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【映画レビュー/ネタバレ】ブルー・マインド―"金魚を食べる"を売りにしてはダメ

ブルー・マインド(BLUE MY MIND)




スイスアカデミー賞7部門にノミネートされた作品です。

の割に日本での評価はあまりよくないです。

しかし、私は5点満点中4点ぐらいは付けたいです。

(なんか上から目線でやだな。)


金魚を食べるシーンが予告でも使われたりしているようですが

そこが重要ではないと強く言いたいです。

なんなら、そのシーンは序盤で終わります。


思春期の女の子の葛藤・苦悩・欲望などが上手く表現されています。


心の悩み・臨床心理的要素の強い映画が好みの方はぜひ見てほしいです。



あらすじ・キャスト監督


あらすじ
両親の仕事の関係で新しい街へと引っ越してきた15歳の少女・ミア。親の都合に振り回されることへの苛立ちと、大人の女性へと変わっていく自分自身への言いようのない不安の中、ミアはクラスでも目立つ存在のジアンナたちと仲良くなる。アルコール、 万引き、男の子たち、ミアは憂鬱な気持ちを振り払うように、仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。そんな中、彼女は決定的な体の変化を感じ始める。しかし、それは明らかに「成長」と言うにはあまりに不気味で、不自然なものだった。果たしてミア の身に一体何が起こっているのか?彼女を待ち受ける過酷な運命とは?


キャスト監督

監督:リサ・ブリュールマン

・ミア役/ルナ・ヴェドラー
・ジアンナ役/ゾーイ・パスティル・ホルトアイゼン
・ガブリエラ役/レグラ・グラウヴィラー
・ミカエル役/ゲオルク・シャーレック



描写が美しい


最後までとても描写が美しい映画。

例えるなら、YouToubeでよくみる海外のモーニングルーティンみたいな感じ。


ずっと薄暗いので、もしかしたら最後まで退屈に感じるかもしれない。

しかし、最後の人魚になってからのシーンは非常に美しいので、ぜひみてほしい。


思春期の親とのコミュニケーションの重要さ


人魚になる=自殺
という考えでこの映画を観るとより理解が深まると思う。


自殺の原因は、ミアが親とうまくコミュニケーションを取れていなかったことにあると思う。

父親の転勤でも、身体がどんどん変化していったからでも、学校に馴染めなかったからでもない。

思春期ならではの不安を吐き出す術をミアはもたなかった。


とはいっても、ミアは十分助けを求めていたと思う。


母親の寝室で一緒に寝たいと求めたり、「なぜ私は2人に似ていないの?」と尋ねたり。

親であれば、情緒不安定なのも見れば分かったはずだ。


それでも、父親は母親をぶったことや、金魚を捨てたことを問い詰め、ダメだと怒る。

母親の事ばかり守ろうとするし、子どもが悪いように扱う。


養子だからってここまで冷たくなるものなのかと辛くなりました。

しかし、悩んでいるときに助けを求めるのは「母親」なのだなとも感じた。

私も実際悩みを打ち明けるのは母親。

男の子であれば父親なのかとも思うが、おそらく母親は偉大だ。


ただ、親が子の悩みに寄り添う気持ちがなければ子どもの未来はないのだと感じる映画となった。



ジアンナは心の逃げ場的存在


最後、海へ帰るときに呼んだのは親ではなくジアンナ。

そのシーンからしても心の支えだったのだと感じました。


ヤンチャなシーンが多いが、そういう子たちは幼少期になんらかの事情を抱えていることが多いです。


ミアもそういった中にいることで現実から離れられるような気がしていたのだと思います。


でもやっぱり、心の支えがジアンナだけでは足りないですよね。

ほんと、親なにしてんだって思っちゃいました。



最後のシーンは自殺の表現が美しい


最後のミアが海に向かうシーンは本当に美しいです。

ただ、私が美しいと思ったのは自殺の表現方法です。


どんよりとした音楽で、光も射していません。

なんとも寂し気で悲しく表現されています。


本当はこうなりたい訳ではなかった。

でも、こうするしかなかった。


最後にミアが海へ向かい浜辺の方を振り返るシーンも

なんとも悲しかった。


思春期の子どもの表現の仕方も素晴らしかったし

女監督ならではの視点でミアを表現したのも素晴らしかった。




今日のつぶやき

映画の感想書くのやっぱり楽しい。







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