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古典?GE式ワークアウト ボトムアップの威力(体験談)

古き良き時代からの古典といえるのか、否か。
GE式ワークアウト - ボトムアップの威力


官僚的体質を断ち切り、組織の問題解決をすみやかに実現するための方法論   GE式ワークアウト:無駄な仕事(work)を追い出す(out)

プロセスをザックリとご説明しながら、ボトムアップの威力と副産物の元気が出るエピソードをご紹介します。(アメリカと日本での体験談)

日本という古い船の新しい乗組員、ベンチャー企業/スタートアップの方がたにも戦力アップのヒントや気づきになるかもしれません。


GE式ワークアウト


1980年代後半、組織全体を覆っていた官僚化体質の変革を目指して、当時の会長兼CEOだったジャック・ウェルチ氏がニューイングランドの伝統的なタウンミーティングやボトムアップの改善手法を参考に率先して開発・制度化に取り組んだ。

ウェルチ氏は業務プロセスが変わらなければ何も変わらない。その際に根本的に人の意識が変わることがさらに重要と認識する。


特徴

・解決すべき問題と解決策を社員自身(メンバー)が決め、

・解決策の検討はクロスファンクションで行われ

・トップは即断即決で判断する

特長

・エンパワーメント(権限委譲)

・コンセンサス

・それによって生じる問題解決のスピード

どのように役立つのか

・改善機会の発見とその改善による事業成果の実現

・ワークアウトを通じた組織の文化、人の意識、行動様式の変革

・有能な人材の発掘、育成、登用、能力発揮とコミットメント

注意する点

ワークアウト的な仕事の進め方を自然なまで根付かせるには、まず1つひとつ成功させ、長期的に何度も何度も続けさせる必要がある。

・比較的解決が容易な課題を初期のワークアウトでは取り上げる。すぐに手が届く果実から収穫する(Low Hanging Fruit)成功体験から自信へ。      

・ワークアウトの形式だけ、一時期だけの導入をしない。変化が激しい時代の中、自社流のワークアウトを粘り強く続け、変革と発展へつなげる。

あるある

・ワークアウトで決定した解決策を全社へ展開する際、チーム外の人たちとは温度差があること、理解してもらうには時間も手間もかかることを留意。 

・自身の仕事や作業に変化・影響を受ける人たちの感情にも配慮すること。  

・ワークアウト直後の高揚感のまま、手間がかかる相手に「決まったことだから」などどは決して口にしないこと。元の木阿弥になる。 

        

Haraの実施スタイル例:


身近な問題を担当者が自ら解決するための場

・半日から2日間の会議で、一気に課題の解決策を考える
・会議に参加するのは、課題について一番よく理解している実務担当者                
 課題を設定した上司は参加しない                   ・会議の最後には、具体的な解決策のリストを作成し、
 それぞれの解決策を誰が、いつまでに実行するかを決める
・上司は最後に登場し、提案された解決策の1つ1つに
 ついて、実際に実行に移すかどうかをその場で決定する



明確な役割分担

ワークアウトの参加者
チャンピオン        部門長・部長など意思決定のできる人
              課題を設定し、ワークアウトを開催する  
              ワークアウトの結果について責任をもつ

メンバー          実務をよく知っている人、改善に対する意欲のある人  
                 具体的な改善策を考える
                                 改善策を実行する

ファシリテーター 中立な立場の人、ファシリテーションスキルのある人
                                 議論が成功するよう、会議の司会、進行を行う             



                       PRESIDENT 2005.11.14

GE横河 事例記事


ボトムアップの威力


ワークアウトは単に問題を解決し官僚的体質を排除するためのものではない。ワークアウトは人材育成の観点からそれ以上の存在。

組織の習慣や当たり前に毅然と取り組むことができる従業員。その従業員に権限を与える機会となるのがワークアウト。

自分たちが課題を見つけ出し、解決策のアイデアを考え議論を尽くし、直接トップへ提案し決断を仰ぐ。安心・安全な場所。

エンパワーメント。任せられること、大切にされることがどれだけ意欲や成長へのパワー源になることか目の当たりに実証できる。

最後まで実行できやり遂げることによって生じる達成感、それからの自己効力感。その自己効力感が粘り強さやレジリエンスへとつながる。

コミットメント。

一方通行の会議での結論がどれだけ責任ある行動へとつながってこなかったかは皆さんもよくご承知のとおり。

もう一つは、ミドル・マネジャーの活躍の場

企業変革、業務改善からの事業成果におけるリーダーシップの自覚が与えられ、ファシリテーターとしてマルチな知識・スキルを鍛えられる。活躍の場はハードワークだが成長の停滞・沈滞からは無縁になる。


変化にも危機にも柔軟な強靭な組織のネット。底力。


元気が出るエピソード


エピソード例1:根拠なき自信家リーダーは自分のアイデアが一番とアピール。コンセンサスまでたどり着かない中、自分の役割を一つひとつ積み重ねてきたメンバーのアイデアが採用され、プロジェクトの救世主に! @日本

例2:ひと前に出るのは苦手と思い込んで、ずっと避けていたファシリテーター役。控えめな聴き上手の初心者が見事なファシリテーターぶりを発揮。評判が経営層の耳に入り初のプロジェクト専門ファシリテーターに! @日本

例3:ワークアウト導入直後の頃、強面の次長が偵察がてらチームミーティングに。コンセンサスを無視し強引に決議しようとすると日ごろヒラメかカレイと呼ばれていたリーダーの課長が毅然とルールに従うよう注意!@日本

例4:MBAもアングラもハイスクール卒もフラットなワークアウトに日ごろ不平ばかりのジェフは俄然やる気に。カフェラウンジを初めさまざまな場所に貼り紙し、無差別級のフォルムが蝶のようにデスクの間を舞う@アメリカ

例5:オペレーションセンター内はバルーンや横断幕や飾りがまるでNBA試合会場のよう。チームそれぞれが自分のチームの課題と解決策が一番とアピールし合う。アピールしながら自らどんどん改善、進化していく@アメリカ

例6:業務プロセスの見直しから時間短縮が図られている中、ミーティングで朝の出勤後のルーティンの話が出た。それぞれに無理があると気づき、自身のスケジュールやTO・DO・LISTの見直しからプライベートにも余裕が生じる@アメリカ


まとめ


ワークアウトはスピード、シンプルさ、コミットメント、エンパワーメント、コンセンサス、多様性、汎用性のパワフルな特長を持つがもちろん完ぺきではない。エッセンスを理解し、あなたの組織の直面している課題に自ら応用して自社流のワークアウトを継続していく。ぜひそのために皆さん各自のリーダーシップの発揮を期待します。

ネットワーク組織とか、いろいろ進んで行き、ボトムアップもいずれ死語になるのでしょうかね?

with all of my thanks and affection


あとがき


「元気が出るエピソード」にあるように、ワークアウトを開催したり参加したりしてその活気・エネルギーを体感/体験すれば、経験者たちはたとえタンポポの種のように遠くへ離れていっても、それぞれ違う場所で違う形で、あるいは頭の片隅で、そのエネルギーやマインドは生き続けていると思います。

この記事を古き良き時代からの私の良き理解者MSさんとCSさんたちへいっぱいの感謝を込めて贈ります♡


用語の説明(ご参考)


・メンター=人が学び、成長するためのアドバイザーでありカウンセラー

・メンタリング=タスクの熟達に重点を置くと同時に、仕事面でのサポートを提供していたとしても単に業務上のことだけではなく、メンティの学習能力が向上するように、私的な側面との相関的な点にも双方に重点を置きます。(R.B.ディルツ氏)

・メンティ=メンタリングを受ける人(ご相談者)

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