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小説: サリュの隔て 1

「あの、すいません...サリュの方ですか」

「えっ...サ、サリュですか」「すいません...サリュとは...」

雨降りの木曜日 疲れ切った仕事からの帰り道

30歳を過ぎて、毎日が同じ 恋愛すらももう面到になりつつあるこの頃

いつものように最寄りのスーパーで、唯一の楽しみであるかぼちゃコロッケの会計を済ませ、さあ家に帰ろうという時だった。

「あっ..まだサリュをご存じない方ですか。」「匂いがしたので」

「匂い...ですか」「すいません...あの、サリュとは...?」

「はい かなり強い匂いがするので確かにあなたはサリュだと...」「今日お時間少しありますか コーヒーでももし宜しければ行きませんか。」

「あっ..はい...」

急に話しかけられた上に「サリュ」とやらの「匂い」がすると言われ、正直訳が分からなかったが、なんとなく断りずらく、つい「はい」などと言ってしまった。

同年代の女性の方だし特に危険でもないだろう

それにコーヒーぐらいなら。

「あの...すいません...先にサリュが何かだけ教えて頂けますか。」

「サリュとは...生まれながらにしてある匂いを持つ特別な方のことです。でしたらまだ、ソラディカルのこともご存じないようでしょうか。」

「えっ...はい..すいません...全然...」

35年間ただぼんやりと生きてきて特に特技がある訳でもなく 勉強ができた訳でもなく生きてきた私に何だって急に...

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