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家賃からの解放

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家賃なしで都内の一頭地に住める?その謎に迫ります
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【家賃からの解放】 天国のような監禁

ありがたい仕事だった ホテル暮らし 広めの部屋にオフィスデスク、ダブルベッド、簡単なキッチンに、風呂も付いている バス、トイレも別 長期滞在するのなら、バスとトイレが別なのは、かなりのポイントとなる 4日に一度だが、清掃もしてくれる 離婚して以来、万年床を基本にして生きてきた身としては、4日に一度はパリパリのシーツの上に寝れるっていうのは、都度生まれ変わったような錯覚に陥る まぁ、ほんの一瞬だが 施設内には露天風呂付きの温泉設備がある それだけにとどまらず、

【家賃からの解放】 宇宙ステーションをつくってみよう!

「もはや家賃とか、そういうの関係ないやん」 「まぁ、、ね」 ー 空気、水、食べ物 住、そして衣 宇宙でどう確保します? ー 重力がない中でも、だんだんそれに馴染んで、カラダも進化していくっていう考え方もありますけどね 筒を回転させる 遠心力で、こう、その内側の壁面に押し付ける感じで、重力を発生させる その場合でも、やっぱり、空気がないといけない 「抵抗」が生まれないんですね ー 地球に住めなくなると仮定して、ざっと分けると3つの可能性を現在の人類は模

【家賃からの解放】 逆さの城(4)

そもそも「氷見うどん」というのは、茹でたあと、冷たい水で〆て、大層コシのあるうどんだと、Sがいう ところが、ホテルのレストランで出てきた「氷見うどん」なるものは、コシのカケラもなく コシがないだけなら、博多で有名な、わりと柔らかくなるまで茹でたうどんも わざわざ指定よりも長くふやけるまで時間をかけてつくる「10分どん兵衛」が流行ったりもした このホテルのレストランの「氷見うどん(仮)」は、なんだかぬるぬるしていて、そういった明確な意図を持ってつくられたとは、到底思えな

【家賃からの解放】 意図と経緯

おもしろい読み物として「環境デザイン」の提案ができないものだろうか、はじまりはそんな漠然としたものでした そのためには文章力が必要だとわかり、ライター塾を主宰されている森先生に師事 そこで先生方がともに執筆企画を練ってくれたのです 「もう十年以上も定住せずに暮らしている話はおもしろい。それを書いてみては?」と そして生まれたが、この【家賃からの解放】なのです 「家」とはなんなのだろうか 寝て、起きて、食べて、仕事をして、帰ってきて、また寝るところ 雨風を凌げるだ

【家賃からの解放】 逆さの城(3)

「災害が起きたらね、もしかしたら、このホテルが『ノアの方舟』になるかもしれないんだ」 「ノアの方舟って、あの聖書のお話ですか?」 「そう、それ」 大きな船を船を造り、大洪水から生き延びたという、聖書の有名な逸話 「バブル……ってわかるかな」 「わかります、わかります、大丈夫ですよ。だって私、日本育ちなんで」 「あ、そうなの。どうりで日本語がうまいと思ったよ。見た目は、完全に欧米の人なのにね」 肌も白く、目は青くはないが、髪は赤毛、何より顔立ちは完全に欧米人、そも

【家賃からの解放】 逆さの城(2)

城が燃えているようにみえた 人は同じところを見つめていると、周りの景色がブラックアウトして、ある種のトランス状態に陥る ゆらゆらと揺れるロウソクの焔をみていても 目の前の富山城がある公園の一部が、暗闇の中で、ぼわりと燃えたように揺らぐ その灯りが、城跡をゆらゆらと照らすものだから、城が燃えているかのようにみえた 薄暗くした部屋の中から、ぼんやりと眺めていると、だんだんと恍惚としてきてしまう 小さなテーブルを窓のそばにおき、ひとりがけの椅子を2つ、同じく窓から外がみ

【家賃からの解放】 逆さの城

うどんが、おかしい 富山市内にある、全日空ホテルの一階のレストランでのこと 正式名称は、ANAクラウンプラザホテル 昔は全日空が管理運営をしていたのだろうが、最近は、海外のホテルチェーンに運営を委ねることも珍しくはない クラウンホテルは、アメリカの大手ホテルチェーンが運営している 一番上のランクが、グランドインターコンチネンタル、そこから、インターコンチネンタル、クラウン、ホリデイインと続く ホテルチェーンが設定した格付けとしては、3番目にあたるが、富山市内では、

【家賃からの解放】 解きすでに壊し

帰ってきたら、家が更地になっていた 渋谷の駅から二駅ほど、川沿い 春には桜並木とその花びらが、一面を覆い尽くす、それなりの名所 大きな公園もあり、そこかしこに小さな憩いとなる小さな公園も点在していて、住環境も申し分ない 住宅街ではあるが、渋谷からすぐという便利な立地と、川沿いが散歩道の役割を果たしていることもあってか、桜の季節ではなくとも、人通りは多く それをアテにした飲食店や商店などが立ち並ぶ 都心中の都心にも関わらず、住環境も良しときて、人気も高い 人気が高い

【家賃からの解放】 ビットコイン奇譚

岡部くん(仮) まぁ、岡部くんが行方不明になってしまったのは、仕方がないことといえば、仕方のないことなのかもしれない 誰しもが、ビットコインがこんなにも価値あるものになるなんて思わなかったろうし 何より、最初はそういったお金儲けであるとか、投機目的で、ビットコインを始めたわけではなかったのだから ビットコインがまだ、世の中にこれほどまでに知れ渡っていない頃 プロダイバーな弟子がおりましてね、便宜上、名前を「岡部くん(仮)」とさせてください 「海護(アマモ)る活動を

【家賃からの解放】 エデン

フランスは焦っていた 花の都パリにおいて、最高気温が26℃を上まわることはなかった。2010年までは 最高気温がどんどんと更新されていく 北半球の真夏である8月だけににとどまらず、4月から10月にかけて30℃を超える真夏日を記録するようになり 2018年にはついに、あわや 50℃ という気温まで迫った ヒートドームと呼ばれる、その現象は 北半球の中でも北側のエリアに 突如としてピンポイントで現れ パリを脅かしただけでは飽き足らず シベリアの永久凍土を溶かし カナ

【家賃からの解放】 山

もう一週間は 風呂に入っていない 電気も水道もガスない山の中 当然ながらテレビもラジオもない ワクワクして始まった山中生活も、水だけでも調達するのに一苦労する環境に、最初の3時間くらいで不安をおぼえ 夜には、静寂すぎて耳がどうにかなるのでは?など心配していたが、そんな心配の必要はまったくなく、別の意味で耳がどうにかなりそうだった 虫だの、ムカデだの。獣の鳴き声だの、ガサゴソガサゴソ、とにかく「五月蝿い」まさに「ハエ」だ 最初の3日間くらいは ほとんど寝られなかった

【家賃からの解放】 覆面ホテル

ホテルというのは生き物である 人々の生活というものの一端を担うにも関わらず、常に人が入れ替わり立ち替わり、物凄い速度で新陳代謝を繰り返していく 一方、特異な新陳代謝がゆえ、酸素であり血液である宿泊者がいなくなると、これまた物凄い勢いで衰えていく そういったサービスであり産業であるからこそ、ユーザーは叶うなら「一番新しい情報」が欲しいと願っている それはどんなに格式ある 老舗ホテルであってもだ 例えば大阪のリッツカールトン 何十年も続き、コロナになろうが、安定した宿泊

【家賃からの解放】 無人島

そもそも日本という国は 6852個もの「島」から成り立っていて、海洋面積だけなら 世界で第6位の広さを誇る海洋大国 その島や 海を活用することで、この国は栄え続けることができる、ということになる 最盛期には「鯛」や「真珠」の養殖で、たくさんの島が活気づいていた そんな島々も いまでは無人島になってしまった島が目立つようになった 日本は「専守防衛」というシステムを採用していて、攻撃されない限り、自衛隊が出動することも、こちらから攻撃することもできない 例えば、五島列島

【家賃からの解放】 海に住まう

新しい移住先は伊豆半島の下田で、目の前にたくさんの漁船が並んでいる、さすがリゾートアイランド「伊豆」近くにヨットバーバーも威風堂々と 「ヨット」っていうと皆さんどんなイメージをお持ちだろうか? 晴れ渡った日、三角形のきらびやかな帆を立てて、白波をつくりながら颯爽と、海原を疾走していく ヨットも幅広くて、ウインドサーフィンのような、サーフボードに帆がついただけのものから、高校生とかも参戦する、スポーツ競技としての簡易なものから、 居住空間とかが充実していて、何人もの乗組