『秋を奏でる芸術祭』出展まとめvol.5
凍てつく寒さ、自転車に乗って平坦な道をすいすいと漕いでいるだけでも、指先が少しずつ熱を失っていく。もしもこの氷のような寒さが、私の体を芯から冷やしたならば、私が傾けかけている情熱も、あっという間に消えて無くなってしまうのだろうか。頭の思考が止まり、まともに考えることができなくなってしまう。麻痺していた。大切なものは、秋の季節に起き忘れてしまったらしい。
*
さて、先日から一定の周期でご紹介させていただいた『秋を奏でる芸術祭』に投稿いただいた記事たち。基本日曜日にご紹介をしていたのですが、yuca.さんとお話しして流石にクリスマスまで長引かせてしまうのはまずいですよね、という話になりまして。なんとかこのタイミングで最後に投稿いただいた記事のご紹介をさせていただくに至りました。
最後まで、本当に秋を楽しませていただきました。それでは早速、企画に投稿いただいた記事を紹介してまいります。
■【企画参加】本を読む秋の日 / 二ノ宮旬さん
初めに、私が驚いたのが二ノ宮さんが弱冠10歳だということ。もちろん、クリエイターには年齢なんて関係ないとは思うものの、私が二ノ宮さんと同じ歳だった時に果たして何をやっていたのだろうか。パッと頭を思い巡らせたけれど、残念ながら記憶を何処かにおき忘れてしまった模様。おそらく、赤とんぼを追いかけ回していた気がします。
さて、二ノ宮さんは将来的に漫画家になりたいそうで、今まですでにさまざまなイラストをnote上に投稿していらっしゃいます。なんて志が高いんだろう…私も、二ノ宮さんの年齢から夢に向かって何か行動していれば今とはまた違う未来があったのかな、と思ったりもします。
今回の記事の中では、水彩画に挑戦されていて、まさしく芸術の秋にふさわしいなと思いました。秋って、無性に新しいことに挑戦したくなる季節ですよね。私も、最近少しずつイラストを描き始めたので、どこかのタイミングでぜひ教えてほしいです。
■クリスマスに雪が降れば【800文字の短編小説 #10】 / 菅野浩二(編集者&ライター)さん
本当は自分を追い詰めても意味がないのに、それでも何かのせいにせずにはいられないことが、生きていたらいくつもある。あの時こうしていれば、この時こうしていれば。そんなものが積み重なって、過去に起きた出来事と直面しようとする。
そして、どうしようもなく追い詰められた時、人は自分が信じてやまないある意味自然超越的な存在に救いを求める。結果は、どうなるかわからない。でも大切なことは、きちんと自分には頼るべきものがあるという事実。それだけで、人は救われた気持ちになるのだ。
主人公が胸に抱く不安や焦燥感などが、きちんと空気を伴って感じることができました。記事を投稿いただきありがとうございます。
■おおきな夢みいつけた / すーこさん
ひょんなことから管理栄養士を目指すに至った主人公の、葛藤や試行錯誤が描かれている本作品。私は最初、読んでいる時限りなくリアルに感じて、これは筆者の方の実体験をもとにしたものなのではないかと思ってしまった。
実際は、実体験を聞いて自分で短編小説として書き上げたものだそうだ。なるほど、他の人の人生をこうしてまるで自分のことのように一つの物語として仕上げることに、尊敬の念を覚えた。私が知っている著名な作家さんも、インタビューをもとにテーマを練り上げるというから、同じ手法なのかも。
まるで葛藤する主人公と自分を重ね合わせるような文章でした。改めてその世界観に没入させてもらえて、感謝感激です。「小さな秋」に対して「大きな夢」を対比しているのも、なんかしみじみとしました。
■【企画参加】秋の歌をうたってみた話 / Miwa@毎日note570日目さん
わぁ、なんて渋くて郷愁的な歌声なんだろう。こんな感想を述べてしまうとMiwaさんに怒られそうだが、率直に最初歌声を聞いた時にそう思ってしまった。私自身は、悲しいことに神様から「あなたは歌を歌う人間ではないわ、諦めなさい」と言われて以来、ひたすら歌いたくても自重する日々。だから、こんなふうに自分の色を出して歌える人が単純に羨ましい。
冒頭お話しした通り、私はひたすら赤とんぼのしっぽをぐるぐる追いかけるちょっと変わった子だったので、その時のことを思い出して自分にMiwaさんの歌声を聞かせてあげたい気分になった。
改めて、秋に絡めた素敵な歌声を披露していただきありがとうございます。
■短歌のようなもの #11 / 菅野浩二(編集者&ライター)さん
これまで投稿している記事を拝見している限り、私は勝手に菅野さんは短編小説を書く人なのかな、と思っていた。それが本記事を拝見させていただいて、そのイメージがまたコロリと変わった。
小説とは違って、短歌は短い文章だけに、読んだ人に対して自分と同じようなイメージを与えることが難しいものだと思っている。それだけに、表現方法に関しても、かなりの鍛錬が必要だ。それを見事に、過ぎゆく秋に重ね合わせるように誰かの姿を想像させるような表現体に、ひどく憧れを感じた。
シンプルながらも、イメージが膨らむ。素敵な短歌を投稿いただき、誠にありがとうございました。
*
改めてこの場を借りて、たくさんの人たちに素敵な記事をあげていただき、ありがとうございました。もうすっかり寒さが際立つ季節になってしまいましたけれど、不思議と私の心はポカポカと暖かいです。それは記事を寄せていただいた皆様の、秋を想う気持ちに触れることができたからだと思っています。
今年の秋は飛び去るように、あっという間に過ぎ去ってしまいました。でもその代わりに軽やかな余韻を残していきました。来年はもっと素敵な秋がやってきて、私たちはああ心地よい風が吹いていると言って、爽やかな夜長に心をときめかすことでしょう。
次は、またきっと忘れられない秋になる。この企画に参加いただいた皆様も、読者として記事を読んでいただいた皆様も、一緒に本企画を楽しんでいただきありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
【yuca.さんのご紹介記事はこちら】
【過去の私の紹介記事はこちら】
末筆ながら、応援いただけますと嬉しいです。いただいたご支援に関しましては、新たな本や映画を見たり次の旅の準備に備えるために使いたいと思います。