見出し画像

耳鳴り潰し77

 長嶋有に「ねたあとに」という小説がある。仲間と集まって、いろいろなオリジナルゲームで遊ぶ話である。私はこの小説に感化され、独身時代、様々なオリジナル一人遊びゲームを作っていた。話の中に出てくる「ケイバ」という麻雀牌を使ったゲームは実際に試行し、それを元に「ドッグレース」「マウスラン」といった、短縮バージョンのゲームのルールを微調整していったりした。


 今回、子どもたちと遊んでいる最中に、UNOの後で「次何やる?」という流れになった。「あれは今気分じゃないし、あれはケンちゃんできないし」と娘が考えている最中に、ふと「ケイバ」というゲームやってみる? と提案してみた。

 とりあえずUNOから数字以外のカードを抜き取り、ワイルドカードを一枚だけ加える。赤・青・緑・黄色の各色のカードを一枚ずつ取り出して、先頭に置く。一枚だけはみ出る形になるので、それが最初の一枚。裏返して出た色を、先頭のカードの後ろに置く。緑なら緑の後ろに。そして先頭の緑のカードの次のカードをめくる。青が出たら、次は青の列のカードをめくる。出た色の列のカードを順次めくっていき、一番最初にその列のカードが開ききった色の勝利となる。ワイルドカードが出た場合は、その時点で一番出遅れている色がめくられる。最下位が二色ある場合は、賭けた人でじゃんけん。

 プレイヤーの数は2~4名。自分の賭ける色の前に何か置くなどする。人数によって勝利報酬は異なる。

 といった説明をすると、娘から「ギャンブルやん!」という声。まあとりあえず一回やってみよう、となる。始めは赤が連続で進んで黄色が一枚もめくられず、という感じだったが、どうしたって偏りはならされていくので、終盤デッドヒートの展開となる。麻雀牌でやる場合は、字牌が出るとその列を続けて進められるので、展開が異なる。

 このゲームは実況で適度に盛り上げていく必要がある。めくり間違いもレースの勝敗に直結するので、実況に気を取られて間違えないように気を付けないといけない。

 デモレースを一回しただけで、実際のプレイはしなかったが、他人と「ケイバ」をするという、一つの夢が叶った。高野文子が挿絵を書く、2007~2008年当時の新聞連載を、切り抜いていたことを思い出す。当時は家の中に新聞があったのだ。

 シロクマ文芸部「ラムネの音」に「音がら」で参加。以前書いた「声がら」の続編であり、「本を読むカラスたち」とも微妙にリンクしている話。

 子どもたちは最近ずっと「銭天堂」を観ている。と思ったら、「おいしい給食」の最初の劇場版を観始めた。


入院費用にあてさせていただきます。