浦和レッズからレンタル移籍中の若武者たちの動向(3月第1週) | 浦和レッズサポ日記 #7
2021年からアメリカ留学中(NY在住)のトップです。
J1リーグ・J2リーグは第3節を終え(祝!勝利!)、J3リーグも開幕を迎えました。浦和レッズから期限付き移籍中の若手選手たちの動向をお届けするシリーズの第3週目となります。
なお、今シーズン、浦和レッズから期限付き移籍中の選手は、8名いますが、松尾佑介とキャスパー・ユンカーは、武者修行とは少し毛色が違いますので、彼ら以外の6名にここではフォーカスしています。
宮本 優太 (ベルギー2部 KMSK Deinze)
流通経済大学から浦和レッズに入団して2年目の今季、ベルギー2部 KMSK Deinzeに期限付き移籍中を選んだ宮本優太ですが、チームはレギュラーシーズンで上位6チームに入れなかったので、降格プレーオフを戦っています。
2月25日に行われた降格プレーオフの初戦Jong Genk戦で初めてベンチ入りを果たすも出場機会がなかった宮本ですが、3月5日に行われた降格プレーオフ第2戦Royal Excelsior Virton戦ではまたもベンチ外となってしまいました。
現在の序列は、右SBの一番手が Gonzalo Almenara、二番手がJur Schryvers、三番手が宮本といった状況のようですが、チームからはGonzalo Almenaraがハムストリングスの故障で数週間離脱予定と公表されています。
Gonzalo Almenaraの怪我自体は不幸なことですが、宮本にとっては試合に出てアピールする格好のチャンスなので、是非頑張って欲しいです。
実際、チームから3月10日(土)4:00(日本時間)のDender EH戦の遠征メンバーが公表されており、宮本も遠征メンバー19人に入っています(通常は、GK1人以外の18人がベンチ入り)。おそらくベンチ入りはできると思いますので、何とか出場機会を得てアピールをしてもらいたいところです。
武田 英寿 (J2 水戸ホーリーホック)
青森山田高校から浦和レッズに入団して4年目の今季、J2 水戸ホーリーホックでの武者修行(育成型期限付き移籍)を選んだ武田英寿ですが、前節に引き続き、3月5日に行われたJ2第3節 vs ファジアーノ岡山戦(Home)でスタメン出場し、水戸での初得点をあげた後、83分に途中交代で退きました。
武田英寿は4-4-2の右サイドハーフで先発。チームとしては、おそらく、前二試合を踏まえて、前線にロングボールを当てた後のセカンドボールが回収できない(中盤フラット気味の4-4-2なので、ボランチと2トップの間が空きがち)という点の改善に取り組んだのが今節だったように思いますが、アプローチの仕方は、前半と後半で大きく異なりました。
前半は、攻撃時に「右SHの武田がインサイドにポジションを取り、右SBの村田航一がワイドに張ること」を徹底するように指示がされていたように感じました。狙いとしては、2トップにロングボールを当てた後のセカンドボールの回収と、それに加えてセカンドボールが回収できなかった場合のネガトラを良いポジショニングからスタートすることにもあったかもしれません。
実際に何度か、インサイドにポジションをとっていた武田がCFからの落としを受けるシーンが作れていました。
前半20分:GKから始まったビルドアップ→CBからトップの20番への縦パス→インサイドにポジションをとっていた武田に落とす→武田から10番を経由して左サイドに展開
また、早めに右SBの19番が高めのポジションをとることで、右SBの19番が単独で、あるいは右SBの19番と右サイドに流れた2トップの一人とのコンビネーションで右サイドの高い位置でタメを作り、武田が落としを貰って左脚でインスイングのクロスというシーンも何度も作れていました。
前半7分:ビルドアップ時にCBから右サイドの高い位置で張っている右SB19番にパス→右サイドに流れたトップの20番に渡す→武田がフリーの状態で落としを貰い、時間的余裕がある中で左脚クロス
他方で、守備時には、前二試合と比べて、横のコンパクトさをより意識しているように感じました。基本的に3ラインで守りますが、片方のサイドにボールでボールを持たれているときには、逆サイドのSH・SBが真ん中くらいまで絞っていました。これは一つには、ボール保持で可変するので、武田と右SBのネガトラ時の移動教理を短くするという狙いがあったかもしれません。
ボール保持でSBがボランチのようなポジションをとる岡山に対して、この守備のやり方は上手くはまったとは言い難く、右サイドの守備は若干混乱しているように見受けられました。
前半3分:水戸のクリアボールを岡山の右CBが拾って左CBに展開→水戸はFWがプレスに行くが、余裕をもって左SHに展開→遠い距離から武田がプレスに行き、いったん左CBに戻す→インサイドに入った左SBとワイドに張る左SHの両方を武田が見る形に→左SHにボールが渡るも、武田とCH8番のどちらも寄せきれず左サイドを運ばれる/左サイドに流れていた9番にも右SB19番と右CB5番のどちらが行くかはっきりせず、岡山9番へのパスから右サイドへの大きなサイドチェンジ
この場面では、岡山の左サイドは2対4で数的不利な状況だったにもかかわらず、水戸の守備がはっきりしなかったため、簡単に逆サイドに展開され(横にコンパクトな水戸の守備を裏返され)数的同数の局面を作り出されていました。
前半42分の失点シーンも、水戸の横にコンパクトな守備の仕方が原因となっていたように思います。失点シーンでは、
岡山の右サイドで深い位置までボールを運ばれて2ラインが低い位置まで下げらる
→右サイドに流れた岡山ボランチ6番に下げて、同じくインサイドから右の方に寄っていった岡山左SB43番に展開
→絞っていた武田がプレスにいくもやや距離が遠く、縦パスを入れられる
→水戸左CBがラインから離れて潰しに行くも岡山FW9番が上手くポストして岡山右SH41番に展開
→①水戸左CBが釣りだされたこと、②水戸のボランチ2枚が岡山の右サイドの方に寄っていたこと、③逆サイドの武田は高い位置の逆サイドで岡山左SBにプレスに行っていたことから、中と逆サイドはがら空き(水戸2枚 vs 岡山3枚の局面)となっており、岡山FW18番がそらしたボールを逆サイドのSH19番が押し込んでゴール
おそらく、SBのボランチ化によって中盤に厚みを持たせてくる岡山に対し、縦横のコンパクトさを保つこと(圧縮)によって中盤で数的同数あるいは数的不利になる状況を防ごうとした狙いがあったと思いますが、逆に上手く利用されていた印象です。
この点が気になったのか、後半からは、ツートップの1枚が降りる形に変更していました。ビルドアップにもボランチの一枚かGKが積極的に参加し、ボランチの一枚が降りる場合には、武田がそのスペースを埋め、ツートップの1枚も中盤のスペースを埋めるという意識が高かったように思います。武田には、基本ポジションを内に取るようにという指示ではなく、機を見て内のポジションを取って右SBがサイドのスペースに出てくる(あるいは右SBが武田を押し出す)という指示が出ていたように感じました。後半の武田の役割は川崎の家長に近かったように思います。
後半58分:ビルドアップ時に水戸GKも参加し、局面で3対2の状況を作り出し、水戸左CB4番がハーフライン付近まで持ち運び→水戸ボランチを経由して降りてきた水戸FW20番に展開→左サイドをドリブルで運び、武田が逆サイドまで流れて岡山の選手を引き付ける→水戸ボランチ10番に落としてクロス
後半66分:左サイドセンターサークル付近からのスローイン→降りてきた水戸FW20番がポスト→インサイドにポジションを取っていた武田に渡す→水戸FW38番にスルーパス(オフサイド)
このような形をとるようになってから、バランスが良くなり、水戸がボールを持つ展開も長くなってきたように思います。武田自身も、サイドでボールを落ち着かせたり、落ちて受けてはたいたり、機を見て中央や逆サイドまで寄って行ったり、とてもやりやすそうに家長ロールをこなしていたように見えました。
例えば、後半50分の得点シーンでは、左サイドにボールがある場面で、右サイドの方から岡山の左SBと左CBのギャップに上手く入ってきたことで得点が生まれました。
自陣左サイドから水戸左SB3番がスローイン
→水戸左SH14番を飛ばして水戸FW20番が競る(このときこぼれの位置には水戸FW9番、中央にはボランチ、武田は中央右寄り)
→水戸FW20番が粘ってヒールで水戸FW9番にスイッチ
→水戸FW9番が相手DFとの地上戦に競り勝ち、中にクロス
→水戸FW20番がニアでスルー
→岡山の左SBと左CBの間に走りこんだ武田が落ち着いゴールに流し込む
家長ロールという武田にとっての正解が見つかり、数字の上でも結果を残した武田ですが、次節は、好調FC町田ゼルビアとの一戦となります。浦和サポ的には一番見たいのは武田と藤原のマッチアップですが、青森山田高校の恩師黒田監督の前で武田が成長した姿を見せられるのかにも注目です。
藤原 優大 (J2 FC町田ゼルビア)
青森山田高校から浦和レッズに入団して3年目の今季、青森山田高校自体の恩師黒田監督が就任したJ2 FC町田ゼルビアでの武者修行(育成型期限付き移籍)を選んだ藤原優大ですが、3月5日に行われたJ2第3節 vs ツエーゲン金沢(Away)では、残念ながらベンチ入りはありませんでした(開幕から三試合連続ベンチ外)。
黒田新監督の下で、開幕から2勝1分けでJ2で第2位と絶好調のため、大幅な選手の変更は考えづらいかもしれませんが、次節は武田英寿のいる水戸戦ですので、是非ともベンチ入り・出場を果たしてもらいたいところです。
なお、3月9日のトレーニングの様子がTwitterで公開されており、藤原優大も元気にトレーニングに取り組む姿を見せてくれています。
工藤 孝太 (J2 藤枝MYFC)
ユースから浦和レッズに昇格して2年目の今季、J3からの昇格組のJ2 藤枝MYFCでの武者修行(育成型期限付き移籍)を選んだ工藤孝太ですが、2月25日に行われたJ2第2節 vs V・ファーレン長崎戦(藤枝総合運動公園サッカー場)では、残念ながらベンチ入りはありませんでした(開幕から三試合連続ベンチ外)。
藤枝MYFCは、2前節は敗れたものの、2勝1敗でJ2で6位と好調ですが、練習から良いパフォーマンスを見せて、まずはベンチ入りを果たしてもらいたいところです。
藤枝MYFCのTwitterでは、トレーニングの様子が公開されていて、工藤孝太も元気な姿を見せてくれています。
木原 励 (J3 AC長野パルセイロ)
京都橘高校から浦和レッズに入団して2年目の今期、J3 AC長野パルセイロでの武者修行(育成型期限付き移籍)を選んだ木原励ですが、3月5日に行われたJ3 開幕戦テゲバジャーロ宮崎とのアウェイでの一戦では、残念ながらベンチ外でした。
チームは開幕戦でツートップの三田・進がそれぞれ1点ずつあげて2-0で勝利しており、大幅な選手の入れ替えは考えにくいですが、はやくチームにフィットして定位置を確保して欲しいものです。
Football Tribeのこちらの記事では、J1からJ3に期限付き移籍した注目選手の一人として取り上げられていますが、「木原の挑戦は必ずしも簡単なものにはならないだろう。今冬多くの選手の入れ替えがあった長野だが、昨季チームトップスコアラーのFW山本大貴はチームに残り、新戦力では昨年愛媛で活躍したFW進昂平も加入。定位置確保は簡単ではないと思われる。」とされています。
福島 竜弥 (JFL 高知ユナイテッドSC)
ユースから浦和レッズに昇格して3年目の今期、JFL 高知ユナイテッドSCでの武者修行(育成型期限付き移籍)を選んだ福島竜弥ですが、JFL 高知ユナイテッドSCの開幕戦は3月19日、ラインメール青森とのホームでの一戦です。
チームは3月5日に徳島ヴォルティスとトレーニングマッチを行いました。得点者のみの公表で、出場選手は明らかにされていませんが、徳島ヴォルティスの公式Twitterで試合の様子がアップされており、福島の姿(27番)も確認できます(流れの中でなのかもしれませんが、最終ラインではなく一列前にいるように見え、ボランチか右ウィングで起用されているのかもしれません)。
いかがでしたでしょうか。普段は、ブロードウェイのことを中心に記事を書いています。励みになりますので、面白かった・参考になったという方は、是非、スキ、コメント、フォローをお願いします!!
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