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「おかしい」と思っていたらHSPだった。HSPとは

「大人数」
「大きな音」
「対話」
「急な環境の変化」

 実は筆者にとってコレらは、たびたび悩みのタネになる。他人にとってはそれほど気にならないものにも異常に反応してしまうのだ。

 筆者はコレらに遭遇すると、その場から逃げ出したくなるほどの嫌悪感を抱く。コレが「HSP」の症状だと知ったのは、20代後半になってからだ。

 そこで今回は、私を救ってくれた「HPS」と呼ばれる気質について書いていこうと思う。

そもそも「HSP」とは?

 HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略。「ものを感じ取る能力が高く、わずかな変化でもすぐ感じとる気質をもった人」という意味だ。

 心理学者であるエレイン・N・アーロン博士が提唱した心理学的概念。人口の「5人に1人」はHSPでそれほど珍しい気質ではない。

 ”HSP”とアルファベットで表記されると「なんかヤバい病気?」と思われるかもしれない。だが病気や障がいではなく、生まれ持った”気質(特性)”で、自分の行動や環境を変えればうまく付き合える。発達障害?精神障害?といわれるがそうではない。

HSPのよく抱える悩み/症状の特徴

 アーロン博士は、HSPを「DOES(ダズ)」とよばれる4つの特徴に分けて示している。

【D】情報を深く処理する(Depth of Processing)

 HSPは、簡単に答えがでることでも、深く考える傾向がある。脳が敏感だと見たこと聞いたことなどに対して、”より深く調べたくなる”といった性質があるのだとか。

・一を聞けば十のことを想像して考えられる
・調べものを始めると深く掘り下げるため、知識量が豊富である
・お世辞や嘲笑を見抜ける 物事を始めるまで、多彩な観点から考えるため時間がかかる
・生き方や哲学的なことに興味があり、浅い話は好きではない

引用:大阪メンタルクリニック

 その場の空気感や人の感じていることを読むのが得意なあまり、情報を読み取りすぎて疲れてしまうといった特徴がある。

【O】過剰に刺激を受けやすい(Overstimulation)

 HSPは、(社会的刺激を含む)刺激を過剰に受けやすい。

 「さまざまな向きの”L”の中から”T”を探すテスト」をHSPとそうでない人に対して実施した調査によると、HSPは”T”を見つけるスピードが早かった。だが、テスト後他の人よりもストレスを感じていることがわかった。

・人混みや大きな音が苦手
・友達との時間は楽しい。しかし帰宅すると、疲れが一気に出て動けなくなる
・映画や音楽、本などの作品に感情が移入しやすい、感動して涙が出る
・人の些細な言葉や行動、表情に傷つき、忘れられない
・些細なことでも過剰なほどに驚いたり、ショックを受けたりする

引用:大阪メンタルクリニック

 誰でもストレスを感じることはあるが、HSPは五感が優れているため、刺激を過剰に受けることが多い。過剰に刺激を受けてしまうことで、体調を壊す人も少なくないのだ。

【E】感情の反応が強い、共感力が強い(Emotional response and empathy)

 HSPは、他人の感情の移り変わりにも敏感。他人の感情を自分のことかのように受け止めてしまう傾向にある。

・人が怒られていると自分のことのように感じ、ネガティブな感情なったり傷ついたりする
・悲しい映画や本では、必ず感情移入し、号泣する
・他人のちょっとした仕草、目線、声、表情などから、機嫌やどう思っているのか察することができる
・言葉を話せないような赤ちゃんや動物の気持ちを察することができる

引用:大阪メンタルクリニック

 「喜び」だけならいいが、他人の「悲しみ」「怒り」「驚き」などの感情も自分ごとに思えるため、すぐに疲れてしまうのだ。

 また相手の気持ちがわかりすぎるがあまり、自分の感情は無視して、常に相手の気持ちを優先させるといった一面がある。

【S】些細なことも気づく(Sensitivity to Subtleties)

 HSPは、知覚的な鋭さがあるとされている。他人が見逃してしまうような些細なことにも気づける。

・強い光や日光のまぶしさが苦手
・煙草のにおいや口臭を感じて、気分が悪くなる
・冷蔵庫などの機械音や時計の「チクタク」音が気になってしまい集中できない
・カフェインや添加物に敏感に反応する
・肌着のタグや素材が我慢できないほど気になる
・第六感がはたらき、よく当たる

引用:大阪メンタルクリニック

 HSPの人は「勘がいい」「鼻が利く」といわれることも多い。それは小さな刺激にも敏感に察する性質があるからだ。

 HSPの人が抱える悩みは少なくない。実際に筆者も大人になり「どうも生きづらいなぁ」と思い、過去の自分を振り返ってみると「HSPの特性に当てはまる」と思う部分も多かった。

HSPの診断方法は?

 下記の質問に感じたまま答えてみてほしい。少しでもあてはまったら「はい」、そうでないなら「いいえ」にチェックを入れてみよう。

・周囲の些細なことによく気がつくと思う
・他人の機嫌に影響される
・痛みにとても敏感だ
・忙しい日は、ベッドや暗い部屋、もしくはプライバシーを確保できて刺激から解放される場所に引きこもりたくなる
・カフェインに対して敏感だ
・まぶしい光、強いにおい、粗い生地、近くから聞こえるサイレンなどにすぐに反応する
・豊かで複雑な内面世界を持っている
・大きな音が苦手である
・芸術や音楽に心を大きく揺さぶられる
・良心的である
・すぐに驚く
・短時間にたくさんやることがあると混乱する
・誰かが居心地の悪さを感じていると、その理由を察し(明かりを調整したり、席を変えたりして)心地よくしてあげようと思うことが多い
・一度にたくさんのことをやるように言われると困ってしまう
・失敗や忘れ物をしないよう、とても気をつけている
・普段から暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
・周囲でいろんなことが起こると動揺してしまう
・極度の空腹によって強い反応が引き起こされ、集中力や気分がそがれる
・環境の変化に動揺する
・些細な、あるいは良質なにおい、味、音、芸術作品を堪能する
・動揺や混乱を引き起こすような状況を極力避けて生活している
・仕事で誰かと競ったり、評価されたりすると、普段より緊張し動揺してしまう
・子供のころ、親や教師から繊細、あるいは内気だと思われていた

引用:エレイン・N・アーロン(著), 片桐恵理子 (翻訳)(2020) 敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術(フェニックスシリーズ) パンローリング株式会社

 「はい」が12個以上あった人は、おそらくHSPだろうといわれている。ちなみに筆者は、すべてあてはまった。

 ただ1〜2個でもその項目に完全にあてはまるようであればHSPといえるともいわれている。

 結局「どっちなんだ」とも思えるが、このような診断テストには”絶対”ということはないので、あくまでも参考までにとどめてほしい。

HSPとうまく付き合う方法

 細かく書けばいろいろあるのかもしれない。だが、「HSPをよく知ること」がこの気質とうまく付き合うための近道だと思う。

 HSPの人ならよくわかると思うが、知らないことほど怖いものはない。実際に筆者もHSPの症状を知っただけでも心が和らいだ経験がある。

 「私みたいな人って一人じゃないんだ」と思えた。今まで悩んできたことの原因を正しく知ったことで、自分を受け入れられたのだと思う。

 たとえば、今まで感じていた刺激量はそうでない人よりも差があると知り、自分が甘えていたわけでも、感覚がおかしいわけでもないことがわかったとか。自分は生きている価値のない人間だと思ってきたけど、実はそうじゃないことがわかったとか。

 HSPで生きづらさを感じるなら、HSPとは何かを知り受け止めることが大切。自分の悩みが明らかになり、対策が見えてくることもある。

まとめ

 おそらくHSPの特性として、アレもコレも一気に言われると混乱するだろう。だからまずはHSPを知り”自分はおかしくない”と思うことからは始めてほしい。これだけでも少しは前向きに生きられる。

 あなたはちょっと敏感で繊細なだけ。それがおかしいことでもなんでもない。だから自信をもって、あわよくばこの気質を誇りに思ってほしい。

 この記事があなたにとって、少しでも生きやすくなるキッカケになれば嬉しい。

追伸:
 次回は「HSPの強み」について発信していきたいと思う。実は、HSPって意外と才能の塊なのかも!?お楽しみに。


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