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お勧めのインド映画 5選

最近家で過ごすようになってから、貪るように見始めた映画の数々。中でもお気に入りは、インド映画だ。コロナ禍であまり外に出ることができなくなってから、どうしてもストレスが溜まるようになってしまった人もいるかと思う。

そんな時、そうしたストレスを和らげる方法の一つとして、やっぱり最後明るく終わる映画というのは有効だと思っている。そして、そんな映画は何かと聞かれると、ハリウッドならぬインドで作成されたインド映画・ボリウッドである。

自粛中は、30作品ほど見た。たぶん、日本で見られるインド映画のほとんどを見たと思う。残念ながら、まだまだ日本における認知度は低くてあまり作品が入ってこないのが悲しいところではあるが、これからインド映画を見ようとしている方、気持ちを上げたいという方に是非ともお勧めの作品ばかりである。

ちなみに以降、ネタバレを含んでいる部分もあり、そこを読みたく無い方はとりあえずタイトルの映画を先に見てみることをお勧めします。。。

勝手におすすめ第5位 マイネームイズハーン

<あらすじ>リズワン・ハーン(シャー・ルク・カーン)は、アスペルガー症候群を持つイスラム教徒。弟ザキールを頼って、サンフランシスコへ来た。化粧品の営業で、美容室を訪れた時、シングルマザーのマンディラ(カージョル)と出会う。マンディラはヒンドゥー教徒だが、2人は宗教を超えて結婚する。その後、結婚した二人には苦難が伴う。

この映画がレンタルされたと同時に見たので、当初見たのはもうかれこれ10年ほど前になるかと思う。その当時、わたしは最後まで見たときになんて素晴らしい映画なんだ!という風に思ったのを覚えている。

今回コロナで家にいるようになって、久しぶりに見てみた。その当時はサダム・フセインだとか9・11事件だとかの影響でイスラム教の人たちはいろんな人たちから非難を浴びているのだ、というくらいにしか考えていなかった。

今回改めてみて、この映画はもっと根が深いのだということを知った。インドとパキスタンの間にある対立から始まり、宗教間の暗黙なるいがみ合い、カーンというイスラム教とならではの性になったことでマンディらの息子は殺された。

前よりもいろんなことを学んだことにより、より映画の世界観がわかった。思想だとか信念だとか、その人が生きてきた中での轍みたいなものだからちょっとやそっとで歩み寄れないとは思うけれど、もう少しお互いを知ることができたらどんなに良いかと思う。

勝手におすすめ第4位 オーム・シャンティ・オーム

<あらすじ>冴えない脇役俳優・オームは大物俳優を夢見て日々を過ごしていた。そんな彼が恋い焦がれるのはは人気女優・シャンティプリヤ。ある日、念願かなってシャンティと撮影を共にした日から、彼女との交流が始まるが、彼女は世間にも秘密にしている事があったのだった。そのことがきっかけで、次々と事件が巻き起こる。

前半部分はドリーミーガールと称されるシャンティプリヤに、駆け出しの俳優であるオーム・プラカーシュが恋をするという展開。ここの部分を見ていた時は、正直展開が遅くてもしや『ムトゥ 踊るマハラジャ』のようなちょっとグダッとした展開になるのかと思いきや、中盤になって、プロデューサのムケーシュに、二人が殺されてしまうところから一気に展開の流れが変わる。ここらへんの流れは本当に見事だ。

その後、オーム・プラカーシュはオーム・カプールとして生まれ変わる。これが『オーム・シャンティ(プリヤ)・オーム』というタイトルに繋がっているのだろうか。生まれ変わってから、ムケーシュに復讐するところまでの展開はまさに圧巻だった。若干中盤に10分近く踊り狂うところはもう少し短くしても良い気がしたが。

最後、シャンティプリヤが亡霊となって現れるシーン。それがまた息を飲むような演出。シャンティプリヤ演じるディーピカー・パードゥコーンはこれが初演とは思えない演技のうまさだった。この時すでに貫禄十分。

勝手におすすめ第3位 きっと、うまくいく

原題は『3 idiots(三人の愚か者たち)』というタイトルなのだが、なんとなく日本語タイトルの方がしっくりいく気がする。

思えば、ちょうどインドに行く前のタイミングでせっかくだからインドの雰囲気をしておきたいと思ったことから見た映画。

普段見る映画の長さからするとすごく長い方で、なんかちょっと途中で飽きそうだなと思ったのが良い意味で裏切られた。このとき初めてひたすらみんなが踊りまくるボリウッドに触れたのだが、劇中本当にずーーっと踊ってるではないか!と半ば呆れながらも、なんか最後には感動させられるオチが待っているというのがなんとも衝撃だった。

メインの三人のうちの一人であるアーミル・カーンがまた良い。学校の学力差問題から始まり、それぞれ人物設定が細かくされていて、最後までいろいろと考えさせられる映画だった。いつかもう少し時間が経った時に、見直したい映画の一つ。

勝手におすすめ第2位 めぐり逢わせのお弁当

<あらすじ>インドで広く利用されている実在の弁当配達システムを題材に、誤配送の弁当がもたらした男女の偶然の出会いと心の触れ合いを描いたドラマ。大都市ムンバイのオフィス街では、昼時にダッバーワーラーと呼ばれる弁当配達人が、慌ただしく複数の弁当箱を配って歩く。ある日、主婦イラが夫の愛情を取り戻すために腕をふるった4段重ねの弁当が、男やもめのサージャンのもとに誤って届けられる。

人は、誰かに認められたり求められたりすることで生きている実感を得るものなのだとこの映画を見ると改めて思った。「間違えた場所でも正しい場所に着く」という言葉はこの映画の中でも何度も出てきて、日々の日常の出来事でどうしても正しいことばかりしているわけではなくて、時には行動の仕方を間違ってしまう。できるだけしないことに越したことはないけれど、その出来事を振り返って軌道修正していけばいいのかな、と感じた。

結局二人は、それぞれの抱える事情や感情の揺れ動きなどもあって直接顔を合わせることがないのだけど、手紙のやり取りから十分その人と人の間における繋がりみたいなものを感じることができた。インド映画らしい踊りは全く皆無だけど、見終わった後に不思議と満たされた感じがあった。

勝手におすすめ第1位 バシュランギおじさんと小さな迷子

<あらすじ>幼い頃から声が出せない障がいを持つシャヒーダーは、パキスタンの小さな村からインドのイスラム寺院に願掛けにやってきた。しかし、その帰り道で母親とはぐれてしまい、1人インドに取り残されてしまう。そんなシャヒーダーが出会ったのは、正直者でお人好しなパワンだった。

宗教の問題で長い間争いが起こっていたインドとパキスタンの間にある問題は根深い。おそらくちょっとやそっとでは解決できないほどに長い歴史があるし、映画の中でもよく取り上げられるテーマのうちの一つでもある。この映画でも例外ではないのだが、どちらかというと印パ問題の垣根を越えた形で、明るく問題に立ち向かっている映画。

映画を見ていてハラハラするくらい真っ直ぐで正直者のパワン。まあこれは映画だから良かったようなものの、現実世界にこんな人がいたらただじゃ済まないだろうな、と思った。でも、そのひたむきな感じが好き。

それと、この作品の骨子を支えている口を聞くことのできないシャヒーダー。この子が本当に可愛らしい。目に入れても痛くないくらい。首を振る仕草とか、なんか悪さしてもそれだけで許せてしまう。

インドとパキスタンは、今でも宗教の違いから互いにいがみ合っている。歴史を紐解くと何度も血みどろの争いを続けてきた。

でもみんながみんなそういった考えの違いに怒りを覚えているわけでもなく、みんな心の中では仲良くやれと思っているんだろうと思う。そのためにはきっかけが必要だ。宗教は特に無宗教が多い日本人からしたら理解できない世界だがそれでも心は痛むし、この作品のようにお互い普通に仲良くなれる日が来れば良いと思う。

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コロナで家にずっといると、どうしてもちょっとしたことで塞ぎ込みがちになってしまいそうになったのだけれど、インド映画はそのほとんどが最後はハッピーエンド。そして映画の劇中では、とにかく登場人物がド派手に踊りまくる。そしてそのダンスが、本当によくできている。見終わると、明日もなんかいいことありそうな気がする。

インド映画はどうしてもそれまでの歴史の中で、宗教がらみの問題が多かったりするのだけど、きっとそういったことも含めてインドの人たちが好きになること請け負います。ただ、実際にインドに行ってみると大変なことばっかりではあるが。

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