柊(しゅう)

ライター/機能不全家族育ち。ライターをしながら四人の子供達の子育てに奮闘中。発達障害児…

柊(しゅう)

ライター/機能不全家族育ち。ライターをしながら四人の子供達の子育てに奮闘中。発達障害児の母でもある。少しでも「生きやすい」社会になるために自己体験を発信。好きな食べ物は米と肉。書くことで自己表現。「荒れた土地に根付いた私にもできる」がスローガン。

マガジン

  • コトノハ

    また読みたいと思った素敵なnoteを集めました。

  • 想いを繋げてくれた人たち

    私のnoteを紹介してくださった、素敵なnoteたち。文章にこめた思いが届いて嬉しいです。感謝を込めて。

  • 笑って泣いて、ぎゅっとして

    いちとの育児エッセイを集めました。親に愛情をもらえなかった私が、日々、あれこれ悩みながら子供達と向き合っています。

  • 柚木いちとのまとめ

    note編集部におすすめされた作品や、記事の中でも読まれているnoteをまとめました。

  • いちとの過去のことなどを書いたエッセイ。機能不全家族で育ったことや学生時代のことなど。

最近の記事

あの夜に買ったクッキー&クリームを私は甘くて飲めなかった

ぱちん、となにかが弾ける音がした。 気が付くと私は、夜の八時にひとりで散歩に出掛けていた。 いや、気が付いたらだなんてそれは嘘だ。布団のなかでうんうんと唸りながら考えて、衝動を抑えようとして、でもだめだった。いつもなら大丈夫なのに。子育てを始めて十年ほど経ち、家族になにも言わずに家を出たのは始めてのことだった。旦那にはあとから『散歩に行ってくる』とだけメッセージを送った。 11月の半ば、とても寒い。でも、ここから逃げたいという気持ちの表れかのように前に進む足は止まらなか

    • 久しぶりの投稿になりますが、色々ありましてライター名を改名しました。これからは「柊(しゅう)」という名前で活動していきます。よろしくお願いいたします!

      • 顔を上げなくてもいい、ただ生きて

        今年も読売新聞社が「#しんどい君へ」という連載をしているのが目に留まり、今のところ載せられた今年のすべての記事に目を通した。その記事のなかには私が学生の頃から応援している彼の姿もあった。いつもテレビで見かける彼らが語るつらい体験、そしてどのように乗り越えたか。どの記事も胸に残るものばかりだった。 でも、少しだけ胸に引っかかっていることがある。 このように表舞台で活躍している彼らが過去の体験、それをどのように乗り越えたのかを語るときによく目にする言葉がある。それは、「周りに

        • きっと息子達が忘れてしまっても、私と星はこの夜を覚えている

          「ママ、手をつなごう」 豆電球だけが付いているぼんやりとした暗い部屋で、私の手に小さな手が重なった。私によく似た丸々とした手が私の手を包んでくれる。この温もりを忘れたくないなぁ、と毎晩のように思う。声がする方を見ると、目が合った長男がニカッと笑った。 「ママ、だいすき」 「ありがとう。ママも、長男くんが大好きだよ」 ママの一番大切な宝物だよ、と私が言うと長男は「なんで?」と不思議そうに返してくる。そのまん丸とした目に映る世界が、長男にとって美しく優しいものであるように

        あの夜に買ったクッキー&クリームを私は甘くて飲めなかった

        • 久しぶりの投稿になりますが、色々ありましてライター名を改名しました。これからは「柊(しゅう)」という名前で活動していきます。よろしくお願いいたします!

        • 顔を上げなくてもいい、ただ生きて

        • きっと息子達が忘れてしまっても、私と星はこの夜を覚えている

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        • 掌編小説まとめ
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        記事

          呪いの言葉は、いつまでも私の心の深いところに根付いている

          子供の頃。たしかあれは中学生ぐらいのときだった。私の弟に対して母親が怒りまくっていたときに、母親の口からポロッと出てきた言葉がある。 「この家が気に入らないかもしれないけど、この家庭に生まれることを選んだのは自分なんだからさ」 今年30になった今でも、このときの光景も、母親の表情や声色もはっきりと鮮明に覚えている。実際にこの言葉を向けられたのはそこにいなかった弟だが、私もこの家に生まれた人間であるから、母親の意図は分からないけれど私にも向けられた言葉であることには変わりは

          呪いの言葉は、いつまでも私の心の深いところに根付いている

          正解なんて分からないけど、それでも進まなくては

          自閉症スペクトラムである長男は今日も幼稚園をお休みした。先週は一度も行けなかった。今週は二回も行けたから、長男にとってはものすごく頑張ったと思う。 年少の頃と比べて登園拒否の頻度はだいぶ減ったし、着替えるのを嫌がって泣いて暴れることも無くなった。そのかわり、「お腹痛い」「幼稚園に行きたくない」と言葉にして伝えることが出来るようになった。それはとても大切なことで、泣いて暴れなくても自分の気持ちを言葉にして伝えることが出来るようになったということ。そして同時に、その言葉を、気持

          正解なんて分からないけど、それでも進まなくては

          "働きたくても働けない"壁をぶち壊して、誰もが"その人らしく"働ける社会に

          今、私は「私らしい働き方」について日々模索して考えを巡らせている。しかし、考えれば考えるほど、今の私では、いや、今の社会では"私らしい働き方"を手に入れることは難しく、働くことさえままならないのが現状だ。 四人の子供がいる私は、子供達の年齢や生活スタイルに合わせて働き先を選んできた。コンビニの店員、医療事務、ガソリンスタンドの店員...など、たくさんの職種の中から家族の生活スタイルと時給やシフトなどを照らし合わせて一番良さそうなところで働いてきた。最近ようやく一歳半になった

          "働きたくても働けない"壁をぶち壊して、誰もが"その人らしく"働ける社会に

          友達なら誰でもいいんじゃなくて、彼女にいて欲しかった【呑みながら書きました】

          2回目の読み書きに、3日、じゃなくて参加させてもらいます。 今日は寝落ちしなかった!2時間寝かせてくれた旦那よありがとう。あれだね、1人で寝れると睡眠の質が違うね。盛大にヨダレ垂らして寝てたわ。 書きたいことだらだら書いちゃうよー。思い浮いた、違う、思い付いたこと書く。 みなさん、お友達いますか?一緒にご飯食べたり、たまに連絡取ったり、結婚式とか参加し合うみたいなお友達いますな??いますな、じゃないわ、いますか?? 私はいません。胸を張って言えます、いません。 たま

          友達なら誰でもいいんじゃなくて、彼女にいて欲しかった【呑みながら書きました】

          久しぶりにnoteを書いてみた

          久しぶりに文章を書いている。なんと、noteの更新は約三ヶ月ぶり。その間に、ひとつ歳を取ってしまった。記念すべき歳であるから、誕生日から一年、毎日note更新をしようと思っていたのにこのありさまだ。なんてこったい。 新年度が始まって、バタバタしていたらもう六月に入ってしまった。何にバタバタしていたのかと言うと、今年度は小学校の役員やらなんやらが3つ重なってしまったのである。コロナ禍だから今年度も大幅な行事の縮小はされるものの、新年度は引き継ぎやらと色んなことをしなくてはいけ

          久しぶりにnoteを書いてみた

          「助けて」と言いたい人ほど、声を上げることが難しい

          ずっとずっと、遠い昔の記憶。あれはたしか私がまだ幼稚園生のころだった。なにかをして父親を怒らせた私は、父親に体を強く床に押し付けられたことがある。父親を怒らせるとよくあることだった。その間、母親は我関せずにいる。私が泣いて助けを求めているなか、ラーメンを食べていることもあった。父親のあの殺気めいた表情を思い出しては、今でも恐怖で体が震えてしまう。ギャンブルばかりでほとんど家にいなかった父親との記憶といえば、こんなものばかりだ。 虐待を、そして虐待によって救えなかった命をひと

          「助けて」と言いたい人ほど、声を上げることが難しい

          下世話ばなしは犬も食わない

          昨年、四人目である末っ子を産んだ私はこの頃、色んな人と顔を合わせるとよく「5人目は?」と聞かれることがある。それは近所のおばさんだったり、そう親しくないママ友だったりと、ありとあらゆる人にそう言われることが多くなった。ついでに言うと、三人目を産んだあとは「4人目は?」とよく聞かれた。その言葉を聞くたびに、私は体の奥底から不快な気持ちが押し寄せてくるのだ。率直に言うと、「気持ち悪い」。その一言に尽きる。 結婚をすれば「子供は?」、一人目を産めば「2人目は?」、女の子が産まれた

          下世話ばなしは犬も食わない

          もう戻れない日々を、懐かしいあのときを

          年明けすぐに1歳になった末っ子が上手に歩くようになった。誕生日を迎えたころは覚束なかった足取りが、親と手を繋ぎながらよちよちと歩く。まだまだ小さいのに自分の足で立ち、そして歩いている末っ子を見てなんだか感慨深い気持ちになった。 最近、末っ子は散歩が好きだ。朝、お兄ちゃんとお姉ちゃんたちが幼稚園や学校へ行くとお見送りのために玄関へ行き、「ぼくも!」と言わんばかりにお兄ちゃんからのお下がりであるちっちゃな靴を私に向けて持ってくる。 あぁ、この子の靴を買わなきゃな。 だいぶし

          もう戻れない日々を、懐かしいあのときを

          春の陽気のような文章を

          次女から「ママはどの季節が好き?」と聞かれて、少し考えたあとに「冬と春の間ぐらいかな」と答える自分がいた。それまで、どんな季節が好きなのか、深く考えたことがなかったように思う。夏は暑いから嫌だ、冬は寒いから嫌だ、というものはあるけれど、なんで私は冬と春の間が好きなんだろう。特別に良い思い出は無いけれど、なぜだか春が来ると思うと心が小躍りするのだ。 ふと、そういえば私は春生まれだったなと思い出した。冬と春の間では無いけれど、桜が散ってピンク色の空から青々しくなるころに私は生ま

          春の陽気のような文章を

          違いがあるからこそ、愛おしいんだ。

          私には、小学生で年子の娘達がいる。 長女は絵に書いたような優等生タイプだ。勉強も出来て、面倒みが良い。先生からの信頼も厚く、よく懇談会では「長女ちゃんはこれからリーダーとしてみんなを引っ張っていく存在になると思います」と言われた。誰に対しても優しく、三人の妹と弟達も長女のことが大好きだ。学校では真面目な様子だけれど、家では兄弟のなかで一番にはっちゃける子だ。すごく、バランスが良い子だなぁと我が子ながら思う。実はちょっとドジなところがあるのも可愛らしい。 次女は、とてもマイ

          違いがあるからこそ、愛おしいんだ。

          負の連鎖を断ち切ることを強く誓って、私は今日を生きている。

          「もういい、あんたなんか出て行って!」 決して広くないアパートの一室でまだ1歳にも満たない妹が顔をくしゃくしゃにして泣き叫ぶなか、その泣き声よりも大きい耳をつんざくような悲鳴にも似た声が聞こえた。 私にそんな言葉を吐き捨てた母親も、泣いていた。なんで母親が泣いていたのかあんまり覚えていないけれど、きっとこのとき家にいなかったギャンブル依存症の父親が原因だろう。いなかったのも、パチンコに行っていたからだったような気がする。 そのとき、私とひとつ年下の弟は夜ご飯を食べていた

          負の連鎖を断ち切ることを強く誓って、私は今日を生きている。

          「自分らしく生きれた」と胸を張って

          つい先日、10年ほどお世話になっているカウンセリングの先生にこんなことを言われた。 「いちとさんはタフなんだね」 この言葉を聞いたときに、私は最初、「ええ?」と笑ってしまった。もう長いことカウンセリングに通っているということは心がまだ元気ではないというか何かが引っかかっているということで、私も昔と比べて精神が安定したものの定期的に心に溜まっているものや突っかかっているものを吐き出さないとすぐにしんどくなってしまう。 そんな人に「タフですね」と先生はあっけらかんと言うのだ

          「自分らしく生きれた」と胸を張って