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私の周りの霊感少女達の話

母親は霊感が強い方だったらしい。
結婚して妊娠して出産して落ち着いたらしいが
私は霊感を受け継がずに生まれたようだ。

怖がりな私としてはありがたかった。

幽霊を見たことはないが
幽霊を信じて恐れていたのだ。

 
 
昔から、お化け屋敷が嫌いだった。
偽物だと分かってからも
本物を呼び寄せそうで怖かった。
本物の幽霊が偽物に仲間意識を抱いたり
偽物を作って娯楽にしている人間に怒りを感じそうで怖かった。

 
夜やたらと出歩くことも好まない。
幽霊が出そうな夜にいちいち出掛けるものじゃない。

心霊スポットを巡る人の気がしれない。
取り憑かれる恐れをなんとも思わないなんて
私からしたら大物か愚か者でしかない。

 
 
霊感がない私だが
人生で二回だけ、ゾクッとした場所がある。

自殺の名所の崖と谷中霊園である。

自殺の名所はたまたま観光ルートに含まれていて
自殺の名所を見に行ったのではなく
見晴らしの良い崖を見に行ったら
そこは自殺の名所でもあるとあとから説明を受けたのだ。
小学生の頃だし、家族旅行だ。
前もって知っていたならともかく
後から知らされた上に家族旅行では避けようがない。

私は悪寒を感じた。
ここにいてはいけない、という気を感じて気持ち悪くなった。
多分様々な魂が集まっていたのだと思う。

  
遠足で滝を見に行った際、そこも自殺の名所と聞いたが
そちらでは具合が悪くならなかった。
だから「自殺の名所」に反応して、私がメンタル面から勝手に具合が悪くなったわけではないと思う。

 
 
谷中霊園にしてもそうだ。

霊園は何回も行ったことがあったし、谷中霊園自体も何回か行ったが
具合が悪くなったのは一回だけだった。

見えない何かに私は影響を受けているのだと思った。
いい霊か悪い霊かは分からないけど
勘弁してほしい。

 
京都に修学旅行に行った際
そして仙台城に伊達政宗像を見に行った際
写真を撮ったら光の玉が写った。

心霊写真かホコリか分かりにくいが
よりによって京都と仙台城の写真だけ光の玉が写るのだから
幻想的だけど、怖さを感じた。
戦があった場所だと思うと
光の玉の写真はおそらく心霊写真だと思う。
ピンポイントで、そこで撮った写真だけ
光の玉がやたら写っているのだから。

 
 
 
私が30年弱生きても心霊体験はこれくらいしかないが
私の周りには霊感が強い人が四人いた。

 
友達A、友達B、元彼、同僚である。

 
友達Aは長電話をしている時やCDを聴いている時によく奇声や奇妙な声が聞こえるらしく

「今、ともか何か言った?」

と、いつも私を怯えさせた。
私は怖がりだと言っているのだから、23時過ぎの電話中に余計なことは一切言わないでいただきたい。
…と言っているにも関わらず
真面目なAはいちいち妙な声が聞こえたら逐一私に報告した。
Aのことは好きだったが、奇声報告に関しては嫌いだった。

 
電話を切った後に暗い中トイレに行くのが恐ろしかった。

 
Aと旅行に行った際、Aは派手に具合が悪くなった。
日光東照宮で具合が悪くなったのである。
やはり様々な気や魂が集まるのかもしれない。

私ともう一人の友達は霊感がなかったので何も感じなかった。

 
Aは霊が見えたり、霊の声が聞こえたり、気配を感じるタイプだが
私と同じく、だからといって強いわけではなく
霊が集まりそうな場所やお化け屋敷なんかを避けるタイプだった。

よく聞こえたり、見えるからといって
慣れるわけではないと知った。

 
 
 
その後出会った友達Bと元彼、同僚は逆のタイプだった。

様々なものが見えたり感じたりするから
霊が身近であり、ケロッとしているのだ。
それは彼等が見た霊が悪霊ではないからかもしれない。

 
元彼は仕事の関係で葬儀場に行くことが多い方だったが
焼香の際
または人が亡くなって早々に家に行くと
よく亡くなった人の足が透けて見えると言っていた。

亡くなった人は悲しむみんなのそばに立っていて、見守っていると言っていた。

だから元彼はその透けている足や亡くなった人の気配の方に念じたり
声をかけて
安らかに眠るように努めていたそうだ。

 
 
同僚は人だけでなく、亡くなった犬の姿が見えると言っていた。

見慣れているからか、怯えた様子はない。
実にサラッと伝えてきた。
同僚が見える霊も害意がないらしいし
身近な人や動物だけでなく 
見知らぬ人や動物も
何かしらを訴えるべく立っているらしかった。

 
 
 
友達Bとは付き合いが15年と長かったが、霊感がある話を聞いたのは、なんと去年である。
話の流れから、霊の話になった。

「私は霊感が強い方でさ、感じるんだよね。」

友達はサラッと言う。
友達は人の死期が分かるタイプらしい。

 
 
身近な家族や親戚がまだ生きていた頃
急に手や肩が熱くなる感覚に陥るらしい。

「今、私の手に触れているのは●●さんだ。」

姿は見えなくても
体温?気の感じ?で、誰の熱さか分かるらしい。
そのあたたかさに不快感はなく
穏やかな不思議な感覚なのだという。

 
スッと熱さがなくなった瞬間に電話が鳴り
訃報だったことが複数回あるらしい。
亡くなる前に会いに来たのだろうと彼女は言っていた。

 
亡くなる前や亡くなった後に夢の中に出てきて
メッセージを伝えることもあるらしいし
やはり葬儀場や亡くなった人の家でうっすらと見えることもあるらしい。

 
元彼と同じタイプだ…!

 
と、私は思った。

 
友達Aや同僚が様々な他人の霊や気配を強めに感じるタイプなら
元彼や友達Bは身近な人の霊や気配を強めに感じるタイプらしかった。

同じ霊感があるでも
人によって様々だと思った。

 
 
友達Aや同僚が見えたり感じる霊は
パワーが強かったり、害意がある場合もあるようだから怖かったが
友達Bや元彼の見える霊は
守護霊に近いというか
生きている人を見守る優しい印象が強かった。

 
 
友達Bや元彼が話す霊の話は
怖がりな私が聞いてもちっとも怖くなかった。
Bや元彼が彼等の魂や気配を肯定し
良い気として感じているのも大きい。

 
Bや元彼はサラッと言う。
霊を見慣れている彼等にとって、霊は特別な存在ではなく
共存関係だったり
メッセンジャーに近い存在だった。
生き残る人達が悲しみにくれないようにと
Bや元彼にメッセージや力を送っているように感じた。

 
幽霊は怖いけど
そういった見え方なら悪くないかもしれない。

 
私はBや元彼の話を聞き
霊感がある人への見方が変わった。
霊感がある人は辛い思いや怖い思いをしている印象が強かった。

身近で一番霊感が強いのが友達Aであり
長年怖い話ばかり聞かされていたのも要因の一つではあった。

 
霊感がある人や霊が見える人でも、見え方や感じ方は様々で
霊感が強いことは悪いこととは限らない。

そんな風に私は感じるようになった。

 
 
 
 
 
父方の祖母が亡くなって数年後、私は祖母の夢を初めて見た。

「お花をたくさん飾って。」

祖母は夢の中で私にそう言った。
亡くなる時は心身弱っていたし、管もつながっていたのに
夢の中では元気な頃の祖母だった。

家族みんなで川原を歩き、桜を見た夢だった。

 
「おばあちゃんの周りにも花をたくさん飾ってね。」

 
祖母は夢の中で笑っていた。

 
ハッと目を覚ました時、私は泣いていた。

 
大好きだったおばあちゃん。
まさか亡くなってから数年後に夢を見て、頼みごとをされるとは思わなかった。

 
 
 
私が夢を見た頃、なんと姉も祖母の夢を見ていた。
姉が祖母の夢を見ることも数年ぶりだ。

 
姉は夢の中で祖母に「お酒を用意して。」と頼まれたらしい。

 
私と姉は両親に夢の話をして、お花やお酒を用意するように頼んだ。

私と姉が夢を見た時、祖母の命日が近かった。

両親の元には出ないで
私や姉の夢に出てくるとは不思議なことだった。

 
 
 
 
 
姉は去年、母方の祖母の夢も見た。
母方の祖母は夢の中で悲しそうに泣いていたらしい。
一人きりで寂しそうだったそうだ。

  
墓参りに行きたくとも 
母方の実家は遠方で
コロナ禍になってから帰省はできないままだった。

 
今、お墓が荒れているのだろうか。
何かあったのだろうか。

 
夢を見た姉は動揺していた。
親戚に電話して様子を確認するように母に訴えていた。

私は今回は母方の祖母の夢は見なかった。
 
 
   
 
この夢は霊感が関わっているかは分からない。

ただ、祖母の夢は滅多に見ないから
見ると何らかのメッセージのように強く感じてしまう。






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