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企業は”安全”にどれだけコストをかけられるのか

災害復旧,インフラのメンテナンス,マンションの新規建築,駅前の再開発などなど,私たちの身の回りには,数々の工事現場があります.私のジョギングコースに3箇所,大規模な工場建設が進行中です(冒頭の写真です).重機やトラックが頻繁に出入りしていて,近隣住民の自家用車が時折渋滞したりしています.敷地内には大きな大きなクレーンが稼働しています.

夕方のジョギング時に,現場作業が終わって,帰って行く人たちを見かけます.今日も1日,事故や怪我なく帰宅.本当にお疲れ様でした.

土木建設は,もちろん設計や資材手配などのデスクワークもありますが,実現場での作業ありきの話です.事務屋さんはリモートワークできても,現場はそうはいきません.炎天下でも北風が吹き荒ぶ中でもやらなければならない.真冬の手がかじかむ中での各種点検業務や,機械のメンテナンスや洗浄作業は,腰や関節が痛くなったり,大変な作業だと思います.だから,どこも人手が足りない.”急務”という求人広告をあちこちで見かけるが,求人倍率は5倍を超えている...

上下水道,高速道路,橋梁,トンネルなどの老朽化に対して,どこまで手が回っているでしょうか.ニュースなどで,道路が陥没したり,トンネルのコンクリートが剥がれ落ちたり,水道管が破裂してマンホールから水が溢れ出したりしているのを見かけます.戦後70年以上が経ち,インフラも造られてから半世紀たつものが多いのではないでしょうか.これから先,主要な高速道路と新幹線が優先してメンテナンスされていくと思われます.主要幹線はメンテされるでしょうが,それ以外の大部分はメンテナンスが追いつかず,老朽化による様々な事故が恐ろしい...

工事現場の周りには,騒音や粉塵などが外部へ出ていかない様に白い防音壁が張り巡らされていた.そして,その壁には『安全第一』のポスターやありきたりの広告ではなく,社員のコメントや手紙などが大きくパネルにして貼ってあった.

誇り
パネル1
うしろ
パネル2
お父さん
パネル3
母より
パネル4

私は昔,現場で,『安全に作業して当たり前.だから,(安全対策は)そっちでやってくれ』と言っているのを耳にしたことがありました.びっくりしました.”それに掛かった費用は払わないよ”と暗に言っているのです.だから,現場の周りにこのようなパネル(1枚が0.7m×1mほどの大きなもの)をしっかりと掲げているこの施工主に,感動しました.

何をするにもタダという訳にはいきません.安全に働く・暮らすにはコストがかかるのです.ディジタル化するにもシステムを作ったら終わりでなく,セキュリティ対策や維持に,機能開発以上の費用が発生したりするものです.

みんなの叡智を結集して,私たちの街の安全をこれからも引き継いでいきたいと強く思いながらジョギングから帰って来ました.
今晩も,ロボットが危険な作業を肩代わりしてくれる技術開発のための勉強に勤しみます.



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