KaoRu IsjDha

1980年生まれ、2002年よりチェコ在住。絵描き、その他ワラジ数足。ポートフォリオ …

KaoRu IsjDha

1980年生まれ、2002年よりチェコ在住。絵描き、その他ワラジ数足。ポートフォリオ https://kaoruishida.com

マガジン

  • その名はカフカ IV

    長編小説『その名はカフカ』収納箱その④です、その③はこちら→https://note.com/dinor1980/m/m036e5e244740

  • 墨で鳥-水墨画練習帳

    水墨画、特に鳥の絵の記事の収納マガジンです。

  • 言葉による創作

    気が向いたときにやっている言葉による創作です。短編、俳句、詩など。

  • ワタクシゴト漫画集

    筆者が主人公の四コマ漫画や、筆者の分身である浦島Ru太郎とカメさんの漫画が集めてあります。

  • コーヒー豆氏の話

    コーヒー豆氏の活躍する記事を収めています。

最近の記事

  • 固定された記事

常設展示のお知らせ

原画展示のお知らせです。 「常設」と言うからにはこれから先、展示先の予定変更がない限り、ずっと展示される、ということです。とは言え販売展示なので、作品が売れたら新しいものを額装して追加します。 ……え、なんか、すごくない? ええ、私にとっては大事件ですよ!格好つけて「!」なしで書き始めてしまいましたがっ!ここからは「!」連発で!進めていきたいと!思います!(しつこいな……!) それで、場所はどこなんだい? チェコ共和国の首都プラハです。プラハ1区です。同じ通りの東には米大

    • 『その名はカフカ』Modulaceに関するあまり長くない追記

       本記事は先日連載を終了しました『その名はカフカ』の第四部Modulace(転調の意)の解説記事です。  今年二月から約二ヶ月間に渡って連載しました全22話を納めたマガジンはこちらです↓  これまでの解説記事よりは長くならないはず……と思いながら書き始めましたので、連載をお読みくださった方にサラッとお付き合いいただければ幸いです。  本記事で「その名はカフカって、何?」と思われた方はこちらからどうぞ↓ 執筆の速度と投稿頻度 今回も第三部Disonance同様、書き始めて

      • その名はカフカ Modulace 22

        その名はカフカ Modulace 21 2014年12月ブルノ  ハルトマン病院長とレンカの契約更新のための会議は2006年以来、毎年六月の第一日曜日に、会場は病院内の会議室ではなく、病院長の自宅で行われていた。妻に先立たれ、子供たちも独立した後は病院の近くに構えていた邸宅が無駄に大きく感じられて、今は街はずれに以前の邸宅の半分ほどの規模で、庭が敷地の七割を占める家に一人で住んでいる。それでも人の出入りが多い家だが、レンカとの会議の際には庭先に配置している警備員以外は誰も

        • 墨でメンフクロウとハイイロチュウヒ

          今年二月の一大イベント「ハイタカ、庭で捕食す」以来の墨で鳥。 今回はメンフクロウとハイイロチュウヒです。 ……鳥同盟の長の「お主も単純な奴よのう、雑用係」という声が聞こえてきます。汗 と言うのも、つい最近メンフクロウは長殿の御記事のスキリアクションに、ハイイロチュウヒは御記事扉絵に登場し、いずれも私がコメント欄で騒いだからでございます。 先週から今週にかけて本当に時間がなかったワタクシ、今週の墨絵教室のお手本を準備する段になって「モチーフのテーマが思いつかない」とパニックに

        • 固定された記事

        常設展示のお知らせ

        マガジン

        • その名はカフカ IV
          24本
        • 墨で鳥-水墨画練習帳
          18本
        • 言葉による創作
          31本
        • ワタクシゴト漫画集
          41本
        • コーヒー豆氏の話
          46本
        • かしゅたんとパツキンスキー
          7本

        記事

          季語の美しさにもだえ詠んでみる~春の覇者決勝戦

          本記事はらべあろ企画『春の覇者はわたしで決まりよ』決勝戦への参戦記事です。 ……へ?決勝戦って、言いました? 決勝戦って、予選を勝ち抜いた選手が出るヤツ? あ、はい、分不相応ながら、そんな流れになりまして。 ちょっと待った。アンタ、二回戦に超勘違い句を投句してなかったか? ええ、そりゃあもう、あの十七音自体に「間違い」などはないはずなんですが、それを詠んだ背景がね、なんともこっ恥ずかしいものでして(寝る前に投句して朝起きたらウミネコ編集長から非常に紳士的に救命ボートが出され

          季語の美しさにもだえ詠んでみる~春の覇者決勝戦

          その名はカフカ Modulace 21

          その名はカフカ Modulace 20 2014年11月リュブリャーナ  ただ待つ、というのは辛いものだな、という台詞を頭の中で何度か繰り返し、スラーフコはハンドル越しにメーターパネルに表示されている時刻を確かめたが、まだマーヤが車を離れて五分くらいしか経っていなかった。  この日のためにマーヤとスラーフコはヴクの同僚の仲介で中古車を手に入れ、リュブリャーナまでやって来た。目的が目的だけに、スラーフコの仕事用の車は使う気にはなれなかったし、レンタカーも足が付きそうだとマー

          その名はカフカ Modulace 21

          その名はカフカ Modulace 20

          その名はカフカ Modulace 19 2014年11月パッサウ  暖炉に火は入っていなかったが、運転手の男が言ったように、家中には暖房が行き届いており、応接間の中も一晩中暖かかった。暖炉の前のソファで、人が一人座れるくらいの間隔を置いてレンカの隣に座っているヴァレンティンは、イヤホンを耳から外すと 「せっかく面白いところだったのに、どうして切ってしまったんだい?」 と、全く面白いことなどなさそうな表情でレンカに言った。ヴァレンティンに貸していたのは予備の子機のようなもの

          その名はカフカ Modulace 20

          その名はカフカ Modulace 19

          その名はカフカ Modulace 18 2014年11月ドイツ・オーストリア国境  EU圏内の国境において隣り合う国同士が緊迫した関係で軍が目を光らせているなどという状況はほぼ皆無で、真夜中の国境辺りはそこかしこで闇で動く人間がゴソゴソ活動している。だから何を見かけても驚かないし相手にもしないが、その代わり俺のように一人で徘徊している人間の邪魔をする奴もいない。そんなことを考えながら、イリヤは明確な目的地も分からないまま道の両側に背の高い針葉樹がそびえ立つ細い車道を歩いて

          その名はカフカ Modulace 19

          コーヒー豆、焦って素描と化す。

          なんと!なんとらべあろ企画、『春の覇者はわたしで決まりよ!』の第一回戦にて第二回戦出場のチケットを手にしてしまいました! 第一回戦はコーヒー豆氏が不在だったので単身で参加したのですが、なんとまあ図々しいことに、「第二回戦に出られる」と聞いた瞬間に飛んで帰ってきましたよ、豆氏! いや、しかしだね、今の私には君を丁寧にペン入れして着色している時間はないのだよ。 ということで今回の豆氏イラストは素描で失礼しました。 で、第二回戦のお題の季語はというと 「啄木忌」。……ごめん

          コーヒー豆、焦って素描と化す。

          その名はカフカ Modulace 18

          その名はカフカ Modulace 17 2014年11月パッサウ  暖かいところに連れて行ってくれとは言ったけど、まさか本物の暖炉のある部屋に案内されるとはね、と思いながらレンカは暖炉の中で赤く光る炭を見つめていた。ヴァレンティンはレンカが立っていた川辺から少し離れた路肩の駐車スペースに止めてあった車までレンカを連れて来ると「その運転手が目的地は把握している。後で僕も行くよ」と言って姿を消した。レンカが助手席に乗り込むと、車は十分ほど街中を走った後、大きくはないが上品な造

          その名はカフカ Modulace 18

          その名はカフカ Modulace 17

          その名はカフカ Modulace 16 2014年11月マリボル 「あ、また全然話聞いてないね、マーヤ」  そう咎めるように言われて、マーヤは「聞いてはいたけどつまらないのよ、あなたたちの話は」と心の中でつぶやきながら、申し訳なさそうに微笑んだ。  マーヤはマリボルに戻って以来、仕事が終わったら必要最小限の買い物を手早く済ませてまっすぐ家に帰ることを習慣にしていたが、この日は同年代の同僚の二人に誘われて、夕食は外で済ませることにした。スラーフコは新しい職場で夜のシフトも入

          その名はカフカ Modulace 17

          その名はカフカ Modulace 16

          その名はカフカ Modulace 15 2014年11月エゲル  一つの生命体が自分の傍に座っている、とは先ほどから感じていたが、テンゲルは目を開けることもその生命体に声をかけることもできなかった。いや、そうしようと思えばできたのかもしれないが、まだ暫くこうして横になっていたかった。危険はない。自分の傍に自分の許可なくやって来られる人間は、この世で一人しかいないのだから。そして、もし人間ではない生命体だったとしたら、やはりテンゲルにとって危険なことなどあり得ない。  今回

          その名はカフカ Modulace 16

          笞打つて芽立ちを急かす習ひなり

          春のこの時期は毎年何かと忙しく働いております浦島Ru太郎(またの名をオリエンタル工作員ルゥノスケ……あと二つ三つ名乗っている名があったかな)、案の定今年もイースターの伝統をきちんとご紹介する余裕もなく(その割に小説は書いとるやん、という突っ込みも昨年と同じく)、なんとイースター記事と俳句企画参加記事をドッキングさせるという恐ろしい必殺技を捻り出しましたよ! と言うことで、本記事はこちらの春の俳句王を選出するらべあろ企画への参戦記事で(も)あります。 お題は「芽立ち」とのこ

          笞打つて芽立ちを急かす習ひなり

          その名はカフカ Modulace 15

          その名はカフカ Modulace 14 2014年11月パッサウ  オーストリアとの国境に接するように位置し、ドナウ川、イン川、そしてイルツ川の三川が合流する街として知られるドイツの小都市パッサウで、レンカはパッサウが観光名物として人々を最も惹き付けているバロック様式の街並みを一人で川辺に立って眺めていた。  十一月の川辺は風も強く長居をするべきではないとは思ったが、レンカはなぜかその場から動く気になれず、面会が終わった後も、風景を楽しんでいるふりをしながら様々な思考が行

          その名はカフカ Modulace 15

          その名はカフカ Modulace 14

          その名はカフカ Modulace 13 2014年11月エゲル  エゲルと言えばワインだろう、買い出しは任せてくれ、と言って自転車で街へ飛び出していったペーテルを待ちながら、エミルは以前はIT技術者の研修所だったという無機質な建物の一室で仕事をしていた。  二日前、レンカとアダムはオーストリアへ向かったが、エミルはレンカに「カーロイの指示に従うように」と言われ、一人ブダペストへ車を走らせた。そしてブダペストでカーロイから受けた最初の指示は「ペーテルを連れてエゲルへ向かうこ

          その名はカフカ Modulace 14

          その名はカフカ Modulace 13

          その名はカフカ Modulace 12 2014年11月グラーツ  女があの角を曲がるまでは追えていた。曲がった瞬間、気配が消えて、焦って自分も角を曲がってみたが、既にそこにはいなかった。しかし、まだこの辺りにいることは確かだ。そう思ったヴェロニカはその角を曲がったすぐ側の路地から辺りを見張ることにした。  プラハの中では姿を見かけることさえ不可能だったが、プラハから出てくれさえすれば、女をある程度追うことはできる。しかし女は信じ難いほど勘が良く、先週も尾行を始めた瞬間に

          その名はカフカ Modulace 13