課題図書「けんかのたね」読書感想文の書きかたのコツ
とってもシンプルなお話。「国語のクライマックス」も、ものすごくわかりやすい。四人きょうだいが大けんかをして、それぞれ人のせいにして、お父さん、お母さんに叱られる、というのが、前段。
しかし、「ぼくもきょうだいとよくケンカをして……。」という体験を書く本ではないのが、少し難しいところ。
四人きょうだいが、大ゲンカをする。
お父さんが、なぜけんかになったのか、考えるように言うと、一番上から順番に、すぐ下のきょうだいが「こんなでこんなだから悪い。ケンカになった」と言い出す。
すると、2番目は3番めを、3番めは4番目のことを挙げて、
「◯◯がこんなんことをしてあーちゃらこーちゃらだから、ケンカになった」
と、次々に言う。つまり、言い訳だ。
だれの言い訳も、けっこう苦しい言い訳。
そして、四人きょうだいの4番目は、もう下にきょうだいがいない。そこで、飼っているイヌのせいにする。イヌは、ネコのせいにして……。と、無茶振りな言い訳、なすりつけが、つづいていく。
ここで、終わりかな?
と思ったら、ネコはなんと、その家にいる、ネズミが「あーたらでどーたらで、悪い」と、四人きょうだいと同じような苦しい言い訳を始める。
ネコとネズミですから、「食べてやる!」となる。
しかし……。
このお話のキーマンは、このネズミです。
ネコの前のネズミ。いつ、食べられてもおかしくない。
ああ、絶体絶命!
しかし。
だから、腹をくくったのか、何か、勝算があったのかわからないけれど、
ああーそうだ、自分がけんかのたねだ。どうぞ好きにしてくれ!
自分が原因! と認めたのだった。
どう考えても、四人きょうだいたちの屁理屈、責任のなすりつけが、とうとうネズミまで来ただけなんですけどね。
ここが、絵本のちょっとむずかしいところ。
なぜネズミは、あーあー、兄弟げんかは、みーんなおれのせいだ! オレの命、どうぞお好きに! ということを言ったのか?
明らかに、ここがこのお話の「国語のクライマックス」です。国語のクライマックスについては、以下を参照。
絵本あるあるなんですが、文字量が少ない=情報量が少ない、つまり、なぜネズミが、こんなことを言い出したのか、まったく書かれていないのです。
だから、ここは「想像せよ!」ということになります。
ネズミの表情とか、よく観察しましょう。どんな感じで言ってます? ホントに命はいらない! と思っていそうですか? そうは見えないんですよね~。でも、汗をたらしていますね。なぜでしょう。
ネズミの気持ちは、書かれているセリフ、言動と、絵から読み解くしかない。そう、これも「図の読解」です。
しかし、ネズミのこの行動がきっかけで、今度は下から上に向かって、みんなが反省していく、となります。
でも、このお話は、これでめでたしめでたし、ではないんですよね。
最後の場面は、「ネズミが~ネタバレ~」というところで終わります。
ちょっと不思議です。なぜこの場面が?
でも、ここも想像して、「こうなんじゃないかな?」と自分の考えを書かなければなりません。
なぜ、この場面が、このお話の最後にあるのか?
それは、ネズミがネコに、
「自分がけんかのたねだ。好きにしろ!」
と言ったことと、関係しています。
ネズミの真意が想像できないまま、
「きょうだいがけんかをしているところを読んで、ぼくのきょうだいたちとのケンカを思い出しました。お兄ちゃんは~~。」
と、ふつうに体験談を書いていくと、ちょっとこのお話の趣旨とズレた、読書感想文になってしまいます。もちろん、評価はされません。
「ネズミが、『自分のせいだ、好きにしろ』と言ったのは、~~~で~~~~と思っていたからだと思います。」
という、「自分なりの予想」を書かなければいけません。
それについて、根拠をあげて、理由を書かなければいけません。
つまり、論理的思考力が必要となります。
簡単に書けそうに見えて、実はむずかしい本です。
低学年向けですから、おしゃべりが好きで、自分が想像したことを話したり、お話をつくったりするのが好きな子には、とても向いています。
間違っても「作文嫌い」「作文苦手」というお子さんは、選んではいけません。
他の本を選びましょう。
低学年向けの課題図書で、いちばん書くのがむずかしい本です。
よし、挑戦しよう! という方は、
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