ド・パールシム

新井孔央(作・演出)、草加陽子(俳優)による演劇団体。2023年に東京大学で旗揚げ。 …

ド・パールシム

新井孔央(作・演出)、草加陽子(俳優)による演劇団体。2023年に東京大学で旗揚げ。 自意識やプライドに塗れた人間の姿と、最低で切実な性愛を、会話のみで緻密に美しく描き出す。 HP:https://www.do-parusimu-engeki.com/

最近の記事

欲望に流される羊の群れどもよ:劇団ド・パールシム『流れる羊』評(書き手:綾門優季)

あまり普段から考えたくないことのひとつに、欲望を肉体から完全に抜いて、生きていくことは出来ない、という事実がある。食欲も睡眠欲も性欲も、欲望を全く感じない人間は、原理的に、やがて、死んでしまうだろう。しかし、ふと思うのだった。食欲と睡眠欲が、人間の命を続けるために必要な欲望なのはよくわかる。ただし、性欲はどうか。性欲の発散のほとんどは、無意味に行われている行為なのではないか。と。   オナ禁宣言、と書かれている、目立つ看板が、常に舞台奥に置かれている。手前には布団がふたつ。絶

    • 栫伸太郎から見た『流れる羊』

        社会との接点を見失った孤立した人間(最近は「無敵の人」という言葉がある)が、障害事件を起こしたり、殺人事件を起こしたり、あるいは自分の”理想”のためのテロリズムに走ったりする。  これらの行為は、社会の中で自分の位置を確かめようとする欲求に突き動かされているという点で、逆説的に極めて社会的だ。  実際、「無敵の人」たちは全く無敵ではなく、「現実世界の中で自分の存在が無視されることの恐怖」から全く逃れられていないどころか、誰よりもその”敵”を強大に感じている。  何らかの社

      • 佐竹謙伸から見た『流れる羊』

        昨日、最寄駅からの帰り道に歩きながらカップラーメンを食べてみるチャレンジをしてみたのですが上手くできたし美味かったので、今度はもっと広めの容器のカップラーメンでチャレンジしようかなと思ってます。どん兵衛とか。 とてもきしょい話です。きしょい話というかきしょい人が沢山出てきます。きしょい人っていってもごく普通の人で、ごく普通の人にもあるきしょい瞬間が状況の歪さによって色濃く出てしまったり、連鎖してしまったり、そういう感じの作品だと勝手に思っています。 勝手にそういうことして

        • 草加陽子から見た『流れる羊』

          はじめまして。草加陽子です。 流れる羊です。外側から見たら重そうな話に見えるのでしょうか。中にいる人間には当たり前の日常があって疑問を持たずに生きてる、ただ生きてて。不思議だなぁと思うわけです。でもそんな空間が好きだなぁと思ったり、辛いなぁと思ったり、色々四苦八苦して進めてればいいのにと思っております。 私たちも、自然災害とかいつ起こるかわからない所にいて、それでも普通に当たり前に生活してて。予定が順調に進んで友達と会えるって。今日が最後かもとか思ってないのが当たり前だけ

        欲望に流される羊の群れどもよ:劇団ド・パールシム『流れる羊』評(書き手:綾門優季)

          西川知奈美から見た『流れる羊』

          こんにちは。西川知奈美です。 "人とお芝居がやってみたいんじゃー"と思って 劇団ド・パールシムの稽古会参加したのをきっかけにお声がけいただき、今回出演することになりました。本当にありがとうございます! 私にとっての『流れる羊』…。難しいですね。 んー "羊"って確かに群れてるとまさに流れって感じですよね。 何かに反応して一頭が走り出すと、訳も分からずとりあえず周囲が着いていってしまって、先頭もよく分かってないなんてこともあると聞いたことがあります。 (どちらかと

          西川知奈美から見た『流れる羊』

          齊藤真菜香から見た『流れる羊』

          この度『流れる羊』に出演させていただきます、齊藤真菜香と申します。 稽古をやっていて、新井さんは出てくるキャラクターを本当に愛しているんだなと感じます。お話の中ではみんな大変なことになっちゃってるけど、みんな新井さんに愛されてて、良かったね。(もちろん私も愛してますよ、みんな!) みんな、浅いようで深くて浅いけど深いんですよ!本当に。でも、なんかわたしはそれを深いって認めちゃうと悔しいから、やっぱみんな浅いんだ!と揺らぎながら稽古をしております。(思春期なので許してくださ

          齊藤真菜香から見た『流れる羊』

          2023年ありがとうございましたと、新宿のスタバのアールグレイの話。

          劇団ド・パールシムの主宰の新井孔央です。2023年が終わる前になんとしてでもnoteを更新しなければと思い、書いています。 まず、劇団ド・パールシムは今年の4月に旗揚げをし、2023年は2本の本公演を行いました。ご来場くださった方、協力してくださった方、本当にありがとうございました。劇団がこのように一歩一歩前進を続けることができているのは、皆様のおかげです。個人的には劇団としてのスタートの一年として、良いスタートが切れたのかなと思っています。また来年には1月の駒場小劇場での

          2023年ありがとうございましたと、新宿のスタバのアールグレイの話。

          『邪教』の終演のブログ

          劇団ド・パールシム第二回本公演『邪教』終演いたしました。ご来場誠にありがとうございます!劇団として、新たな一歩を踏み出せた公演になったのではないかと思っています。劇団ド・パールシムは今後とも精力的に活動して行きますので、是非ともよろしくお願いします。もしよければ推してください! そして次回作は、来年の1/31(水)-2/2(金)です。駒場小空間で行います。『流れる羊』という題名の芝居です。是非ご来場ください。 『邪教』は宗教的な愛の話を書いた。多分この話は自分のこと。自分

          『邪教』の終演のブログ

          栫伸太郎から見た『邪教』

          最近、二、三日ほど体調を崩していた日があって、布団の上でうずくまりながら、いつか読もうと思っていた『中村富二句集』(森林書房、1961年)を、国立国会図書館デジタルコレクションで読んだ。 中村富二(1912-1980)は神奈川県生れの川柳人。句集の単位で句を見るのは初めてだった。 この句集は「墓地」「少年抄」「青」「童話」の4章に分けられている。どの章にも印象深い句はあったが、構成というか、句の並びとして目を惹かれたのは、前半2章に多く見られる、句の冒頭、だいたい上五くら

          栫伸太郎から見た『邪教』

          佐竹謙伸から見た『邪教』

          本番10日を切りまして、邪教、徐々に仕上がってきていると思います。 どうせブログを書くなら1人でもこれきっかけで予約してくれる人がいたら恐悦至極の喜びの極みだなと思い。いや本当に。シンプルに邪教の好きな部分を何個か書こうかなと思います。  まずは会話。気持ちが悪いです。そして心地がいいです。文法が少し崩壊していたり、バラバラだったり、語順が、あとはあの、要らん繋ぎが入ってたり、そういう日常の会話の中にうっすら存在している気持ち悪さの濃度をぐいっと高めたような感じで、でもなん

          佐竹謙伸から見た『邪教』

          野口天音から見た『邪教』

          皆様こんにちは。劇団ド・パールシムの野口天音と申します。 私から見た『邪教』ということですが、一言で言うなら「未知の世界」って感じですかね。脚本が出来上がっていくにつれて「あー、気持ち悪いな」と思っていました笑。絶対自分が足を踏み入れることはない領域というか、なんというか。きっと自分は今まで心の綺麗な人達に囲まれて生きてきたので、自分が今回の役をやるってなった時は自分に出来るのかなという不安がかなりありました。それでも、道のものへの興味というか……挑戦したいという気持ちもあっ

          野口天音から見た『邪教』

          日向たむから見た『邪教』

          こんにちは、日向たむ(ひゅうがたむ)です。大学4年生、21歳です。昨年の6月にシアターマーキュリーという演劇サークルを引退して、今は無所属です。この度、劇団ド・パールシム第2回本公演『邪教』にて役者を務めます。 はじめに公演情報です。 日時|9/1(金)14:00-/19:00-9/2(土)14:00-/19:00-9/3(日)14:00-/18:00- 会場|イズモギャラリー(東京メトロ東西線早稲田駅、東京メトロ大江戸線牛込柳町駅) 料金|¥2,000 ご予約サイ

          日向たむから見た『邪教』

          新井孔央から見た『邪教』

          作・演出で、ド・パールシムの主宰の新井孔央です。自分で1から作ったものなんですが、稽古も進み落ち着いて作品に向き合えるようになってきたので、客観的な視点から、今作『邪教』について話そうと思います。 先に予約フォームです! ↓ 『邪教』って話なんですけど、どんな話って言われると、困ってしまっていつも「愛」と「信仰」の話っていうのをよく言ってますが、そんなに重っ苦しいものじゃないし、むしろ吐き気がするほど低俗でくだらない芝居だと思ってます個人的には。丁寧すぎるほど、緻密に描か

          新井孔央から見た『邪教』

          『赤く染まった皮を剥ぐ』終演ブログ

          劇団ド・パールシムの旗揚げ公演『赤く染まった皮を剥ぐ』が終演しました。ご来場ありがとうございました。楽しかったです。楽しかったってのは、そのイェーイって感じじゃないんですけど、だからその、旗揚げしてる〜、俺演劇してる〜っていう高揚感というか、なんかやっとスタートラインに立った感覚。幸せ。幸せだよ。これで売れたらもっと幸せなんでしょう?売れます。 半月前です。終わったの。この半月は特に何もなかった気がします。特に何もなく、ただただ新作どーしよっかなーってことを考えて生活をして

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          コーヒーとお酒の話

          公演まで後2週間となった。4月1日。10時から稽古。場所は東大の駒場。朝8時前。渋谷のエクセシオールカフェ。バックには大好きな本谷有希子の小説が3冊も入っていた。 ラージサイズのソイラテを頼んで、一口飲んで多分これ飲み終わらないなって後悔した。いつもスタバで2時間いる時はグランデが相場だから、ラージにしてみたが朝の2時間と昼の2時間はどうも違うみたい。仕方ないけど、残すのはもったいない。目の前に「How coffee is made」なんておっきいポスター?絵?みたいのがあ

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          劇団ド・パールシムの自己紹介

           初めまして!劇団ド・パールシム主宰の新井孔央といいます。4/14(金),15(土)に記念すべき、劇団ド・パールシム旗上げ公演『赤く染まった皮を剥ぐ』が上演されます。本番まであと1ヶ月!多くの人に見にきてもらいたいです。でも、どこの馬の骨かもわからない劇団の公演を見にいくなんて気が引ける!って思いますよね。つーことで、軽く劇団と主宰についての自己紹介をしたいと思います。これを見て、行ってみようかなって思う人が増えて欲しいです! あ、予約フォームを載せ忘れそうなので、先に貼っ

          劇団ド・パールシムの自己紹介