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ダニエルの古い本棚

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この古い本棚はただのではありません。 今は少し色褪せたかもしれないけど、ほこりを静かに撮ると… 見えますか? 幼い頃の夢、青春時代の熱情、切ない物語。 ご遠慮なくどうぞ。
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#詩

時間

時間

君の時間

俺の時間

それぞれの時間

親子という

ご縁に恵まれ

重ねた

僕らの時間

進んで進んで

止まらない時間

止められない時間

可愛いモミジの様な

君の小さな手が

大っくなったら

懐かしくなるかもしれない

まぶしい日差し中

微風にゆらゆら

桜が咲いた

平凡な日

この時間

since 2020

夢の砂城

夢の砂城

ヒステリックにのたくる
無気力の中でも
運命的に叶えない夢を築く

バラバラと潰れる砂城の悲しい運命を
知りながらも
宿命的に古い怒りを築く

どうしても盤石上に築く勇気はなくて
砂城が永遠に続ける様に望むつまらない…

砂粒一つ一つにつぶつぶに実る夢
砂粒一つ一つに深く刻んだ古い怒り

ああ〜
波が押し寄せる
闇が押し寄せる
寂しい沈黙の涙も
共に押し寄せる

徐々に、
とても徐々に
潰れる砂城

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To Heaven

To Heaven

絶望と悲痛の涙があの世では

喜びと歓喜の涙に昇華する様に、

無力に折れた君の若い翼があの世では

まぶしいほど燦爛で華やかに広げられて

ゆうゆうと青空を飛ぶ様に、

ぼやけて散らばってしまった君の残像があの世では

輝く微笑が美しい

青年に生まれ変わる様に、

いつか花の香溢れる青い草地で

元気な抱擁とひとしきり大笑いで

会える様に、

会える様に、

<ある日いきなり去った君へ>

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バイヨンの微笑

バイヨンの微笑

作られたのだ。

自分の顔を見上げた人々は仏様と言うのだ。
王国の王様の顔だとも言うのだ。

自分の顔を見上げて

心が寛ぐ者もいるのだ。

恐怖を感じる者もいるのだ。       

自分は知っているのだ。
そう。

自分の顔は君の「良心」なのだ。

罪ある者は恐怖を感じる。

ところが、

王国の未来、幼い子供たち…

そして、貧しい百姓たちは

くたびれた現実の中で

自分の顔を見上げるだけ

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Nagano,1998

Nagano,1998

「ジャンプしました!!!」

何度も叫ばせたあの熱い夜
あるいは誰かの歓喜の涙で、
あるいは誰かの挫折の涙で、
ごっちゃになったあの年冬の熱かった夜

アルプスの熊も
白馬岳のミミズクも
深い山麓の神様も
歓呼の中に埋められて
まんじりともせずに真っ白で夜を明かす
あの冬のあの夜

今は静かに眠って
ひらひらとほのかに暗い残像だけ残って
お星様が溢れる様な夏日の思い出
色の褪せた写真の中のおぼろげ

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香(お別れ)

香(お別れ)

熱く盛り上がったあの時の熱情も
甘くてほろ苦いこの世界への未練も
後にして
もう下ろす。

苦労した長い旅程を終えて
くたびれた重い体は一握り灰になり、
無常の香炉にモクモクと落ちる。

世の中で流した涙…
羽のように軽く飛び上がり、
濃い香りになり
無念の空にユラユラと気化する。

喜怒哀楽を共にした
残された者のむせぶの間を
ぐるぐる回って無言の惜別を語る。

「もう、時間よ…」

万物の道に

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