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小林秀雄を読む日々

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『小林秀雄全作品』全32巻を、あきれるほど丁寧に読んでいきます。まず「『私の人生観』にたゆたう」を完結。新連載を準備中です。
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#思想

全体を読み返してこそ熟読玩味できる

およそ5か月にわたって読んできた小林秀雄『私の人生観』を、いま一度全体を読み返してみて気…

既視の海
1年前
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みずから考え、工夫し、つくり出す思想を持て

小林秀雄を私淑する哲学者の池田晶子によれば、哲学は「在る」ものではなく、哲学を「する」も…

既視の海
1年前
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ジャーナリズムは「とってつけた」他人の思想を語っているだけだ

先の戦争では、江戸時代に武士の心得として書かれた『葉隠』における「武士道と云は死ぬ事と見…

既視の海
1年前
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必要なのは、「器用」をきわめる名人であって、己を知らない指導者ではない。

宮本武蔵は、兵法を極める手法をもって諸芸をも極め、自分を鍛練することで、みずからの思想を…

既視の海
1年前
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「器用」を極めたから、師匠はいない

宮本武蔵が著わした『五輪書』の「地の巻」にある、兵法の道を学ぶ心がけ九箇条のなかで、小林…

既視の海
1年前
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心のあり方よりも、「器用」を極めよ

13歳から真剣勝負を初め、20代の終わりまでに60数回の勝負をしたという宮本武蔵は、兵法の道を…

既視の海
1年前
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伝統に頼らず、自らの言葉で思想を語る

宮本武蔵が著わした『五輪書』は、『私の人生観』の当時はまだ評価が定まっていなかった。それでも小林秀雄は宮本武蔵という人物像を読み取った。 「仏法儒道の古語をもからず、軍記軍法の古きを用ひず」というのは、「仏教や儒教の古くから使われてきた言葉を借りることなく、軍記や軍学の故事を引用することもせずに」(『ビギナーズ日本の思想 宮本武蔵「五輪書」』魚住孝至現代語訳)という意味である。有名な格言や、定評ある先人の言葉をもって、自分の考えを権威づけたり、飾り立てようとせず、自分の言葉

ふたたび宮本武蔵から学ぶ

四六判の「小林秀雄全作品」第17集でも61ページにわたる『私の人生観』において、最後のおよそ…

既視の海
1年前
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文体を欠いた思想家はシンフォニーを創り出せない

日本の哲学者は、論理は尽くすが言葉を尽くしていない。観念を合理的に述べれば十分だと思い込…

既視の海
1年前
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国語という大河に生きて、言葉をつかむ

ベルクソンが天才だと思うのは、特定の人や作った本人しか解らないような専門用語を用いず、日…

既視の海
1年前
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なぜ科学も哲学も知覚の助けとならないのか

小林秀雄は「美」をどのようにとらえるかという問いに対して、大きな影響を受けている哲学者ア…

既視の海
1年前
3

詩人が投擲するものは

何の予備知識も先入観もなく、小林秀雄の『オリムピア』のこの部分を読んだとき、これは何なの…

既視の海
1年前
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万物流転と諸行無常

小林秀雄の文章を批判する物言いの一つに、論理の飛躍がある。AだからB、BだからCとたどってい…

既視の海
1年前
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