ゲーム屋人生へのレクイエム 6話
前回までのあらすじ。知人の子供にゲームクリエーターになるにはどうすればいいのか尋ねられた元ゲームクリエーターが自分の過去を語る。ろくに勉強もしないくせに大手ゲームメーカーの入社試験を受けて予想どおりに返り討ちにあったころのおはなし。
「試験は不合格です」
「やっぱり」
「試験から戻るなり先生にそう言ったのよ。そしたら先生が試験から戻ったばかりでまだ結果発表してないだろうって言うからさ、数学と英語はほぼ白紙で提出しましたって言ったのよ。先生困った顔してた。慰めるべきか、怒るべきかみたいな感じだったよ。
それで、よーし自衛隊に入るぞーって以前にも増して勉強しなくなった。学校終わったら街のゲーセンをはしごしてたよ」
「その頃は何が流行ってたんですか?」
「あの頃はよく遊んだのはタイトーのダライアスだね。横スクロールシューティングゲームなんだけど、モニターを3台横に繋げてさ、シートはボディソニックって言って低音が尻にビリビリ響いてね。音楽もよかった。ヘッドホンのジャックと音量調整つまみまでついてたなあ。
あとはセガのアウトラン。ドライブゲームで運転台に乗って遊ぶんだけど車の動きに合わせて機械も動くのよ。本当に運転しているみたいになる。ああ、これもいい音楽だったわ。ゲーム開始時に曲を選択できたっけ。
スペースハリアー、エンデューロレイサー、これもセガの専用筐体だった。狭い田舎のゲーセンには入らなかったからデパートの遊戯コーナーに置いてたなあ。
もうひとつ、セガのファンタジーゾーンもポップなグラフィックと音楽で好きだったなあ。ストーリーもあって面白いシューティングゲームだった。シューティングゲームならコナミのグラディウス、SNKのASO、データイーストのダーウィン4078、忘れちゃいけないナムコのボスコニアン。どれもいいゲームだったなあ」
「余韻に浸っているところをすみません。何のことやらさっぱりわかりません」
「すまんすまん。ついついノスタルジックな気分になってしまった。あの頃のゲームは単純だったけど遊ぶ側に想像させるものが多かった。機械の性能が足らないところは遊ぶ側が補っているって感じかな。今のゲーム、特にFPSとか全部リアルに見せるでしょ。プレイヤーに想像させない。これはこれでいいと思うけど全部見せない事もあったほうが面白い気がするんだけどね。昔のゲームの事にもし興味があるなら、こんな感じで10時間くらい話しできるけど聞く?」
「いえ、遠慮します。必要ならYOUTUBEにお願いします」
「今どきだねえ」
続く
*この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体とは一切関係ありません。
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