見出し画像

【家賃からの解放】 無人島

そもそも日本という国は 6852個もの「島」から成り立っていて、海洋面積だけなら 世界で第6位の広さを誇る海洋大国

その島や 海を活用することで、この国は栄え続けることができる、ということになる

最盛期には「鯛」や「真珠」の養殖で、たくさんの島が活気づいていた

そんな島々も いまでは無人島になってしまった島が目立つようになった

日本は「専守防衛」というシステムを採用していて、攻撃されない限り、自衛隊が出動することも、こちらから攻撃することもできない

例えば、五島列島などは、市長が「島の不法占拠」特に難民を装った中国人の不法占拠を「国に直談判した」などということがニュースにもなったほどだ

誰も住んだことのない、人の手のまったく入っていない本当の無人島だと、いきなりの入植は難しいが、

その最盛期に一度は人が住み、そこで養殖などを営んでいた「元有人島」は、船着場や生活体制が整っており、不法占拠しやすいのである

仮に不法占拠が見つかっても「遭難した」と言い張れば、不法入国にも関わらず、こちらから無闇やたらに攻撃することはできない

そのあたりのことを難民は理解している

難民だけなら まだいいのだが、軍事戦略として、あきらかに訓練されているであろう兵士たちが 基地にすべく「不法占拠」してる場合があるのだという

五島列島の市長が問題にして、ニュースにまでなったのは、後者の方だ

五島列島に潜み、佐世保にある日本の軍事拠点を陥落させて、沖縄を狙い、台湾へ、であるとか そういった軍事戦略だそうだ

その島に日本人がいない限り「国民を護る」という大義名分で出動することもできない

そこでそういった「元有人島な無人島」への移住を 行政をあげて推進推奨しているのが現状

そういった国防とは関係なく、資源や資産として「元有人島」は、空き家と同様に 風化させてしまってはもったいない

なので、そのほとんどが なにかしらの有人島である瀬戸内海も、そういった「過疎化してしまった島の活用」が推奨され、様々な助成や補助も含めた取り組みが行われている

参考情報☟


僕がいま取り組んでいる「多拠点移住型教育プログラム」では、山・海・街、それぞれの拠点を移住していくことで「人間の可能性の最大化」を計ることを念頭においており

瀬戸内海の3つの無人島を候補に、そのいずれかに拠点を設けようと進めている

そんな「無人島活用」のキッカケとなったのは、僕の「牡蠣の師匠」との出会いだった

「牡蠣の声が聴こえる」

牡蠣の研究に没頭していた僕は「日本で一番の牡蠣漁師」に会って話を聴いたり、勉強させてもらいたくて、何かと情報を集めていた

そんな時に、無人島でひとりで生活して牡蠣をつくる、仙人みたいな生産者がいる、という話をたびたび聞くようになった

とりあえず連絡をとろうと試みたのだが、あくまで「噂話」ばかりで、一向にその正体がわからない

それもそのはずで、その牡蠣は一切「流通していない」というのである

どうやら、つくっている数が決まっていて、しかも、その分だけもう予約が入っていて、その「権利」を持っている人だかしか買えない、手に入れない仕組みだという

なので、通常の漁協さんや 漁業関係者の方からでは一向に繋がらなかった

そこで、その「幻の牡蠣オーナー権利」を持った人はいないだろうか、と、事あるごとに話題にしていると、些細な綻びがでるもので、都内の某高級鮨店の大将が仕入れている、というのだ

ただその鮨店の大将も直接ではなく、そのお店に来るお客さんから仕入れてるのだという

そこで、その大将になんとか頼みこんで、そのお客さんに繋いでもらって、その方にやっと連絡方法を教えてもらえた

連絡方法は、メールのみ
事前に連絡を入れてもらうと、メールアドレスを教えてもいい、とのことで、やっとその手がかりとなるメールアドレスを入手することができた

基本的にはどこにある島かもわからない、牡蠣は宅配便で送られてきて、送付元住所は、品川のオフィスビルにある会社の住所になっているという

やりとりを始めても、まだ仕入れられているわけではないので、そのあたりもわからないままなのだ

そこから約2年ほど、やりとりさせてもらっていたある日

「カキペディアみてます。○月○日で構わないのであれば、島に来てみますか?」というメールをもらった

カキペディアとは、僕が書いているオンライン牡蠣百科のこと

約束なので、所在は一切明かせないが、指定された港に着いたら、その「師匠」らしき人が

そして乗せられたのは、漁船ではなく「クルーザー」

クルーザーとは、高級ホテルのような内装の、たまに映画とかでお金持ちが遊んでいる、そういう船

歳の頃は40代の男性…いまだに正確な歳も本名も知らないままなので、そのあたりの描写は省かせてください

そこから約4ヶ月、その師匠の島で生活させてもらったのですが、そのあたりの事を聞くと口をつぐんでしまい、下手するとしばらく無視されてしまうので

その島で師匠は、自分でお酒もつくっており、その謎の酒がまだなかなかイケるのですが、酔った師匠がたまに饒舌になることがあり、その際に聞いたことをまとめると

どうやらアメリカの証券会社に勤めていて、IT会社を起業したのか、もしくは投資したのか

それで財を成して、船で旅をしていたが、いまはたまたまこの無人島で、牡蠣を育てたりしている

本人は牡蠣漁師だという自覚はないらしく、その牡蠣も、たまたま知り合いに送ったら、そうやってクチコミで拡がり、なので値段があって無いようものだという

そして本人曰く、職業は「禅の僧侶」なのだという

たしかに全体を通して、なにかと「禅問答」のようだった

その無人島では、ほぼ自給自足の生活をしており、米や野菜をつくり、山菜を集め、魚を漁り、それこそお酒まで

ニワトリも飼っていたが、肉だけは陸に上がったときにまとめて買って冷凍しておくのだそうだ

そこはベジタリアンでもビーガンでもないんだな…僧侶もいろいろだな、なんて思ったのをなんとなく憶えている

電気も通っており、プロパンガスと、インターネットも完備、ケータイも通じる

逃亡者…ではない
犯罪の匂いはなく、と言い切れるのは、たまに海上保安庁の職員も見廻りにきていたからだ

牡蠣は干潟の生き物だから、と、潮が引く浜と、吊るす場所と、竹で編んだ籠(カゴ)を使って移動させながら育てていた

その竹の籠も、その籠目の大きさで数種類ある

牡蠣の大きさによって、移し替えていくためで、目が小さいとエサを食べにくいので、牡蠣の成長に合わせてできるだけ大きな籠目に移す

元々そこにあった家屋を修繕したり、改築したりと、楽しみながら住んでいて

なんで牡蠣なのか?と聞いたら

牡蠣だと、しばらく陸に上がっていてもちゃんと育ってくれる、無人島だし、最初は万が一のための保険としての食糧確保のつもりだった、と

あとは、その「牡蠣の声が聴こえる」から

禅を学び、体得していくにつれ、ひとりで無人島にいる事自体が修行で、牡蠣だけでなくいろいろな「声」を感じるようになった、とのことらしい

その牡蠣の竹カゴには番号がついているのだが「6番と14番を移動」とか指示がある

僕にはどれも同じにしかみえないのだが、牡蠣が「いまです」と言ってくれている、というのである

さらに師匠いわく「牡蠣は人のために生まれてきてくれた生き物」

人間に必要なものをビタミンC以外、すべて兼ね備えていて、しかも「逃げないだろ?」と

山の柑橘と合わせることで、自然がそこで渾然一体となり、かつ、一番おいしくなる

牡蠣は浜に転がっていて、逃げも隠れもしないんです、というか構造上、できないんですよね

さらに、硬い殻と、上下の貝柱でしっかりと閉じていて、人間が道具でも使ってコジ開けない限り、開けて食べることは難しくもなっている

かのシェイクスピアが「牡蠣のように堅く閉じていても、俺は剣で開けてみせるさ!」というセリフを書いた

それは「世界はすべて俺のもの!俺の思いのまま!」というようなドラえもんのジャイアンのごときセリフなのだが

牡蠣のような開けにくいものでも、思うがままに開けることができるということを「世界を思いのままにすることできる」ということに結びつけた

そのセリフは、東京ディズニーシーのTower of terror(タワーオブテラー)のステンドグラスでも観ることができる

それ以外にも欧米において「オイスター」は「口がかたい」だとか「セキュリティが強固」という意味でも使われたりもする

人間に必要な栄養素を兼ね備え、人間にしか開けて食べることができない仕様になっている

師匠がいうように、まさに「人間のために食べられるために生まれてきてくれた生き物」

オオカミにおける鹿のごとく

鹿もオオカミが現れると、一番オオカミに近い鹿が気絶して、他の群れを助けるのだとか

そして、オオカミは鹿を見るとヨダレがでて、鹿はオオカミにとって一番おいしくなるように…

「食物連鎖」

必然であれ偶然であれ、その命をいただく

だからこそ「一番おいしい状態」にする

そして牡蠣が「どうしたら一番おいしくなるのか」を教えてくれる、というのだが

先に言っておくと、僕はいまだに牡蠣の声は聴こえない

一緒に山に入ると、師匠はまず座禅を組む

そしてしばらく待っているたと、おもむろに「アソコとアソコ」と指をさす

するとそこに「食べられるキノコ」が生えていたりする

本当になにかしら声が聴こえてるのかもしれない…

一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎ、三ヶ月目になっても、その牡蠣を食べることは許されなかった

ちなみに、ずっと無人島にいるわけではなく、師匠と一緒に陸に上がり、来たければまた一週間後にここで、みたいな感じ

どうやら陸での生活というか、そういうのもあるようだった

味見くらいは…と思ったが、師匠が「まだだ」というのだから仕方がない

そんなある日、師匠がしこたま酒を呑んで、寝てしまった…と思っていたら

「8番のカゴの牡蠣がもうダメだ…ついつい酒を呑んで申し訳ないことをした」と言い出し

「8番を海に還してきて欲しい」と頼まれた

その日は満月、牡蠣のいる浜まで、その月明かりを頼りに歩くことができた

家から浜まで 一本道なのだが、少しあるのである

カゴを海から上げてみると、ちょうどいい大きさで食べごろ…僕も牡蠣を少し齧ってますから、それくらいはわかる…

酒が入っていたからですかね…海に還すなら…ひとつくらいは…それこそ齧っても…

開けようとした、その瞬間、バチンっ!

衝撃とともに激痛が、それが連続で続く…

師匠がいつのまにか後ろに立っていて、籠をつくるために割き分けた、ムチのようになった棒状の竹で…永遠に引っぱたいてくるのである

カラダ中がミミズ腫れになっていく…

あげく、海に向かって蹴飛ばされて…ドボン…

わけがわからないやら、ミミズ腫れに海水が染み込んで…激痛すぎるやら…

ただただ呆然と 満月の下、凪いだ静かな海にプカプカと浮かんでるしかなかった…泳ごうにもミミズ腫れが痛すぎる…

家から浜までどうやって…というか、酔って寝てたやん…こんな波の音しか聞こえない…風もない静かな夜に…物音ひとつ立てずに…

そもそも、なんで食べようとしたのがわかったんだ?

なんとか這い上がり、家まで戻ったが、そこから先、師匠はなにひとつ口をきいてくれなくなり、完全に無視…

翌日、一言だけ「この島から出て行け」と言われ…

師匠の知り合いだという漁師さんが船で迎えに来てくれていた

何度か謝ろうとメールをしたりもしたが、返信はなく

それから数年の歳月が流れ、一念発起、直接、島を訪ねてみることにした

島に辿りついてみると…そこは「もぬけの殻」…誰もおらず

たまたま出かけていないという様子ではなく、いろいろと観ていたら、どうやら 2016年を最後にこの島を後にしてしまったらしい

2016年、この年がひとつの転機なのか?と思える出来事がたくさんあった

環境問題やその対策について話し合う「パリ協定」もこの年だった

その 牡蠣の師匠を始め、僕が知り合った自然や環境に関わる人たちが忽然と消えたり、連絡が取れなくなったり

そのあたりの話はまたカキますね

本日は「無人島」正確には「元有人島だった無人島」も【家賃からの解放】の可能性があるってことで〆たいとおもいます

この「家賃からの解放」は連載してましてマガジンもつくりました。いまのところこの他にすでに7本の記事を公貝…もとい公開しております☟

海が元気な方が美味しいものが食べれる!読むだけで海に森をつくれます(Kindle Unlimitedメンバーの方は特に)よかったらご協力…ご購読よろしくお願いします☟

それではまた次の章でお逢いしませう

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?