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恐ろしくも美しい愛の物語:映画『ドラキュラ』石岡瑛子の衣装がキャラを引き立てる

  アンソニー・ホプキンスが本年のアカデミー賞で主演男優賞を獲得したことを知り、彼の作品を改めて観たいという衝動にかられ、映画『ドラキュラ』を鑑賞しました。本作は1897年、アイルランド人作家のブラム・ストーカーの同名の小説を基に作られた1992年の作品です。監督は『ゴットファーザーシリーズ』のフランシス・コッポラ、主演のドラキュラをゲイリー・オールドマン、ヒロインにウィノナ・ライダー、ドラキュラの宿敵をアンソニー・ホプキンスが演じております。そして昨年、回顧展が行われた石岡瑛子が衣装を担当し、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しています。『石岡瑛子展』内に数点、本作の衣装があったのを見かけか方も多いのではないでしょうか。

【恐怖に留めない映像美:エロスとタナトスを感じる】

 映画『ドラキュラ』の魅力は、小説に則して進む物語をその映像美で魅了してくれる点だと思います。ドラキュラが忍び寄るシーンでは彼の影が奇妙さと不気味さを演出し、見る者の背筋を凍らせます。加えて、そのような不気味さをその域に留めるだけでなく、エロスやタナトスを想起させるような動きで魅せるのがとても美しいのです。(下の画像はその好例!)

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 そしてこれら映像美を引き立てるのが、石岡瑛子が担当した衣装です。冒頭のドラキュラが羽織っている赤いローブは、白髪の青白い肌の老人に高貴な雰囲気を残しながらも、不気味さを付け加えています。物語が進むとドラキュラは若返った姿になりますが、その時の装いは伯爵の名にふさわしい洗練された紳士であり、良い男の匂いがぷんぷんします。

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 終盤には、まるでクリムト絵画のような煌びやかで神々しい衣装を身につけ、不死の怪物の永遠性を高めているように見受けられます。

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 聖戦の騎士であったドラキュラにはさまざまな側面がある事を衣装を通して教えてくれますね。

 まだ観ていない方にはぜひ映画を観ていただきたいので、今回はここまでにします。石岡瑛子展で魅了された方は必見ですよ。

 ホプキンスに惹かれて見た結果、石岡瑛子とゲイリー・オールドマンに喰われてしまった僕。もちろんホプキンスの演技も良かったですよ。ちなみに、アンソニー・ホプキンスの最新作はこんな感じ。最近、自分の家族とも通じるところがありそうな作品なので始まったら観にいこうっと。


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