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「イスラエル、コロナ第2波、世界で最も深刻」(朝日新聞), ならば最も深刻なのはパレスチナだ 〜 朝日新聞は ユヴァル・ノア・ハラリにでも改めて尋ねてみたらどうかね?

どこまでも「権威」の前に弱い朝日新聞。安倍政権やアメリカ合州国のトランプ大統領のような、誰でも容易に批判できる相手に対しては(記事の上では)饒舌だが、ユヴァル・ノア・ハラリやボブ・ディランのような「権威」を前にすると、からっきし駄目、腑抜けで腰抜けで意気地無しの「ジャーナリズム」もどきに陥る朝日新聞。

今日配信された朝日新聞の記事によれば、「イスラエルが再び都市封鎖へ 第2波、世界で最も深刻」。

そうであれば、さらに「最も深刻」な状況に置かれているのは、イスラエルが 1967年以来、半世紀以上にわたり複数の国連安保理決議に違反しながら違法占領を続ける東エルサレム・ヨルダン川西岸地区(しかもイスラエルはさらに国際法違反となる占領地への入植地建設を続けている)およびイスラエルが居住民の人権と生存権を無視して軍事封鎖を続けているガザ地区、つまりはイスラエルの長年の違法占領と軍事封鎖のために医療環境が極めて脆弱なものとなっているパレスチナ人たちであるのは、火を見るよりも明らか。

とりわけイスラエルの封鎖政策で物資の搬入が滞り、さらにイスラエルによる度重なる空爆の結果・影響も相俟って、病院における医療・治療の為の設備等の多くが機能不全に陥っているガザ地区(そもそも電気・水道などのインフラも極めて脆弱となり、現在も1日のうち停電している時間の方が長いと言えるほどの状況)に住むパレスチナ人の環境は言うまでもなく深刻だが、以下に紹介する国連人道問題調整事務所(OCHA)の声明にもある通り、イスラエルによって家屋を含むパレスチナ人の施設・建物が破壊され続けている東エルサレム・ヨルダン川西岸地区に住むパレスチナ人の環境も、極めて深刻である。

朝日新聞は、貴紙がリスペクトし、つまり尊敬・敬愛してやまないかのように見える、そしてジャーナリスト・ジャーナリズムにあるべき批判精神を一切発揮できない対象であるかに見える、イスラエル生まれ・イスラエル在住の世界的に著名な知識人、「知の巨匠」「知の巨人」ユヴァル・ノア・ハラリ氏にでも、この件について、改めて尋ねてみたらどうかね?

母国イスラエルや(イスラエルの唯一「無比」・唯一無二の同盟国である)アメリカ合州国(以下、アメリカ)の外交上の「敵性国家」であるイランの人々の新型コロナウイルスとの闘いを支援することは、イスラエルやアメリカの人々を新型コロナウイルスとの闘いにおいて助けることにも繋がると、至極真っ当でご立派な主張をしながら、母国イスラエルの人々の「隣人」であるパレスチナの人々、つまりイスラエルが複数の国連安保理決議に違反しながら半世紀以上にわたって違法占領を続けるパレスチナ(東エルサレム・ヨルダン川西岸地区およびガザ地区、ガザ地区は現在イスラエルによる軍事封鎖中)、そこに住むパレスチナ人たちの新型コロナウイルスとの闘いには全く言及しない「知の巨匠」「知の巨人」、ユヴァル・ノア・ハラリに。

朝日新聞の記事から (2点)

1点目: 本日、2020年9月14日、午前10時04分配信(「無料会員」「有料会員」のいずれでもない場合は記事前段まで。「無料会員」であれば全文読める)

2点目: 2020年4月15日、午前10時00分配信(これは「有料会員」記事、残り 4554文字/全文 5305文字)

朝日新聞のユヴァル・ノア・ハラリ「人類と新型コロナウイルスとの闘い論考」関連、「知の巨匠」「知の巨人」とやらの権威を前にして、何の批判精神も発揮できない おべんちゃら記事の一例。

ユヴァル・ノア・ハラリ「人類と新型コロナウイルスとの闘い」論

母国イスラエルや(イスラエルの唯一「無比」・唯一無二の同盟国である)アメリカの外交上の「敵性国家」であるイランの人々の新型コロナウイルスとの闘いを支援することは、イスラエルやアメリカの人々を新型コロナウイルスとの闘いにおいて助けることにも繋がると主張するユヴァル・ノア・ハラリ。

そんなウイルスのパンデミックの脅威を踏まえるなら当然の論理を持ち出しながら、イスラエル生まれ・イスラエル在住の知識人がその文脈で「人類と新型コロナウイルスとの闘い」の要諦を語るならまずは真っ先に触れられるのが自然な展開であるはずのパレスチナの人々の新型コロナウイルスとの闘いには、一切触れないユヴァル・ノア・ハラリ。

母国イスラエルの人々の「隣人」であるパレスチナの人々、つまりイスラエルが複数の国連安保理決議に違反しながら半世紀以上にわたって違法占領を続けるパレスチナ(東エルサレム・ヨルダン川西岸地区およびガザ地区、ガザ地区は現在イスラエルによる軍事封鎖中)の人々の新型コロナウイルスとの闘いには全く言及しない、「知の巨匠」「知の巨人」、ユヴァル・ノア・ハラリ。

イスラエルの「敵性国家」であるイランの人々に言及して、一見、論理だけでなく倫理も貫いたかに見せながら、その文脈、コンテクストにおいてイスラエル生まれ・イスラエル在住のイスラエル人の知識人が触れなければおかしい、触れることが自然であるはずの「隣人」パレスチナの人々、イスラエルが違法占領を、あるいは軍事封鎖を続けるパレスチナの人々には、全く言及しない、つまりは論理と倫理において決定的な欠落のある論考を発表した「知の巨匠」「知の巨人」、ユヴァル・ノア・ハラリ。

"In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership" (TIME, March 15, 2020, 6:00 AM EDT: Eastern Daylight Time)

以下は上記リンク先 英文記事の日本語訳

国連の開発及び人道問題調整官による、占領地パレスチナ・ヨルダン川西岸地区における(イスラエルによる)パレスチナ人の家屋等破壊に関する緊急声明

"Unlawful demolitions in the West Bank spike during COVID-19 (outbreak)"
(Statement by UN Development & Humanitarian Coordinator in Palestine, Jamie McGoldrick, posted on September 10, 2020)

以下は、同日、YouTube 上のアカウント OCHAoPt (United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs, occupied Palestinian Territory: 国連人道問題調整事務所の占領地パレスチナ = つまり1967年以来半世紀以上にわたってイスラエルが複数の国連安保理決議に違反しながら違法占領を続ける東エルサレムとヨルダン川西岸地区、及び現在イスラエルが居住民であるパレスチナ人の人権と生存権を無視して軍事封鎖を続けているガザ地区 = を担当する部門)により、Post された、"Humanitarian Coordinator Jamie McGoldrick on the West Bank demolition spike during COVID-19" (Statement by Humanitarian Coordinator for the occupied Palestinian territory Jamie McGoldrick on the spike in unlawful demolitions in the West Bank during COVID-19, 10 September 2020)と題するヴィデオで、彼の Statement の一部(英語字幕付き)。

"spike" は surge と同意で、ここではイスラエルによるパレスチナ人の家屋等の破壊に関しその件数の急上昇、急増といった意味で、FULL STATEMENT はこのヴィデオの下部に記すリンク先にある。

Twitter 上では
https://twitter.com/jamiemcgoldric8/status/1304084422065623040

Facebook 上 では以下リンク先。

国連人道問題調整事務所 (UN OCHA):占領地パレスチナ部門のウェブサイト上にある FULL STATEMENT は、以下のリンク先。

https://www.ochaopt.org/content/unlawful-demolitions-west-bank-spike-during-covid-19

国連人道問題調整事務所 (UN OCHA) の占領地パレスチナにおける新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態レポート

COVID-19 Emergency Situation Report 17 (29 August – 8 September 2020) とのタイトルで、9月8日に Post されたもの。

https://www.ochaopt.org/content/covid-19-emergency-situation-report-17

Facebook においては以下のリンク先(詳細についてはこの Facebook post にもある通り、上に掲載したリンク先の United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs: Occupied Palestinian Territory のウェブサイトを参照)。

ユヴァル・ノア・ハラリ「人類と新型コロナウイルスとの闘い」論批判 〜 ユヴァル・ノア・ハラリと彼の礼賛者たちが見ないもの、あるいは見ようとしないもの

以下は、本年3月30日、4月22日、および 9月10日付の筆者の note 投稿

ユヴァル・ノア・ハラリと彼を礼賛する人たち が見ないもの、あるいは見ようとしないもの (2020年9月10日付)

・ナタリー・ポートマン と ユヴァル・ノア・ハラリ の相似と相違
・「知の巨人」ユヴァル・ノア・ハラリの「人類と新型コロナウイルスとの闘い」論に容易に見て取れる、「知の怠慢」

・国際連合人道問題調整事務所 (UN OCHA) の占領地パレスチナ (Occupied Palestinian Territory) における新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態レポート
・パレスチナ人 および イスラエルの占領政策に反対するユダヤ系アメリカ人のメディアによるレポート

・イスラエルの建国 (1948年) 以来、イスラエルに土地を奪われ続けるパレスチナ人たち

・2003年 3月30日(日) アメリカのダブル・スタンダード(イスラエルとイラク)
・2004年 2月21日(土) イスラエル、国連安保理決議242、338、総会決議、ICJ

・関連投稿
・ユヴァル・ノア・ハラリ「人類と新型コロナウイルスとの闘い」論考批判 (過去の投稿, 2つ)

付録: 「権威」を前にするとからっきし意気地が無くなり、腰抜け・腑抜けになる朝日新聞 〜 Case Study: "living legend" Bob Dylan 

おまけ。


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