感じている今日この頃、精神的ダメージに気を取られて最近ようやく気がついたのですが“下腹が出てきている”という事実。

 元々私は、痩せ型とは言えないが太っているかと言えばそうでもない。181cmといいう身長の高さで誤魔化しているタイプの人間なのだが、それでもカバーし切れなくなってきている程にはお腹が出てきている。

 思い返せば、筋肉痛が忘れた頃にやってきたりちょっと階段を歩いただけで息切れしたりと、身体の衰えを感じる機会は今まで確かにあった。デスクワーカーなので、運動する機会も少ないのが余計に衰えを感じる場面が、増える事に拍車をかけていた。

 とりあえず走ろう。

 私は今まで行った事の無いスポーツショップで店員の言われるがままに1万円と少しのランニングシューズを買った。


運動してこなかった人間が
いきなり走ると整形外科行きになる。

 スポーツショップのお兄さんが言っていた通り、走る前はしっかり準備体操をした。膝に優しいとの事なので、薦められるままにその辺のスニーカーが買えるくらいのお値段のインソールも買った。そんなに長い距離も走ってはいない。精々0.5〜2km程度だったと思う。それも2、3日に1回としていた。

 膝が痛い。
 ランニングを初めて1ヶ月程度で身体に異常が現れた。最初は筋肉痛かと思ったが違う。足が地面に触れるたびに膝が痛い。シップをしても痛みが和らぐ事も無く、日常生活もままならなくなり、近くの整形外科に行く事となった。

『下流貴族さん、運動してこなかった人がいきなりランニングしたらそりゃ膝も痛めますよ。プールとかサイクリング、ウォーキングが効率も良いですしその辺から始めた方が良いですよ。』

 整形外科の先生からアドバイスをいただいた。聞けば私以外にも
“30手前でいきなり運動を始めて膝を痛める人”は結構多いらしい。

 かくして私の運動デビューは膝を痛めるという苦い結果となった。
 ちなみに今回訪れた病院の先生もサイクリングをされているとの事だった。自転車の話をするとなかなか熱く語ってくださり、近場にプールもなかったと言うのもあり、さらに私も次第に興味が湧いてきたのでサイクリングをする次第となった。


自転車に興味が無かった私が
10万円の自転車を買うまで。

 さて自転車選びである。困ったことに今私が住んでいる賃貸アパートには駐輪場が無い。したがって折りたたみ自転車が大前提となる。さらに困った事が、先述したが、私は身長が181cmある。その辺のホームセンターで売っている折り畳み自転車だと“サーカスの熊”のような見た目になってしまい格好が悪い。これには非常に困った。

 途方に暮れていると、そういえば近所、といっても車で15分ほどの距離に個人経営の自転車専門店が出来たのを思い出した。そこでなら何かヒントがあるかも知れない。私は日程のアポイントを取り、その自転車屋さんへと向かう事とした。

10万円の自転車との出会い

 自転車店のオーナー様に現状を話すと、とある自転車を提案してきた。ミニベロというジャンルである。以下の太字は私なりのミニベロについての説明である。間違っている箇所もあるとは思うので、ミニベロが分かる人はすっ飛ばしていただいた方が良い。

 ミニベロとは日本語で“小径車”と呼ばれており、広義的に言うと、24インチ以下のタイヤの自転車の事を指す。したがってホームセンターで売っているような折り畳み自転車もミニベロに区分されるが、自転車について書かれた書籍を見ると、サドルが身長の高い人にも合わせて調整出来るように造られた、折り畳み機構を備えているものや、スポーツ自転車(ロードバイク)をそのまま小さくした様なモデルを指している事が多い。コンパクトでありながらも、本格的なスポーツ走行も楽しめるという欲張りな自転車である。

 なるほど、これなら私でも“サーカスの熊”にならずに自転車に乗れる。折り畳みも出来るのでアパートの玄関にも置けるし、膝に負担をかけずに運動も出来る。一気に私の需要を2つも満たせる理想的なアイテムである。

 さてさてお値段は、である。自転車に関しては今まで学生の頃の通学に使っていたママチャリ位の付き合いしか無い。それの私の乗っていた通学自転車は親のお下がりだった。したがって、私の予算は出せて3万円程度だった。しかし店主の方が提示してきたマシン(店主の私物)はカスタム費用込みで16万円だった。想定額の5倍と少しの予算オーバーである。
 私はそんな大金は自転車には払えませんよと伝えると店主は
『まずその辺グルッと乗ってみませんか?』と、提案してきた。

 自動車ではなく、自転車の試乗である。

まず乗ろう、そして漕ごう。

 人生初の自転車用ヘルメットを身に付け、店主からは
『その辺を10分くらい走ってみてください。』としか言われなかったので、とりあえず漕ぎ出してみる。
 これが面白い。先述した通り、ミニベロとは狭義的に言うとコンパクトで本格的なスポーツ走行が楽しめる自転車を指すのである。ほんの少しだけ漕いだだけでグングンと速度が乗る。少し怖いくらいである。上り坂でもギヤを上手く選べば、運動して来なかった私ですら、学生のママチャリを簡単に追い抜ける。 

 初めて原付で公道に駆り出した感覚に似ている。気がついたら30分くらい走っていた。自分でも驚いたのだが、今まで運動して来なかった人間がノンストップで30分間も自転車を漕いでいたのである。
 自転車店に戻ってきた時点で私は購入を決めていた。

 体験・経験とは買い物をする時に極めて重要なファクターとなる良い例である。

 ただ、やはりいくら良い製品だとして、そしてその支払う価値があると理解した上でも、私のさもしいお財布事情を考慮してしまうと16万円は厳しい旨を店主に相談すると、そのお店の隅っこで色褪せて長期在庫になっていたミニベロに泥除けや荷物を積むキャリヤ、ヘッドライトにテールランプとヘルメットをセットで10万円というお値段で販売していただける運びとなった。 
 かくして私の苦いランニングデビューから1ヶ月少しでサイクリングデビューへと
転じる事となった。



 “食”と“サイクリング”の
親和性

 こうして自転車であちこち回るようになった私なのですが、このミニベロの“徒歩以上原付以下の生活圏“というのは思いの外アドベンチャーに満ち溢れていた。無料で楽しめる植物園があったり、サイクリングスポットに最適な川沿いの公園があったり、伝統的な長屋造りが立ち並ぶレトロなエリアがあったりと、今の場所に8年間住み続けているが、この徒歩以上原付以下の生活圏でも知らなかった場所やスポットというのは数えられないほど存在していた。

 ある程度サイクリングをするとお腹が減ってくる。知らなかったスポットだらけで、目まぐるしく変化するご近所の景色は時の流れを忘れさせてくれる程ではあったが、流石に腹の虫は誤魔化せないようだ。私は近くのコンビニでおにぎりを2つとお茶を買い、近くの公園でランチとする事にした。

 公園に到着して椅子を広げておにぎりを食べる。甘い。お米がとてもとても驚く程に甘いのである。別にコンビニで1つ2、300円するようなハイエンドおにぎりを買ったわけでは無い。精々130円程度のありふれた具材である。これがいつもなら具材の味だけを堪能していたハズなのだが、一口目のお米だけでも十分美味しい。恐らく本来ならお米にはこれくらいの風味のポテンシャルがあったのであろう。これが運動を通して味の感性が鋭くなったのかもしてない。私は目をまん丸にして昼食を済ませた。

写真を撮った当時はヘルメットが努力義務ではありませんでした。



 それからはサイクリングからの食事が定番メニューとなってた。
 初めこそは軽食がメインで精々サンドイッチ程度だったが、徒歩以上原付以下の生活圏もインターネットで調べるなかなか美味しそうなラーメン店があったり個人のトンカツ店やデカ盛りカフェがあったりする。気がつくとどんどんサイクリングランチがヘビーになっていった。
 運動後というのは糖質の吸収量が通常時の数倍らしいので体重が増えていくのは日の目を見るより明らかであった。

 自転車には乗るけれども、体重計は怖くて乗っていない。(やかましい)


スキニーが履けるようになって
スリムフィットが着れなくなった。

 結果としては上記である。今まで“スラックスなどのボトムスが縦に裂けた人間がスキニーを履けるようになってスリムフィットを羽織っていた人間がオーバーサイズを着るようになった”という滑稽な結末となった。

 だからと言って、食事は気をつけるようにしたもののサイクリングをやらなくなった訳では無い。運動自体は体に良いし風を切って走るのはとても気持ちが良い。折り畳み機構もあるので車に積んで旅行に行けば現地でも気軽にサイクリングを楽しむ事も出来る。そこでまた新たな食の出会いもある。10万円というのは大金だったし、自転車というジャンルで捉えたら高級車な部類である。しかし決して無駄な買い物では無かったと心から言える。私の生活圏を深く掘り下げてくれた存在であるし、食事の楽しさにも気づかせてくれた。風を切って走るのはとても気持ちが良い。
 私は自転車を友人数名にも勧めて2名を“自転車沼”へと誘った。

 30手前を迎えて体力の衰えを感じている方も多々いるとは多いますが、自転車いかがでしょうか?

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