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心が揺らぐ時とは-neurocam-

日常を過ごす中で、ふとした瞬間に気持ちが動かされることはありませんか?
例えば買い物に行く途中、ふいに金木犀の香りがしてその橙の花がどこにあるのかを探したり、おなかが空いて立ち寄ったコンビニのパンコーナーで、学生時代によく食べていた「コッペパン」を見つけ、部活帰りを思い出したり。

ただ、このように無意識に気持ちが和んだり、パッと明るくなったりした瞬間は、買い物が済んだり、おなかが満たされるという目的が達成されると、いつの間にか消えてしまいます。
でも、もしできることならばその瞬間の気持ちを、記憶しておきたいと思ったことはないでしょうか。

残念ながら、その瞬間の気持ちを鮮明なまま記憶しておくことは難しいですが、今回はその気持ちが動いた瞬間の映像を保存する、脳波計測技術を応用した未来感あふれるガジェットをご紹介します。

心が揺らいだ瞬間を記録する「neurocam」 -neurocamのご紹介-

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その名は「neurocam」
neurocamは、脳神経:neuroとカメラ:cameraを組み合わせた造語で、その名の通り”脳で動かすカメラ”です。無意識に心が動いた瞬間を脳波で感知して、自動で映像を記録するウェアラブルカメラなのですが、その仕組みを簡単にご説明します。

まず、おでこにつけたセンサーから脳波をリアルタイムに解析し、その測定結果から「気になる」と感じた瞬間を捉えます。「気になる」が一定の値を超えると、自動的にカメラの録画が始まるというシンプルなシステムで構成されています。カメラは、スマートフォンのレンズ部分をプリズムで前方が撮影できるように反射させ、側頭部に装着します。

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撮影された動画はあとからアルバム機能を使って見返すことができ、「気になる度」の値やタイムスタンプも確認できます。

意図した瞬間ではなく、無意識に自分の心が動いた瞬間を記録に残せるってちょっと新鮮ですよね。

neurocamにできること

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まずひとつ目は「顧客視点の価値再発見」です。

ここでは、観光地での活用例をご紹介します。
neurocamはスマホと脳波計測機があれば、いつでもどこでも使用可能です。そんな特徴を活かして、観光地で観光客に装着してもらい、インタビューやアンケートでは拾いきれない、自然に感性が動く景観や建物、その土地ならではの食や工芸品などの文化を、映像として記録に残し、データ収集することが可能です。

例えば、大都市圏に住んでいる観光客の感性に響くものが、実は古い木造の日本家屋の佇まいや、無造作に絡みつく蔦、静かに流れる小さなせせらぎということもあるかもしれませんね。

ふたつ目は「店舗の顧客体験改善」です。

お店を訪れた時、居心地の良い場所であって欲しいですよね。一方で、一度でも居心地が悪いと感じてしまった場所に、もう一度訪れるでしょうか?
ましてや店舗にとって、それが顕在化した課題ではなく、「なんとなく嫌だ」という言語化しづらい原因であれば、なおさら厄介な問題となります。

そこでneurocamを活用し、感性指標を「ストレス度」に変えて計測することで、ストレスが上がった場所やポイントを記録します。
サービス提供者が気づいていない、且つ顧客も無意識に避けている部分。例えば、清掃が行き届いていない部分や商品の欠品、接客体験等のストレスの要因を発見するきっかけになるかもしれません。

次に「SNS上でのコミュニケーションツール」

YouTubeやInstagram、TikTok等を中心に写真や動画を気軽に投稿するという文化が急速に広がっています。しかし、ほとんどの「映え」は撮り尽くされ、飽和状態になりつつあるのではないでしょうか?

そんな時、無意識下の「気になる」を拾って、他人とは違う視点から撮影した映像を、脳波で導き出した「気になる度」と一緒に共有してみたら…?
目新しいものが無くなったかのように見えた日常の中にも、「無意識」というキーワードを添えることで、全く新しいストーリーを作り出すことができるかもしれませんね。

こんな日常も記録できる

実際にneurocamを装着して街に出てみたら、自分では予想しなかった「気になる」に出会いました。

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”浅草寺の雰囲気に合わせたデザインの自動販売機にふと気づく”

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”何気なく見ていたけど、雷神様より風神様の方が好きなのかも...”

今回は浅草を歩いてみましたが、見慣れた街でも新たな「気になる」を発見できたので、旅行などで初めて訪れる場所なら、もっとたくさんの「気になる」に出会えそうですね。

今後の展望 「エモーショナル・インターフェース」

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電通サイエンスジャムでは、脳波計測技術を活用することで、空間やプロダクト等の研究分野での感性評価を中心に行なってきましたが、脳波計測技術はneurocamのような感情をトリガーとした、コミュニケーションツールとしても活用できます。

脳波から導き出した感性が、ハードウェア/ソフトウェアと繋がり、操作することを可能にするエモーショナル・インターフェースで、「ヒト・ココロ・モノ」を一体化することができます。

映画やスポーツで感動したシーンを記録したり、その場の気持ちに合わせて素敵な音楽が流れたり、泣き出しそうな赤ちゃんをあやす為のしかけだったり…。感性をきっかけにした新しいサービスを実現できる時代が、すぐそばに来ています。

電通サイエンスジャムは、これからも感性を活用した、新しい取り組みを続けていきたいと考えています。

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