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課題図書「ふたりのえびす」読書感想文の書きかたのコツ
正統派のザ・物語!
「おちゃらけキャラ」の太一と、転校生で「王子」と呼ばれ女子に人気の優希が、笑いと福を招く「えびす舞」を踊ることに。
テーマは、「キャラを演じる自分の葛藤」。今どきな感じです。共感するお子さんも多いでしょう。文章も読みやすいです。
優希は、都会から転校してきた、スラッと長身のイケメン。
それだけで、太一は最初、優希に少々、反発します。そんな優希が「えびす舞」役に立候補すると、太一を始め、女子たちもみんなが驚きました。
「えびす舞」というのは、文字通り、えびす様の扮装やメイクをして、こっけいな振り付けで見ている人を笑わせる舞です。
トップイラストは、恵比寿様と、大黒天だけど、こういうメイクをして、腰をふりふり、タイを釣るのです。
「王子がやるものじゃないよー!」
と、女子たちは大騒ぎ。でも、「やりたいんだ」と、自分の気持ちをストレートに表現する優希に、太一は気持ちの置きどころが、定まりません。
「ありがとるねーど」
など、おもしろい言葉を使う「おちゃらけキャラ」で通っている太一。
実は、みんなの前で、自分が設定したそのキャラを、演じています。
おもしろワードも、家で考えてノートに書いているもの。ただ、こういう言葉を考えるのは、好きなのです。
同じ県内から転校してきて、この学校では「おちゃらけキャラ」で行くことに決めた。前の学校では、ひとりぼっちではなかったけど、「いてもいなくてもいい存在」だったから。
この学校では、「おちゃらけキャラ」が受け入れられた!
だから、太一は一生懸命、「おちゃらけキャラ」を守ろうとします。
「本当のオレ」がバレないように。
キャラ設定のために、本当は、他人がつくった海苔巻きやおにぎりが食べられないのに、無理して食べる。いろいろ、無理をしまくり。
でも、「えびす舞」の練習で、優希とふたりで濃密な時間を過ごす中で、「キャラ」について考えるようになります。
「えびす舞い」を教える親方に、
「演じるだば、おめんど得意だべ。」
と言われて、「心臓がドキッと」します。
優希は、キャラ設定とは無縁の子。
女子に「王子」と呼ばれてキャラを押し付けられるのも、イヤ。
思ったことは、そのまま言葉にする。
キャラを押し付けられがちだけど、「キャラ設定をしていない子」です。
そしてある日、太一は優希にズバッと言われます。
「君のキャラ設定って何なの? すごく無理してるでしょ。無理やりテンション上げたり、ふざけたり。そんなの、見ていてツラい。ぼくだってムカつく。」
「今、怒ったね。ということは、図星ということでしょ。」
太一、どんどん畳み掛けられます! 親方にも、優希にも、バレていた。
キャラ設定をしてない人には、
「キャラ設定して生きていること」がバレる。そういうことが、痛いほどよくわかります。
このお話は、ふたりの友情ドラマや、何かに挑戦して「達成感」を得るというものでもあるけれど、メインのテーマは、
「自分が設定したキャラを、打ち破る話」
なんですね。
「キャラ設定」をして、それを演じていないと、以前の学校のように『いてもいなくてもいい人』になってしまうのではないか。」
太一は、それが怖くて怖くてしょうがなかったのです。
でも、優希という友だちができて、キャラが必要ないとわかり、太一は変わっていきます。
「国語のクライマックス」は、セオリー通り、ラストの「えびす舞」を本番で踊るときです。
わかってくれる友だちがいれば、「キャラ」なんて必要ない。
そう思えるようになったのは、彼らの「えびす舞」のような、濃密な共同作業が重要だったとわかります。
目標を達成するには、うまくいかないなら、ぶつからなければならない。
言うべきことは、言わなくてはいけない。
引き受けた責任もある。
一緒に作り上げた成果を、みんなに披露したい。
そこら中にいる「キャラ設定している子」には、大変な課題、障壁に見えるかもしれません。本音でぶつからなければ、相手を納得させることはできないからです。
でも、
「こういうことも、あるんだな。運動会の応援団長、やってみようかな。」
「移動教室のクラスリーダー、いつも面倒くさいと思っていたけど、やってみようかな。」
と思えたら、素敵ですね。
そういうことが、最後のまとめにかけるといいですね。
「キャラ設定をして生きている子」にピッタリの本。
「自分はこういうキャラ設定をしているけど……。」
などと書くかな? と最初、心配になりましたが、そこまで具体的に書かなくても、読書感想、書けるなあと思いました。
ただし、読書感想文の「感想部分」で、もっとも大事なのは、「具体的な自分の体験」です。それを提示して、自分の思ったこと、考えたことを書くのです。そうでないと、原稿用紙3枚~5枚なんて、書けません。
自分ではなく、身近にいる「キャラ設定をしている子」を例に上げて、比較してもいいですね。
最後のまとめ。
ここは、この本を全部振り返って思ったこと、考えたことを書く必要があります。
コツは、
1 最後のまとめの前まではそれぞれのシーンや、太一、優希の気持ちなどの感想を書いていた。
2 まとめでは、自分がこの本から学んだこと、感じたことを、自分が「今後、どうしていくか」。つまり、自分の未来に向けたことを書く。
です。
高学年の課題図書で、迷ったらこの本! でいいと思います。
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