EAPは本当に「復職支援」なのか ~ある休職者の感想 その2~

3つ目の医院で行っているリワークに通い始めてから、日中の思考の中心がそちらに向いている。

リワーク前は頭の大半を占めていたであろうEAPの存在感が、多少なりとも減ったのはいいことだと思っている。
それに復職できるかどうかの判断は、とりあえずは医院のリワークスタッフが下すことになっている。
これまではEAPに握られていたボールが、医院へとトスされた感じだ。

そういう状況だからか、引き続き行われるEAP面談も、そこまで苦痛ではなくなった。

=====

さて、今から1ヶ月くらい前だろうか。
「どうしてもリワークに行け、さもないと復職させない」というスタンスが見え隠れしていたEAPに嫌気がさし、「EAPは本当に「復職支援」なのか 〜ある休職者の感想 その1」というnoteを書き殴った。
今回はその続編である。

続編を書こうと思ったのは、「その1」が“悪いことづくめ”だったからだ。
良いことを全然書いていないのである。

そこで、(EAPを擁護するわけではないが)良かったポイントを、この「その2」挙げてみようと思う。
これには、どうしようもなく悩んでいる人の相談ルートを、完全に閉ざしたくないという意図がある。

なお、今回も予め断っておくが、このnoteは「その1」同様にあくまで個人の感想であり、今後感想が変化する可能性もある。
もちろん、過去にEAPを活用した方の中には、ここに書いたメリットを享受できなかった利用者もいるだろう。

=====

本題に入る前に、EAPについておさらいする。
とある書籍では、EAPは以下のように定義されている。

EAPはEmployee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略称です。
(中略)
このサービスでは、企業に対しては、職場組織が生産性に関する問題を提議することを援助し、社員に対しては、仕事上のパフォーマンスに影響を与えるさまざまな個人的な問題(健康問題、結婚・家庭問題、経済問題、アルコール・ドラッグ中毒、法的問題、対人関係、ストレスなど)を見つけ、解決する手助けをします。
- 「メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 公式テキスト Ⅱ種 ラインケアコース 第4版」より

入社したときに、人事や総務からEAPの連絡先が書かれた紙を受け取った人もいらっしゃるかと思うが、ここに電話すると様々な悩みを聞いてくれる。

炎上プロジェクトに巻き込まれて自分の体調がどん底になった時、医療機関の予約が取れずにEAPを頼ったのは「その1」で書いた。
メンタルクリニックは予約で一杯でなかなか受診できないことが多く、予約制でない医院も診察までびっくりするほど待つことがある。
そんな中でも、自宅近くの医院に予約をねじ込んで貰えたのは本当に良かったと思う。
ここは、EAPがその専門性とネットワークを活かした強みだろう。

最初に医療機関を受診した後、自分の場合は定期的に電話でEAPに状況報告を行っていた。
概ね1週間間隔だったと思う。

電話で一通り報告すると、EAPから今やるべきことなどがアドバイスされるのだが、休職したての頃は医療機関と同様に、全力の休養を勧められた。
この段階では電話で話しただけで会ったこともないから、こちらの様子はなかなかわからず、当然の対応であろう。
もう少し書くと、休職するのが初めての場合は、自分自身もどうやって休めばいいのかわかっていないため、「とにかく仕事と会社のことは何も気にするな」と言うことを会社に代わって伝えてくれた。
正直、会社から直接言われているわけではないので不安になるが、基本的にこの指示は信じてよい。
(ただし、自分は突然の休職だったため、丸1日かけて引き継ぎ資料を作る必要があった。動ける体力と気力があったからよかったが、多分医療機関&EAP的には非推奨だろう。)

休養が進むと、今度は復職に向けて動き始めることになる。
しかしながら、初めて休職する場合、そのあとどうすれば復職できるかといった情報は、全く持ち合わせていないことが多い。
現に、自分も休職とは無縁の人生だと思っていたので、就業規則やプロセスなどは全く知らなかった。

EAPは、そこに復職への情報とレールを示してくれる。
電話ではなく対面でのやりとりが始まるのも、ちょうどこの頃である。

まずは回復のために十分な休養が必要であること、徐々に体調が回復したら軽い運動や読書をすること、さらに回復したら図書館通い、もっと回復したら通勤訓練…といったように、段階ごとにその時やることを事細かに教えてくれる。
そして、1日1日何をやってどう過ごしたかを「生活記録表」なるスケジュール表のようなものに、休職した自分自身で記録していく。

回復具合は、面談時の話ぶりやこの生活記録表を材料として総合的に判断されるようだ。
個人的には休職時の振る舞いというのも、回復具合をはかったり復職への道を適切に歩む上で非常に大事であると、個人的には思っている。
おそらく、ここまで気が回らないうちは「休養のサイン」なのであろう。

また、自分は休職に入ってから、小説に加えてメンタルヘルス系の本を読み漁ったのだが、これはEAPの助言がきっかけとなった。
もちろん、ある程度体調が回復し興味が湧かないと難しい作業だと思うが、自分の場合は所属部署が“良くない労働環境”で社内で有名だったため、「どうしてなんだろう」「自分にできることはないか」という思いから興味を持って読むことができた。
「アサーション」や「マインドフルネス」という言葉を知ることができたのも、EAPのおかげである。

また、普段関わらない第三者の専門家から自分自身の評価を得ることができるのも、EAPの良いところだろう。
基本的に彼らは専門家なので、とりあえずはプロフェッショナルの1人から助言・意見をもらうことができる。
意見を咀嚼して今後の生き方に活かすことは十分可能だろう。

=====

以上、感想の“その2”として、良かった点を挙げてみた。
今後EAPを活用しようとしている方や、既にEAPとコンタクトを取った方の参考になれば幸いである。
なお、noteに書いた感想は、リワーク先でも振り返りの内容として徐々に話していくつもりである。

ちなみに、リワークが始まってもEAPからは逃れられなかった。
いや、半分そっちの道を選んだフシもある。
まだ少しだけEAPに何かを期待しているのかもしれない。
もしかしたら、こうやって自分を第三者的な視点から評価してくれる機関・人物は貴重な存在なのかもしれない。

#日記 #感想 #転職 #退職 #復職 #休職 #メンタルヘルス #うつ #鬱 #適応障害 #EAP #従業員支援プログラム

もし気に入っていただけた場合はサポートしてくださると嬉しいです。妻への感謝代、娘の養育費や自分のお昼代などに活用いたします。