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がん と 生きること

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2021年9月の記事一覧

Survivor(詩)

この詩は、Diceyの娘のNnekaさんが2001年9月、母親であるDiceyの卵巣がん診断後から5年経過を讃え作ったものです。
がんばって辞書を引き引き翻訳しましたが、例文で見つけられなかったものもありもし適切な意訳がありましたら連絡いただけたら嬉しいです。

SurvivorA journey 
長い旅路
A path 
行くべき道
A step--we all must take one 

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ネガティブケイパビリティって曖昧さに耐えることだけど、それを曖昧にしておくことがまず難しい。

ネガティブケイパビリティって曖昧さに耐えることだけど、それを曖昧にしておくことがまず難しい。

僕は最近精神科や緩和ケアの領域でよく言われている「ネガティブケイパビリティ」(事実や理由を性急に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力)を知っていても良いと思うのですが、自分の仕事に採用することを否定しています。医療に関わるなら何か役に立つことを考え続けなくてはなりません。
「どうせ何をしてもどうにもならない、だから最初から『ネガティブケイパビリティ』耐える力を蓄える」というこの考えは

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卵巣がんと痛みの物語1

卵巣がんと痛みの物語1

がんの痛み

2021年夏に開催された第63回日本婦人科腫瘍学会学術総会においてオンデマンド配信された「がん患者の精神的ケア(横浜市立大学・助川明子先生)」の発表でも取り上げられましたが、がんの痛みは、抗がん剤の副作用によるしびれや吐き気、がんの進行によって起きる痛みだけではありません。
人の痛みには上記に示したような身体的苦痛のほかにも、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインがあるとされて

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SNS医療のカタチで語られた「臨終行儀」

SNS医療のカタチで語られた「臨終行儀」

「死について考える」ことは難しい。
医師や僧侶なら日々、死について深く考えているのだろうから、死について詳しいに違いない、と考えられるのも当然だ。
しかし実際には、その医師や僧侶ですら「死についてはわからない」と言う。
僕ら緩和ケア医も、毎日のように死に向かっていく方々と接しているわけだが、だからといって死に詳しいわけではない。他人よりも少しだけ、死に向かっていく姿を多く見てきた、というだけだ。

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私たちはどういう薬事行政を望むのか

私たちはどういう薬事行政を望むのか

抗がん剤「アブラキサン」供給停止2021年8月、衝撃的なニュースが飛び込みました。
抗がん剤「アブラキサン」が供給停止になるというニュースです
(参考)日本臨床腫瘍学会のリリース

アブラキサンは膵臓がんのファーストラインであり、他にも胃がん、乳がん、肺がんにも適応を取得しています。

がんという病気と向き合ううえで抗がん剤がいのちの時間を延長するのに大きな役割を担っています。
アブラキサンが必要

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