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精神障がい者雇用と組織コミュニケーションについて

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

2023年1月、日本の障害者雇用に大きな波紋を投げかける出来事が起こりました。いわゆる「エスプール・ショック」です。企業が障害者雇用の数値を満たすために雇用代行事業者と契約を結び、農園で働かせる「雇用代行ビジネス」が批判の的となった件のこと。

この事案を受けて厚生労働省が実態調査に乗り出し、2023年4月にその結果を公表。結果、障害者向けの農園とサテライトオフィスが全国125カ所にあり、少なくとも6568人が働いていることが明らかに。

【厚生労働省】いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について

「エスプール・ショック」は、日本の障害者雇用の歴史において重要な転換点となったのは否定できません。単なる雇用率の達成ではなく、障害者の真の社会参加と自立を促進する雇用の在り方が問われるようになったといえます。

日本の障害者雇用政策は、1960年の身体障害者雇用促進法制定から始まり、1976年には知的障害者も雇用率制度の対象となり、1987年には障害者雇用促進法に改称され、知的障害者の雇用が義務化されました。

しかし、精神障害者の雇用義務化は2018年4月まで実現しませんでした。つまり、目に見えづらい障がいのある人たちは障害者雇用の枠組みから避けられていたことになります。

今回は、こういった歴史的背景を踏まえつつ、精神障がい者雇用を通じて組織全体のコミュニケーション改善の可能性を探っていくことにします。


精神障がい者を雇用するとは

精神障がい者の雇用は、多くの企業にとってまだ未知の領域でしょう。

というか、腫れ物を扱うような状態になるのが面倒なんでしょうね。いわゆる健常者の人たちを寄せ集めて、空気を読んでくれる人たち同士で仕事をしておけば楽ですからね。

そういった前提条件として「空気を読める」なんてことを設けている限り、精神障がいのある人たちと一緒に仕事をすることは困難極まりないでしょうね。

でも、あくまでもコミュニケーションや仕事の進捗方法で工夫が必要でしょうが、それらを乗り越えるような「配慮」をすることができれば、組織全体にポジティブな変化をもたらす可能性があるはずです。

精神障がい者雇用には確かに課題がありますが、同時に組織に多くの機会をもたらす可能性も秘めています。

たとえば、以下の記事内で紹介されている横浜市都筑区の農園型就労施設「IBUKI YOKOHAMA FARM4」では、約50人の障害者が快適な環境で働いていることが記されています。

身体に何かしらの障がいのある人だとしても、優秀な人がいるのと同じように、精神面に何かしらの障がいのある人の中にも優秀な人は必ず存在します。

むしろ、おかしな偏見や穿った視点を取り払い、「配慮」をすることができれば従来の職場では見いだせなかった視点を獲得することができるはず。

もちろん、コミュニケーションの課題、業務設計の難しさ、管理者の経験不足などの課題や問題、乗り越えるべき障壁はあるでしょうよ。

でも、そんなものはどんな組織に見られるような課題と一緒で、これらの課題に真摯に向き合うことは、多様性を包括できることで組織力の醸成できるでしょうし、社会的評価の向上といった機会を得ることができるはずですよ。

障がい者が問題なのではなく組織のコミュニケーションが課題

でね、もっとも言いたいのはここなんですよ。

先述した精神障がい者雇用における課題なんてのは、実のところ組織全体のコミュニケーション問題でしょ。

たとえば、オープンコミュニケーションを促進するために、定期的な1on1ミーティングを実施し、丁寧に障がいのある人たちが何に困るのか、どう配慮してもらいたいのかを把握すること。

それをするだけで個々の従業員のニーズや課題の把握が容易になります。これって、別に障がいがあろうがなかろうが関係なく、共に働く人たちのことを把握してチームでの仕事を円滑にすることと何ら変わりません。

要は、異なる背景を持つ従業員でチームを編成することで、いわゆる多様な視点からを持つことができるわけですから、それを前提とした事業場の問題の解決を動くことが可能になります。

多様は背景を持つ人たちに対応するってことは、組織としての柔軟さを獲得することになるでしょう。

柔軟な働き方を導入するために、フレックスタイム制やリモートワークを取り入れることをはじめとして、個々の状況に応じた最適な働き方が選択できるようになります。

さらに、障がいに対する偏見や穿った見方を取り払っていく。つまり、心理的安全性を高めるために、失敗を学びの機会として捉える文化を醸成すること。要は組織として「合理的配慮」について学ぶことで全従業員の理解と共感が深まります。

上述の記事内で登場するスタートライン社の西村賢治社長は「顧客の障害者雇用への意識は極めて高い」と述べており、障害者雇用の機運が単なる法的義務ではなく、組織の多様性と包括性を高める機会として捉えられはじめたのだと感じられ、非常に勇気を持つことができます。

多様性を包括するのは大変だけど

精神障がい者雇用と組織の生産性向上の両立が困難で、現状の現場オペレーションを前提に、新たに制度や仕組みを導入しなければならないことが負担に思えてしまうのは理解できます。

それこそが多くの企業にとって障がい者雇用における大きな課題となっていることでしょう。だからこそ、適切な支援と環境整備をすることが必要です。

たとえば、スタートライン社は自前の研究機関を設け、障がい者への支援技術を開発しています。この取り組みをすべての事業者ができるとはいいませんが、少なくとも「合理的配慮」を組織に根づかせる取り組みは必要でしょう。

2023年9月に設立された「日本障害者雇用促進事業者協会」は、業界全体での知見の共有と標準化の動きを示していますから、少しでも興味がある組織や人は以下のサイトを覗いて見てください。

持続可能な組織づくり、なんてのは耳障りのいい言葉ですが、実態としての困難や課題を乗り越える必要があるわけで。

単に障害者を雇用するだけでなく、その能力を最大限に引き出し、組織の成長に寄与できる環境を整備することが重要だな、と思えることが大事ですよね。きっと。

おわりに

障がいの有無に関わらず、全ての従業員がその能力を最大限に発揮できる環境づくりは、組織の革新性と持続可能性を高めるカギになるって、真剣に考えてるんですよねぇ。

個人でも組織でも、障害への理解を深める学びの機会や柔軟な勤務体制の導入など、できることから始めるのが大事。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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ゑんどう ≒ 遠藤 涼介
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