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2021年7月の記事一覧

力

あふれる
みなぎる
いのちというもの
ここでは
気持ちがいいほど
人間は脇役へと押しやられ
かといって
誰が主役というわけでもない
音に満ちて
躍動が充満するみずくうきひかりかげいし
わたしも
あなたも
なんてちっぽけで
わたしは
あなたは
躍動が充満するみずくうきひかりかげいし

すべての色が濃くて
すべての音が心に響く
それは共鳴ということば
しかしことばはいしを持たず
自我のないあなたや

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静けさ

静けさ

静けさが欲しい
ここは煩すぎるから
もうこれ以上
多くを語らないようにしよう
みんなが喋ってもだんまりだった私
それでよかった
人が必要としている時だけ
喋ればいい
話せることが嬉しくて
つい喋りすぎてしまうけれど
もう喋らなくていい
沈黙を共有できるふたりでいい
おしゃべりな猫と住む
無口な人でいよう
心にぴんと水を張って
その水面の揺らぎに耳を澄ませて生きよう
家には静けさを溜めて
いつでも帰

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幼な子

三つ、四つくらいの
幼な子が
道の真ん中で
母の背中に
泣いている

張り裂けんばかりの
大声は
もっともっと
より大きくと
それだけを精一杯
いっしんに
他のことは一切
頭になく
ただただ
もっと大きくと

少し成長した体で
力の限り泣く声は
いじらしい心とは裏腹に
けたたましく

母は
背を向けて
振り返らずに
向こうへ歩いて行く

大きな声で泣けばそれだけ
助けてくれた
ひとりでは何もできな

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7月7日

7月7日

涙の季節にあなたと出会い
以来7月7日は止んでいた
それまで必ず降っていた雨さえ

前日まで晴れていても
必ずその日は雨だった
会いたい人に会えない涙が
空から溢れていた

あなた
わたしの
何もかも変えた
わたしの涙声
悲しかったのに
いつもひとりだったのに
いまわたし、笑ってるみたい

今朝、起きたら
窓の外、雨が降りしきって
あなたとの約束を思った
一年で一日だけ
降らないでと願う日に

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