三山 優

読む人の心の奥に触れる文章を紡げる人でありたい。言葉の意味、言葉の由来を辿れる書き手で…

三山 優

読む人の心の奥に触れる文章を紡げる人でありたい。言葉の意味、言葉の由来を辿れる書き手でありたい。

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    自作の恋愛小説です。 短いものを載せていこうと思います。 読んでいただければ嬉しいです。

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    心に残る日の日記です。

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いのちの旅

いのちは旅 わたしは いつのまにか もう帰りがけだ 行きか帰りか 見分ける方法は 知らないか 知っているかだ 行きの道中は 知りたいと切に願う けれど知ってしまえば それはすでに帰り道なのだ それを求めてこの世に出でて 持って帰るところなのだ なにが待っているだろうと 胸をときめかせたのは 昔のことで 今はそれを胸に携えて 残りの道を帰るのみ 2024.05.09

    • あの頃

      あの日 すべては あなただった 真っ青な空も 緑に鳴く葉も 口ずさむ歌も 風に揺れるつめ草も わたしのいた世界 すべてが あなたで わたしですら 生きる そのうつくしさは いつ 光るのだろう わたしはやがて わたしでなくなり あなたでなくなり 生きる意味を知った今よりも 知らなかったあの頃 すべては 光り輝き 目に映るすべてが 芳しく 耳に聴こえるすべてが なめらかだった あの頃 それを子ども時代と言うなら 子どもは きっと何よりも あの頃 うつくしさとは わたしにとっ

      • きらきら

        き、ら、き、ら 夜空 に かがやく お星さま や 陽 を 浴びて さざめく 波 き、ら、き、ら 新しく 買った カメラ の まわりに き、ら、き、ら、き、ら でも ほんとうの それは じかん 目 に 見えない 時計 で 測れない いま や そのとき や あのとき が いつも き、ら、き、ら いつまでも き、ら、き、ら、き、ら あなた と あのひと と 笑顔 と こえ と 星 よりも 波 よりも 新しいカメラ よりも 光 よりも あかるい いちどきり の えいえん の き、ら、

        • 友情

          男の子は友達に 「悪いなぁ」なんて 思わない 仮に社交辞令で言ったとしても。 なぜなら 「悪いなぁ」なんて 遠慮するような間柄なら 友達にはならない そして遠慮するようなことなら しないしさせない それは、どちらかの 立場が上とか下とか そういうのは友情じゃないと思うから 対等でなければ 友情はありえないと思うから 女の子は友達に 「悪いなぁ」って思う 社交辞令で言う言葉にも 気持ちが込もっていたりする それは、相手の気持ちを慮って 気を遣うことが優しさだと思うから 「悪い

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        記事

          知性

          意地悪をしたり 性格が悪い人というのは だいたい自分で何も考えていない 自分でちゃんと考えたことを 挑戦して 失敗して 責任をとって 反省して 時に人に助けられて 何かを成し遂げて 油断して また失敗して 立ち上がって また挑戦して それを繰り返していると 見えてくるものがある 人の美しさ 世界の美しさ 醜い心は己を滅ぼすということ 周りを見てばかりで 判断を世の中や他者に委ねて 嫌なことがあったら悪口や文句を言って 自分でなんの責任もとらない そんな生き方をしているか

          変(ショートショート小説)

           わたし、みためふつう。  けどなかみ、ふつうじゃない。  初対面の人とか、親しみやすいねってよく言われる。年上の男の人には舐められる。なんで男の人って「女の子」にマウンティングしたがるんだろう。男女平等って言われてるけど、おじさんたちにとって女の子はまだ「蚊帳の外」で、その「蚊帳」の中に普通に入ろうとする女の子は「生意気」って言われる。同じ人間なのに。こっちはちゃんと話を聞いてるんだから、自分の意見を言うのに、年上も年下も、男も女も生意気もへったくれもないと思う。と、こうい

          変(ショートショート小説)

          孤独

          自分が偉いと思っている人は孤独だ なにも見ようとせず なにも聞こうとしないのだから 人間が偉いと思っている人は孤独だ 葉に隠れた虫も 木陰で囁く鳥の声も その心には届かないのだから 孤独とは自分のことだ 自分の心のことだ 自分を自分の神にした時 世界から神が消える けれど土の上に立ち 天から降り注ぐ雨に 光に すべてのものに 手を合わせ それぞれの そしてひとつの いのちという知性を見た時 自分が小さくなり 孤独も、一緒に小さくなる 2024.04.29

          褒め言葉

          若いころは 可愛くなりたかった 鏡の前で 自分の容姿に不満を持って 悩んだりすることもしょっちゅうだった あのころ 誰かが 可愛くならなくていい 美しくならなくてもいい ただあなたの身体に合う服を着て あなたの心に合う生き方をして 魅力的な女性になりなさい そう言われていたら なにか変わっていただろうか 「可愛い」という言葉は 価値観を他人や世の中に委ねているような気がするし 「美しい」という言葉は 定義が曖昧な気がする だけど「魅力的な」 という言葉には 「あなたの魅力を活

          褒め言葉

          氷が溶けるまで

          自分が正しいと思うことは わがままなのだと 近ごろ気づきつつある 人は間違える 進むべき道を間違えたり 間違った考えを持つ その時はわからなくても いつか ずっとあとで 冷たい氷が溶けるように ほんとうのことがわかるものだ それがその人にとっての真実で 他の誰かと同じとは限らない 大切なことは 思いやること 否定しないこと 誰かを嫌いになってもいい 相手を否定しなければ 自分を否定しなければ そしていつか 相手を許せたら もっと幸せだろう でもまだ氷が固く冷たいままなら 一度

          氷が溶けるまで

          夢を見た わたしが死ぬ夢だった それは突然で 死は、少し痛かったけれど それどころじゃなくて いろんな色をした 大きく激しい波のようなものに 飲まれていく そんな感じで 気がついたら 魂だけで 道の上にいた 大切な人たちのいる家へ帰り わたしはもう死んだのだと 最後の挨拶を告げるとき もう、みんなと一緒に生きられないことが 淋しくて、淋しくて 大声で泣いた そこで目が覚めた 命が突然終わることは 生き残った人にも 本人にとっても淋しくて もっとみんなと一緒に生きたかった その

          奇跡

          それでも 今日が人生最後の日だとしたら すべての人に感謝をすると思うのだ あなたに出逢えてよかった あなたがわたしの人生のよろこびだったと わたしの人生は 幸福だったと わたしがなぜ生きているのか あなたとなぜ出逢えたのか 問うことは忘れて けれど その存在に この世界の謎に わたしは ちっぽけになって ちいさなありがとう それだけ けれどいっぱいの この世界いっぱいの かなしみ いかり なぜここにあるのか よろこびを しっているのに あなたのかなしみは あなただけのもの

          悲しみ

          悪いこともしていないのに疑われたり ほんの少しでも敵意を向けられたりすると この関係はもう終わったなと思う あの、出会ったばかりの 疑いも敵意もなかった まっさらな友情は もう終わって、二度と帰っては来ないのだと その友情を大切にしていたから その分だけ悲しくなる 人間には、必ず悪いところはある そう考えることは大切なことだ 人間は完璧だと勘違いすると 少しのミスも許さないブラック企業のように 許し、認め合い、高めあうことができなくなる けれど大切な人には疑いや敵意は向けない

          さらぴんの世界

          あの世に持っていけないもの たくさんあるけれど 死んでみて 一番持っていきたかったものはと尋ねられたら 目と耳、鼻と口だと答えるだろうな できたての さらぴんの目と さらぴんの耳と さらぴんの鼻と口で 生まれたてのあかちゃんは さらぴんの空を さらぴんの風を さらぴんの海と大地を 受け入れることができること 器があること それがとってもうれしくて 笑うんだろうな 2024.04.26 ※さらぴんとは、関西弁で新品、まっさらのことです。

          さらぴんの世界

          アイスに教えてもらったこと

          いのちはね この世界の誰かを助けるために やってくるんだよ 猫のアイスは わたしを助けるために やってきた 傲慢かもしれないけれど そう思うんだ アイスがやってきて わたしはほんとうに救われたから わたしがしてあげられることなんて なんにもなくて アイスがいるだけで わたしはしあわせなのに わたしも誰かを 助けるために この世界に生まれたんだろうか そしてわたしは その誰かを 助けることができたんだろうか 誰かをしあわせにして 誰かにしあわせにしてもらうこと それがこの世界に

          アイスに教えてもらったこと

          絵本

          若いころ 友達への誕生日プレゼントに 絵本を描こうとした 幼き日の友達が 塔を登っていく 扉を開けるたびに ひとつ歳を重ねていく 塔のてっぺんで 彼女はなにに出逢ったのだったか あれは友達のことであり 誰かのことであり わたしのことでもあったように思う 扉を開くたび 新しい自分に出逢い 新しいことに挑戦するたび 見たことのない自分を発見する 今日を頑張るわたしは 昨日のわたしとは違う顔だ 扉をたたいて Hello! そうして わたしも彼女も塔を上っていく 2024.04.2

          近所のおじさん

          5時とか6時とかに起きて 空気がおいしいから 散歩でもしようと外に出ると いつもおじさんが徘徊している 夜が明けるか明けないかのころ 髪は白髪でボサボサで 着ているものもボロボロで 足を少し引きずって しかめっ面で ゆっくり、ゆっくり 近所をぐるぐる歩いている はじめは怖かった いや、結構長い間怖がっていた おじさんが片手にゴミバサミを もう片手にビニール袋を持っていることはわかっていたけれど それよりも怖くて ただただ警戒していた けれど最近のこと ふと、あのおじさんはゴミ

          近所のおじさん