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<断熱リノベ事例>“築50年の空き家”をフルリノベで最新の断熱住宅に【断熱先生のダンネツノートvol.28】

築40〜50年。古くて、不便。使いにくい。でも、売るのは迷う。ライフステージの変化で地元を離れてしまい、実家に住む人がいなくなっているなど。さまざまな理由で今、“空き家”が増えています。

時が止まったままの“空き家”は、老朽化し、雑草が高く伸び、窓ガラスが割れているなど、景観の悪化にもつながってしまいます。
『この家ずっとあるけど、もう人は住めなさそうだよね・・・』という建物を見かけたこと、皆さんもあるのではないでしょうか。

でも、空き家は、現代の工法と組み合わせることで新築と同等性能の住まいへと再生でき、地域にとっても資源になります。

今回は地域に根ざす工務店が、25年もの長いあいだ放置されてきた築50年・2棟並ぶ空き家を、断熱や気密、耐震に優れた高性能住宅化とともに、自然エネルギーを利用して快適な住環境を整えるパッシブデザインを取り入れた体感型ハウスとして蘇らせたお話をご紹介します。

建物が“空き家”になるとどうなってしまうのか?

圧倒的な家不足だった第二次世界大戦後から高度経済成長期にかけて、都市郊外を中心に宅地開発が進み、多数の住宅が供給されました。そうした建物は今、築40年〜70年といったところでしょうか。開発されたものの、現在では都心までのアクセス、駅からの距離などの理由で敬遠され、高齢者だけで暮らしていたり、“空き家”になっていたりすることもあります。皆さんのご近所やご実家にも心当たりがあるのではないでしょうか。

では、建物が“空き家”になるとどうなるのでしょうか。

まず、風通しが悪くなるため、建物そのものが傷みます。建物の周囲に雑草や樹木が生い茂り、うっそうとした印象になります。さらに窓ガラスが割れたり、ゴミが捨てられたりすると、景観や雰囲気も悪くなるのです。


“空き家”を活用して東村山の暮らしを豊かに

武蔵野の面影が残り、どこかほっとする雰囲気が漂う町「東京都東村山市」にある2棟の空き家が今回の舞台です。この空き家の問題解決に立ち上がったのが、地域に根ざす工務店である「大黒屋 木づつみ」代表取締役の袖野伸宏さんです。

「大黒屋 木づつみ」代表取締役の袖野伸宏さん

袖野さんは、東村山の古民家を利活用した複合施設「縁ひらく庭 百才(ももとせ)」の誕生に携わった経験をお持ちです。

「百才(ももとせ)」はもともと個人のお住まいでしたが“空き家”となってしまった古民家を、地域の皆さんが使う場所「地域にひらく場所」として再生。今では、母屋はコミュニティカフェやアトリエ、離れはシェアキッチンとして、多くの人に愛されています。“空き家”を地域の人たちの交流・にぎわいの場として再生した好例ですね。

緑ひらく庭 百才(ももとせ)は、地域の子どもたちにとっても楽しい遊び場になっています。奥に見えるのがリノベーションした建物です。
流しそうめんなど、地域の方が交流するイベントも開かれています。

2つの建物を1棟に!元の構造は残しつつ、新たに生まれ変わらせるスケルトンリフォームで新築同様のモダンな住宅に

「空き家の可能性」に気がついた袖野さんは、25年ほど空き家になっていた2棟の建物を購入。1971年に建てられた築50年の建物を5カ月かけて1棟の建物としてリノベーションしました。

【リノベ前】2棟並ぶ築50年の老朽化した家屋でした
【リノベ後】2棟を1棟の住宅にフルリノベーションされました

リノベプランのポイントは大きく3つ。
①心地よくストレスフリーな家であること、②“もしも”に備えた安心して住める家であること、③唯一無二のお気に入りがある家であること。

特にリノベは、新しいものと古いものをミックスさせるため、新しさと懐かしさが溶け合った唯一無二の空間ができあがります。

今回の建物は、木造在来軸組工法で建てられていました。3つのポイントを考えたところ、主要構造部は残しつつ、大幅に入れ替える「スケルトンリフォーム」を実施することに。

壁材にLIXILの「スーパーウォールパネル」を入れることで、耐震性、防火性、断熱性、気密性を高めるとともに、窓にはハイブリッドサッシである「TW」を採用するなど、昔の住まいにおける断熱のウィークポイントである、開口部の断熱性も強化しています。

築50年(1971年着工)の2棟を1棟の住宅に再構築。工期はおよそ5か月とのこと。

また、夏の強烈な日差しは遮りつつ、春、秋、冬は日射を取り入れられるようにする、自然エネルギーを利用した「パッシブデザイン」を取り入れて設計したといいます。

そして、「築50年の空き家でも、でもここまで快適にできる」と体感できるモデルハウスが誕生したのです。

リノベ後の外観がこちら。新築同様のモダンな住宅に生まれ変わりました。

つづいて、内観も見てみましょう。『これが築50年!?ほんとに?』と驚くほど、見た目も機能性もイマドキの住まいになりました。

吹き抜けがあっても建物の断熱性が高いため、室温は一定をキープできます。もしもに備えて耐震性能を確保しつつ、開口部を大きく取って明るい空間を実現しました。
キッチンや洗面は使いやすさとデザイン性を両立。造作収納で統一感をもたせています
2階にはL字型のワークスペースを設置。テレワークにも対応できます

“空き家”を見た目だけでなく、見えない部分「住まいの断熱性」まで最新にアップデート!

建物の見た目も美しいですが、すごいのはその性能です。改修前は3.89W/㎡Kですから、ほぼ無断熱です。それが改修後はHEAT20 G1グレードを超えるUA値0.5W/㎡Kとなっています。省エネ等級基準でいうと5相当。新築住宅と遜色のない性能となっています。

LIXILまるごと断熱リフォーム
※地域区分:東京都(6地域)、外皮性能計算:簡易計算ルート(外皮面積を計算しない方法)

まるごと断熱リフォームは、今ある住まいを一棟丸ごと断熱改修することで高性能住宅化できる先進の工法です。すぐれた断熱材で、壁や天井、床をしっかりと覆い、高断熱窓や玄関ドアに交換することで、冬はあたたかく、夏は涼しくて心地よい住まいになります。住む人が快適で健康、省エネなので地球や家計にも優しい。ガマンせずに快適、そんな新しい時代の住まいになります。


【断熱先生の編集後記】空き家もきちんと活用すれば素晴らしい資源になる

日本では、長らく新築住宅を購入するのが当たり前でしたが、空き家問題に象徴されるように、中古住宅の市場が形成されつつあります。また、2023年4月からは、2021年4月に成立した民法などの一部改正、さらには相続土地国庫帰属法が順次施行されるようになります。今まで停滞していた空き地や空き家の利活用がさらに進むことでしょう。

大黒屋の袖野さんが実感されているように、空き家や空き地はそのままにしておけば、地域の活力を奪いかねません。ただ、きちんと活用すれば、地域の資源、企業の資源にもなるのです。

リフォームか建て替えかで悩んでいる人、空き家の活用方法で悩んでいる人は多いことでしょう。ただ、このリノベ後の体感ハウスを見学すれば、『築50年の建物も、ここまで変われるんだ…!?』と驚くはず。気になる人はぜひ、モデルハウスへ足を運んでみてほしいと思います。

今回ご紹介した物件については、下記のリンクからも詳しくご紹介しております!

大黒屋 木づつみさんのサイトからもモデルハウス見学のお申込みいただけます。


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