独居自戒

独居自戒

最近の記事

あのね...と言ってみる。

 二日前に咲いたばかりのマグノリアの花が、今朝はひどい雨風に打たれてボロボロと散ってゆきなんともかわいそうなのである。  私の住む地域では桜よりも梅よりも先にマグノリアが咲く。名残雪の中で咲くこともある。まだ肌寒くてもそれでも「もう春だよ」と告げてくれる花だ。  数年前、このマグノリアのつぼみが、今にも開きそうな顔をしてこちらを向いているのを見つけて「あ!」と思ったことがある。目に見えるスピードでパカッと開花するわけでもないのに、じっとそれを待っている自分にハッとしたのだ。

    • 母の誕生日に恐ろしいことを考える娘

       更年期と花粉症とで朝から大泣きしている。散歩には出たけれどすぐに戻ってきて、そのままベッドに座り込み、自分のひざを何時間も眺めていたーー。  目がかゆくてかゆくて、くしゃみも止まらなくて、自分がみじめで。箱ティッシュを抱え、涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになった顔と向き合う。これが私? いつからこんな「男性的」な顔になったのだろう。あぁ、笑わなきゃ。こんな時こそ自分をちゃんと笑ってやらなきゃ。嘘でもいいから、笑わなきゃ。そう思うのに、だめだ。今日は無理だ。涙が止まらない。  年

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         鼻水が出る。目も赤い。どうやら来てしまったようだな、花粉の時期がーー。市販の薬を飲むと眠くなるし、喉が乾燥するし、胃も痛くなる。やはり耳鼻科でちゃんと処方してもらいたいのだが。  我が町の耳鼻科はとても流行っている。誰もが声をそろえて言う。「耳鼻科といえばあそこよ。名医よ」と。しかし冷静になれ。そもそも我が町には耳鼻科はそこしかないのだ。それだけのことだ。患者は弱い。ビビりである。医者に怖いことをされなかっただけで「名医」ということになる。「おすすめよ」なんて言う。すると

        • ダイソンが欲しいお年頃

           今日はダイソンのエアラップが欲しいというどうでもいい話だ。掃除機じゃないんだぞ。風力を利用して女子の巻き髪を作る最新美容家電だ。¥68,000だ。ばかやろう。  こう見えて私は巻き髪ロングヘアが標準装備の女である。こう見えて、というのは普段から豪語(?)しているとおり「白髪のおばちゃん」であるにもかかわらず、である。  白髪を染めない、化粧をしない、あるいはもう若くないという理由だけで、女は世間から忌み嫌われる。男からだけでない、主に男目線で生きているバカ女から嫌われる

        あのね...と言ってみる。

          シン・ポメラ

           また更新が滞ったか、とお思いでしょうが。  私は戦っていた。紫外線とか目元の小じわとか生理痛とかモラハラおじさんとか、日々、女には戦わねばならない敵が多い。  ーーが、しかし今回の相手は違う。シン・ポメラとの格闘だ。2011年より愛用してきた電子メモ《ポメラDM100》から、いよいよ最新モデルの《DM250》に買い換えたのである。 (しめて¥45,000なり。ちーん)  まぁ、興味のない人からすれば電子メモなど無用の長物。パソコンやタブレットのほうが多機能で便利なのはそ

          シン・ポメラ

          私は骨折しないのである

           朝食後、慎重に雪道を散歩する。  今シーズンの初積雪のときは、ゴミ捨て場に行く際に派手に転んでしまったのだった。手に持っていたゴミの袋がすぽーん!とどこかへ飛んで行くほど、凄まじい衝撃であった。 「これはさすがにどこか骨折してしまったに違いない、どうしよう、通りすがりの人に救急車なんか呼ばれちゃうのかな、恥ずかしいな、でも私きっともう動けないんだろうし・・・」  地面に横たわりながら、一瞬のうちにそんな思いが走馬灯のように巡る。ーーが、私は無傷であった。どこも痛くない。

          私は骨折しないのである

          「女はズルい」か・・・

           昨日の雪かき作業のせいで全身が筋肉痛。首、肩、背中の痛みがひどいとなんとなく吐き気までしてしまうのはどうしてなの。ああ、しんどい・・・。今朝も4時起きで朝飯前のひと仕事に取り掛かったのだけれど、結局、デスクに突っ伏して二度寝してしまったらしい。見事に顔がむくんでいる。朝食はちびりちびりと食べたものの、今朝は日課の散歩に出る気力もない。どうしようか。三度寝してしまおうか。自分の今の能力(年齢や得手不得手やら)を考えると、こういう日はもう無理をせず、潔くリラックスに徹するのが良

          「女はズルい」か・・・

          躁も鬱も通常運転。

           久々の積雪。冷たく張りつめた空気と人々の無言。世の中が清潔でよい。朝から雪かき作業をして、今は程好い疲労を感じている。執筆のお供にミルクティーと饅頭。(合う)  特に何があったというわけでもないのだけれど、昨年の10月頃から気分が落ち込んで、よく眠れず、食欲もなくなって、ほんの1ヶ月程で8キロも痩せてしまったのだった。  しかし私の体質の良いところ(?)は、何をやっても飽きっぽくて、いつまでも落ち込んでもいられないということ。まぁ、躁鬱体質なんでしょうね。  でも誰だって

          躁も鬱も通常運転。

          言い訳させて

          「コタツを出そうかどうしようか」なんて言っていた前回の投稿から早3ヶ月が過ぎ去り、気付けばすでに冬も終わりかけている。数年前、NOTEを始めた頃は「週に3日は書くぞ!」なんて意気込んでいたはずだがーー。  いわゆる三日坊主タイプで、何をやっても続かない私である。まるで躁鬱のように定期的に「やる気」と「嫌気」とを繰り返し、仕事も趣味も恋愛もだいたいワンシーズンごとに興醒めしてしまう。「一旦、仕切り直さなくては」と思う。そしてやはり3ヶ月くらいは考え込む必要がある。  何かを始

          言い訳させて

          ザリガニは自殺しない

           よく川沿いの歩道を歩く。ザリガニの「爪」がいくつも転がっている。カラスがそこだけ食べ残すのだ。硬いんだろう。  いつだったか、豪雨のあった数日後、まだ土砂で濁った水がごうごうと流れる小川の土手っぺりで、一匹のザリガニがカラスに完全にロックオンされた状態で「食われてなるものか」とハサミをめちゃくちゃに振り回している現場に出くわした。私は橋の上で立ち止まり、しばらくその様子を眺めた。  カラスが私を見て「ちぇ」という顔をする。 「なんだって人間というのは食われるほうにばかり同

          ザリガニは自殺しない

          危険なオンナ。

           昨夜ゲロを吐いた。最近、食事をとるのがめんどくさくてまともに食べていなかったのだけれど、生きてゆくためには食べないわけにはいかないのであって、頭のちょっとアレな私は「だったら溜め食いしてしまえばいいのでは」と思い付いたわけである。大丈夫。昔テレビで観たことがある。ワニなどはいちど獲物を丸飲みしたら、一年近くは食べずに持ちこたえることが出来るのだそうだ。  それでパスタを大量に茹でて、もっくもっくと食べはじめたのだったが、私のポンコツの胃袋はすぐに悲鳴をあげ、あっさりと戻し

          危険なオンナ。

          カフカなんて読むもんじゃない

           肌寒いだろうと思い毎晩、重ね着をしてベッドに入る。けれども寝ている間に暑苦しくなり、結局、一晩かけてぜんぶ脱ぎ散らかしてしまう。まるで脱皮だ。脱け殻のように散乱する服と、ハダカの私。季節の変わり目はどうにも体温の調整がむずかしい。  昨夜はすっかり目が冴えてしまって、なんとなくカフカの短編集を手にとったのだったが、《流刑地で》を読み終えて「やっぱり夜中に読むもんじゃないよな」と後悔する。でもいつ読むんだ? カフカなんて昼間だって読むもんじゃない。  しかし読まずにはいら

          カフカなんて読むもんじゃない

          人間の致死率

           快晴。盛大に洗濯物を干す。窓辺に置いているテーブル付きのエアロバイクに乗って朝食をとる。ほとんど漕ぎはしない。疲れない程度に足をぐるぐるやる。血流が良くなるのだろうか、これがけっこう癒される。木々や野鳥を眺めながら、のんびりサイクリングしている気分にもなれる。(ヘルメットを被る必要もない)  やわらかい日光が体に染み込む。秋だというのに私は食欲がない。めいっぱい呼吸すると、もう太陽の光だけでじゅうぶんな気がしてくる。光合成で生きていきたいような気がする。人間の体が食べたも

          人間の致死率

          私にはそういうことがさっぱりわからない。

           昨日のNOTEはずいぶんとネガティブな日記になってしまった気がして、なんだか一日中ざわざわと心が落ち着かなかった。  朝になって「スキ」がついているのを見つけて少しホッとする。誰だって他人の評価からは自由になれない。  かといって "期待に応えられる人" では私はまったくない。 「君って有能だけど、なんか裏切られそうで怖いんだよなぁ。大丈夫かなぁ」ーーどこへ行っても同じようなことを言われてしまう。  私の目から見ればそもそも信頼関係など築いていないのだから、裏切るもなにも

          私にはそういうことがさっぱりわからない。

          私だって愛し合いたかった。

           5時。早朝から玉置浩二を聴きまくって脳内洗浄をする。自分の濁った思考をすべて洗い流したら、そこに少しでも美しいものは残るだろうか。信念っぽいものがわずかにでも、善玉っぽいものが微かにでも、私の中に、何か頼れるものが、つまりは自分を愛する余地のようなものが、果たしてあるんだろうか。  世の中にはまれに、とてつもない愛にあふれた人々がいる。与えても与えても、彼らの泉は枯れることがない。愛されて生まれてきて、愛し合って死んでゆく人々。彼らは「世界は美しい」と言うーー。  とた

          私だって愛し合いたかった。

          「お父さんは猫になりたい」

           自動ドアに挟まる夢を見た。コンビニかそれとも電車の扉か知らないが、あってはいけないような不規則な動きをするドアで、私の他にも続々と人間が挟まれてゆく。 「こんなん笑うわ」ーー関西弁で私が言う。  英語で夢を見ることはあるが、関西弁バージョンははじめてである。夢の中とはいえ習ったこともない関西弁で(挟まった)感想を言ってのけるとは、自分の言語感覚に感心する。(現実ではひどい東北弁であるが)  時刻はまだ4時前であった。起きるには早いがもう眠れもしない。結局1時間以上も薄暗が

          「お父さんは猫になりたい」