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【後編】すべての社員が快適に働ける環境へ。社内セミナー「なぜなにDEI?」を開催しました#クロスのDEI

こんにちは、電通クリエーティブX 広報です!
(社名の「X」は「クロス」と読みます。以下、クロス)

先日公開した記事、「すべての社員が快適に働ける環境へ。社内セミナー『なぜなにDEI?』を開催しました」の後編をお届けします。講師である伊藤義博さんから解説いただいた、クロスがDEI推進に取り組むべき理由や個人にとってのメリットについて、内容を抜粋してレポートします。

講師:伊藤 義博(DEI総研 代表)
2010年 電通ダイバーシティ・ラボ(DDL)設立準備から事務局長、代表を務める。DDLはダイバーシティ&インクルージョンを起点とし、社会課題と企業課題の同時解決を目指すソリューション開発ラボ。ダイバーシティ全領域で20以上のプロジェクトを統括・推進。2023年4月に電通退職後、DEI総研を設立。


マジョリティの多様化

企業はさまざまな外部環境の変化に直面していて、企業が生き残っていくためにはこれらの変化に対応していかなければず、DEI推進は「目的」ではなく、変化への適応力を上げるための「手段」であることを前編でご紹介しました。

しかしビジネスの場でも、刷り込みや思い込み、バイアス(偏見)によって変化への対応ができていないケースがあると伊藤さんは言います。

これまでのマジョリティ(多数)は2~3カテゴリーの気持ちで見ていればよかった。しかし現在、マジョリティー自体が多様化し、拡大しているのではないか考えてみると、車イスに乗っている人がや子ども、妊娠している女性が入ってきたり、そういうことがあるかもしれないと言えると思います。

セミナー前半でもあったとおり、マーケティングではどれだけターゲットを絞れるかということが大切になってきます。一方で、絞ったことによって排除している人たちはどうなんだろうかっていう想像力もどこかで必要になってくると思う。この辺のクライアントさんと話が出来るチャンスがあると、いいかなと思います。

イノベーションは「新結合」

イノベーションは通常、「革新」という言葉で訳されますが、イノベーションは新しい結合によって起きるため「新結合と訳すべき」と、伊藤さんは言います。シュンペーターという19世紀の哲学者が、「近い知と遠い知を掛け合わせることで新しいイノベーションが起きる」と説明していたそうです。

クリエーティブ専門職の場合、アイデアに行き詰ったり、新しいブレークスルーが欲しい時に、普段関係してないもの、遠い知と掛け合わせることがイノベーションを起こすヒントになると言えると思います。

伝える → 伝わる

日本人のほとんどの方が目が悪いという数字が出ているにも関わらず、紙にびっしりと文字が詰まった契約書があります。1ページの紙に占める文字の面積が19%を超えると読みたくない文章になるそうです。

そこで、ある保険会社が契約内容をお知らせするお便りを見やすく作り直したところ、送付物の制作コストが35%ダウン、資料請求が8%アップ、クレームの電話が25%ダウン(テレフォンオペレーターの数を減らせる)し、経営にプラスな影響をもたらしたそうです。

つまり、目が悪い人が多くなっているなかで、どうやって読んでもらうかということ考え、実行すると、企業側のメリットがあるってことがわかったということです。つまり、契約書を渡して伝えるだけではなく、“伝わる”ことを考えていかないと、この企業はダメだと思われる時代になってきました。

個人が素敵なキャリアを描くために

同じ会社でずっと働こうと思っている人、数年だけ働こうとしている人、それぞれいます。どんな形であっても貴重な時間を、人生の約半分を会社に提供しています。伊藤さんは、素敵な未来(キャリア)を描くために必要なことは2つあると言います。

キャリアは「リテラリー」と「コンピテンシー」の掛け算で構築されていくと思っています。私がDEIを生業にしているきっかけは、営業時代に当時の上司からこの仕事をやってくれと言われたことなんです。「DEI?」という状態から始めたんですけど、おかげで会社人生の最後の10年、すごい楽しませてもらいました。そのときに、「多様性」というのが重要な視点になると思います。得意技を磨くのも良いけれど、自分が思っても無いことにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

また、「リテラシー」と「コンピテンシー」は一人ひとり違う無限の掛け算で、みんなが同じである必要はなく、むしろ異なっているほうがチームは強くなると、伊藤さんは参加者に呼びかけました。

エンゲージメントと受容性の関係

最後に、エンゲージメントについて解説いただきました。

持続的エンゲージメントの高い企業は成長率が高く、社員離職率が下がり、従業員満足度調査が高スコアになるそうです。

エンゲージメントを向上させる6つの方法があるとのことで紹介いただきました。このnoteでは紹介できませんが、伊藤さんは「その人らしさの受容がカギになる」とおっしゃっていました。

そのために必要なのは、「心理的安全性」です。この心理的安全性を阻む要因の一つに、上司と部下や先輩と後輩の間にある「権力勾配」があると、伊藤さんは言います。権力勾配は、人間関係における権力の差を傾きで表したもので、傾きが急すぎる場合は、上位者の意見が強くなりすぎて下位者が意見できない状態ということです。

「これをやりたい」「これが得意」は言いやすいけれど、「これは苦手」とは言いにくいですよね。それを言うと、評価を下げられると思ってしまいます。苦手なことを言っても大丈夫な雰囲気づくりや、苦手なことをカバーするための方法を一緒に考えるといったことが保証されていないと、怖くてコミュニケーションできませんよね。

「イヤなことや苦手なことを言える、お互いがカバーし合うカルチャーづくりが、今後企業が生き残っていくために大事になってくる」と、伊藤さんは締め括りました。


前編後編と分けて、「なぜなにDEI?」セミナーレポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。

DEI推進は、単なる「目的」ではなく、変化への適応力を高めるための重要な「手段」であると、伊藤さんは強調されました。社会環境や市場の変化に対応するためには、多様性を受け入れ、互いに特性を活かしながら新しいものを創り出すネットワーキングが不可欠です。

個人的には、車イスに乗る友人がいないことや、障がいに関する言葉の使い分けについて考える機会を与えてもらい、非常に勉強になりました。

今後もクロスでは、DEIを推進することで、「すべての社員が快適に働ける環境」づくりに取り組んでいきます。


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