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234名が参加!JALや積水ハウスなどD&I推進企業8社と金融庁小崎氏らが登壇『ダイバーシティ&インクルージョンカンファレンス2022』イベントレポート(前編)

こんにちは、D&I Award運営事務局です。

株式会社JobRainbow
https://jobrainbow.jp/corp)は、日本のダイバーシティ&インクルージョンを牽引する「D&Iリーダーズ」が集い、日本のD&Iのこれからを考えるイベント、ダイバーシティ&インクルージョン カンファレンス 2022を9/1(木)にオンラインにて開催し、D&I推進に携わる全国の企業担当者を中心に200名以上の方にご参加いただきました。
業種・規模も多様な企業8社のご担当者様と金融庁の小崎亜依子様にご登壇いただき、様々な切り口で日本のD&I推進の現状と未来を考えることができる、盛りだくさんのプログラムの様子をレポートします。


プログラム紹介

プログラムはJobRainbowの基調講演で始まり、各企業のD&Iに関する取り組み事例を紹介するカンパニーセッション、JobRainbowのモデレーターからの質問に答えながらD&Iの課題や打開策について話し合うパネルディスカッションやキーノートセッションで構成されています。

「ダイバーシティ&インクルージョン カンファレンス」当日タイムテーブル

■基調講演「2022年のD&Iのトレンドと2030年のD&Iの未来予測」
JobRainbow 代表取締役CEO 星賢人

■カンパニーセッション 登壇者によるD&I取り組み事例紹介
積水ハウス株式会社 シニアスペシャリスト 森本泰弘氏
freee株式会社 ダイバーシティ推進室 室長 吉村美音氏
日本航空株式会社 人財戦略部 D&I推進グループ アシスタントマネジャー 上野桃子氏
株式会社アワーズ 統轄部総務課 チームリーダー 出口貴之氏
株式会社CRAZY CRAZY WEDDING プロデューサー 渡部恵理氏

■パネルディスカッション
中小企業がD&Iに取り組む必要性と、経営者が牽引するD&I推進のメソッド
株式会社エーピーシィ 代表取締役社長 安藤寛高氏
大橋運輸株式会社 代表取締役社長 鍋嶋洋行氏

■キーノートセッション①
「ちがい」を「つよみ」に転換するDEI 〜Equityの観点から「一人ひとりが活躍する社会」を再考する〜
デロイト トーマツ グループ
Diversity, Equity & Inclusion(DEI)マネジャー 高畑有未氏

■キーノートセッション②
D&Iと金融を取り巻く国内外の動向〜スタートアップのジェンダーダイバーシティから課題を紐解く

金融庁 総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室 
課長補佐 小崎亜依子氏 

イベントの内容

JobRainbowによる基調講演「2022年のD&Iのトレンドと2030年のD&Iの未来予測」

登壇者:株式会社JobRainbow 代表取締役CEO 星賢人

弊社代表星賢人より、2022年のD&Iの現状や2030年に重要視されるであろうD&Iの未来についてお話しました。

国際比較における日本の人材課題や今年度進んだ働き方に関する法改正についておさらいしつつ、2030年高齢化が進んだ日本において重要視されるD&Iのあり方やESG投資の未来について語りました。

本カンファレンスでは20分とコンパクトにまとめてお話しましたが、
9月28日(水)13:00より1時間のフルバージョンセミナーを開催します❗️
イベントに参加されなかった方だけではなく、もっと詳しくD&Iの現状と未来予測について知りたいという方は、ぜひご参加ください!

無料オンラインセミナーのお申込みはこちら👇https://share.hsforms.com/11SDlBhhlQESWl46GynNxIQcgi9h

企業事例紹介1【積水ハウス株式会社】

ご登壇者:ダイバーシティ推進部 シニアスペシャリスト 森本泰弘様
「わが家を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョンに掲げ、従業員とその家族の幸せのためにも働きやすい環境づくりに取り組む積水ハウス様の男性育休制度についてご紹介いただきました。 

社内外で推進する男性育休制度
社長がスウェーデンを訪れた際に、ベビーカーを押す男性の多さに衝撃を受け、帰国後すぐ男性育休制度を開始。2019年2月の本格試用から現在まで、育児休業取得率100%を達成し続けています。
育休取得の際は「家族ミーティングシート」が配布されます。これは社員が家庭でどのような役割分担をしてきたのか、育休中はいかに役割分担していくのか、そして育休終了後はどうしていくのかといったことを話し合い、制度を有効に利用するためのものです。

さらにESG経営のリーディングカンパニーとして、「育休の日」を設け育児に関するフォーラムを開催したり、育休に関する大規模調査の実施をしたりするなど社外への発信も積極的に行っています。

資料
・家族ミーティングシートhttps://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/library/pdf/meeting-sheet.pdf
・「男性育休白書」2022年版調査 https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/research/

企業事例紹介2【freee株式会社】

ご登壇者:D&I推進室室 室長 吉村美音様
2社目はスモールビジネスのための経営プラットフォームを開発されているfreee株式会社のD&I推進室室長の吉村様にご登壇いただき、文字通り「誰もが」使いやすいプロダクト開発のために必須のD&I推進についてお話いただきました。

freee株式会社は「誰もが自由に経営できる統合型プラットフォーム」の構築をビジョンに掲げ、文字通り「誰もが」使いやすいサービスを提供するためにD&Iは必須であると位置づけています。D&Iの考え方を浸透させるため、新入社員には「誰もが環境や立場が違えばマイノリティになる」という当事者意識を持ちやすくなるような研修を実施しています。

Equityと障害
freee株式会社は障害の「社会モデル」をとり、公平性の観点から一人一人が働きやすい環境オフィス設計やプロダクト開発などを実施しています。さらに「誰もが、ほぼ同じコストで、ほぼ同じよう量の情報を得られ、同じ目標を達成できる」という考えのもとプロダクトのアクセシビリティを重要視しています。だれもが自由に経営できる統合型プラットフォームを構築するという会社のビジョンに誠実に向き合う姿勢に感銘を受けました。

資料:
freee アクセシビリティガイドライン
https://a11y-guidelines.freee.co.jp/

パネルディスカッション「中小企業で経営者が牽引するD&I推進のメソッド」

ご登壇者:
株式会社エーピーシィ 代表取締役社長 安藤寛高氏
大橋運輸株式会社 代表取締役社長 鍋嶋洋行氏
このセッションでは株式会社エーピーシィの代表取締役社長 安藤様と大橋運輸株式会社 代表取締役社長 鍋島様にそれぞれの会社でのD&I推進についてご紹介いただいた後、JobRainbowのモデレーターからの質問にお答えいただきました。

株式会社エーピーシィ
「ダイバーシティ」「多能工化」「休みやすい職場環境」から品質向上へ
株式会社エーピーシィはトヨタ自動車の外装モールのサプライヤーです。安藤様が経営後継者として社長に就任された当初、需要伸長で残業が常態化し、人材の獲得・定着が困難な状況にありました。そこで女性社員を会社の未来を担う人材ターゲットと位置づけ改革に着手されました。

採用拡大によってこれまで男性のみが従事していた職務領域に女性が参入し、部署横断的な多能工化が実現。休みやすい体制と同時に有給を取りやすくする仕組みも整えることで、休みやすい職場環境を結果的に実現することが出来ました。女性社員を増やすことから始めたD&I推進の成果は大きいもので、女性だけでなく外国籍社員や障害者社員の比率も増え定着率も増加、多能化の促進、最終的には品質の向上に繋がったそうです。

大橋運輸株式会社
女性活躍の推進からスタート、ダイバーシティを実現し社会貢献まで
価格競争が厳しい運輸業界で勝ち抜くために大橋運輸株式会社は採用を経営課題として、女性活躍推進を始めとして10年以上ダイバーシティに取り組んでいます。時短勤務やフレックス制などを導入し、個人に合わせた社内情報共有を多様化することで女性の働きやすさから全ての人の働きやすさにつながり、現在ではシニア、外国籍、障害のある社員などが多く働いています。

働く人の多様化とともに地域での貢献活動も多様になり、交通事故防止だけではなく環境や福祉、健康などの分野で地元に根付いた活動を続けています。ダイバーシティ推進の成果として求人応募数も増加し、さらに幅広い地域からの応募にも繋がったとお話していただきました。

モデレーター:今色々な企業でD&I推進の取り組みがありますが、うまくいかない、壁にぶつかるという声も聞きます。なぜD&I推進はつまずいてしまうのでしょうか?

安藤様:つまずく原因のひとつはD&I推進が人事部門だけに押し付けられ会社全体としてD&I に取り組めていないところ。2つ目はD&I推進は相手に配慮するプロセスが必要なので支援型リーダーシップが理想的ですが、支配型のリーダーシップだと上手くいかないのではないでしょうか。

鍋島様:会社全体で取り組めていないというところに同意します。他にはトラブルを恐れてなかなか取り組みが進まないということもある。当社もLGBTQ採用を開始する際に、イベントに参加するなど積極的に「情報を取りに行く」ことで知識を増やすことを重要視しました。また、短期的に成果を求めることではなく長期的に取り組む必要があると思います。

モデレーター:お2人とも「会社全体」で取り組むことが重要とおっしゃいましたが、チームでD&Iに取り組むためにどのようなことをされていますか?

鍋島様:トラブルがあったときは担当部署だけでなく経営層、総務などを入れてミーティングをし、チーム全体でトライ&エラーを繰り返すことです。部署だけで解決するのは難しいので、みんなで、チームで問題解決に取り組んでいます。

モデレーター:チームでトライ&エラーを繰り返すためには社員一人一人のD&I理解が必要だが、社内のD&I浸透のために具体的にどのようなことをされましたか?

鍋島様:社員の知識を増やしていくことです。社内でも最初は女性や外国人を迎えることに反対・不安の声が多かったのですが、意識を変えるには知識を高めることが重要なため継続的に情報発信につとめた。継続することで社内の理解は広がりました。

安藤様:チームとしてD&Iに取り組むためには、
①バリュー、②評価制度 、③部門長参加の3点を重要視しました。
1.バリューを大切にしてどんなふうにD&Iを推進するかを具体的に示す
2.評価の基準を多能工化にして、従業員の間で他の仕事、部署にも挑戦しようという意識が生まれて各部署の多様性が高まった。
3.D&I推進に製造部門長など、部門長を参加させて巻き込んでいる。

モデレーター:安藤様は前質問で支援型のリーダーシップが重要で従業員の意見を吸い上げやすくなると伺ったが、どのような形で支援型のリーダーシップを実践されていますか?

安藤様:1つは制度からつくっていくことです。モラルサーベイ、従業員満足度調査は、町工場の規模だと怖くてやれないと言うことが多いですが、そういうことをやらないと従業員の理解を得られません。
多能工化評価に際して個人面談を行い一人一人と向き合っています

経営者の立場で実践されたアプローチについてお2人にお話をいただきました。最後には、「中小企業こそD&Iに取り組むべき」というお話もいただきました。
安藤様、鍋島様、ありがとうございました!


カンファレンスのイベントレポート後編は、こちらです↓


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