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映画「HOMIE KEI ~チカーノになった日本人~」を観てきた(※2019/5/4 追記あり)

今日は昨日観てきた映画「HOMIE KEI ~チカーノになった日本人~」について書こうと思う。

KEIとは

まずはこの映画の主役であるKEIさんと、あらすじのシェアから。

1961年東京生まれ。ヤクザ時代にFBIのおとり捜査で捕まり、米刑務所・拘置所を合わせ10年以上投獄される。ただ一人の日本人として、徒党を組まず暴れまくるも、刑務所内でチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人との出会いによって人生の価値観を大きく変えた。

出所・帰国後はファッション、タトゥー、書籍、コンピレーションCD、DVD、映画などの幅広いプロデュースで、湧き上がるチカーノ・ブームの象徴的存在に。また、米刑務所内でカウンセラーの資格を取得し、ボランティア団体「Good-Family」を設立。現在運営するマリーナ「HOMIE Marine CLUB」では悩める子供・親たちが集まる。

著作【チカーノになった日本人 KEI(東京キララ社)】では口コミだけで1万部以上のベストセラーを達成させ、現在も増刷が続いている。近年では【アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人(東京キララ社)】を上梓。そして6年以上に及ぶ密着ドキュメンタリー映画【HOMIE KEI~チカーノになった日本人~】の公開を控えている。

あらすじ

親の愛を知らずに育ち、子供の頃から歌舞伎町で喧嘩にあけくれたKEI。そんな男が現代の非行少年少女を救う。アメリカンギャングを救う。

チカーノラップ、チカーノファッション、ローライダー、タトゥー。

家族と仲間を守るため、純愛心が国境を越える!

親からの教育も学校教育も受けなかった。世の中の法と秩序を守るわけでもなく、自己を全うして生きてきたKEI。そんなKEIが行き着いた所は、アメリカ刑務所だった。マイノリティどころではない、塀の中で日本人はたったの一人。まさに天国という所があるのであれば、ここは地獄。弱き者は容赦なくヤラれる場所。

KEIは言う「喧嘩で負けても、殺されかけても『御免』は言えない」

この生き方を全うしたものだけが地獄から這い上がることを許される。アメリカ刑務所の中でKEIはたった一人で最期の最後まで人に媚を売らず、死を覚悟して自己を全うし続けた。そしてKEIは無事12年間のアメリカ刑務所生活から日本に奇跡の生還を遂げる。

子供の頃から天涯孤独に生きてきたKEIは、家族愛を知らなかった。だから、そんなKEIの命を賭けた無謀な男気が、チカーノというアメリカで最強最大のギャンググループから信頼を得ることになる。メキシコ人の血100%プュアブラッドしか仲間に入ることのできないチカーノギャングの世界。その世界にKEIが仲間として受け入れられた。まさに奇跡が起こったのだ。そしてKEIは地獄から這い上がる。真の家族愛・仲間愛に守られて。

出所後、帰国してKEIはまず母親との絆を修正し、自らの家族愛を取り戻す。

そして引きこもりなど問題を抱える少年少女を救済する団体「HOMIE Marine Club」を立ち上げ、現代社会へ一石を投じようと試みる。この映画はそんなKEIの蘇生復活を遂げる半生を映すドキュメンタリーである。KEIの人生を通して仲間とは何か? 家族とは何か? 人とのつながりとは何か?を問いかけるドキュメンタリー映画です。

知ったきっかけ

そもそも僕がKEIさんを知ったきっかけは本だった。
たまたま本屋をウロついていたら、目に止まったのがこの本。

マフィア・ギャング映画が大好きな僕は、表紙を見た瞬間すぐに興味を持った。本を手に取ると、対して内容も確認することなく、そのままレジに持って行ったのを覚えている。内容はとても読みやすく書かれている一方で、とても刺激に満ちており、買ったその日のうちにすぐに読み終わってしまった。

その後、KEIさんはクレイジージャーニーだったり、BAZOOKA!!などのメディアにも出演するようになり、少しずつ認知度も上がっていったように思う。こんな壮絶な人生を送った人なので、さぞ怖いオーラが出ているのだろうと番組を見てみると、実際はとても静かで、穏やか。どこか知的な雰囲気も感じられ、そのギャップにはとても驚かされた。

(でも、実際こういう人を怒らせるのが一番怖い、、、)

そんなKEIさんの映画ということで興味が湧かないわけもなく、早速彼の映画を観てきた。

ここからは僕が映画を観て、感じたことについて書いていこうと思う。

当たり前がなかったから、絆が生まれた

映画の中でKEIさんは、歌舞伎町で少年ヤクザをやっていた頃「仲間のことを本当の家族のように思っていた」と言っていた。自分が惚れ込んだ親父についていき、そこで出会った兄弟分に何かあれば、すぐに助けに駆けつけるような、そんな関係性があの時代にはあった、と。

で、僕が思ったのは、KEIさんが仲間とそのような繋がりを作ることができたのは、自分に「本当の家族がなかったから」なのではないか、と考えた。温かい家庭で育ってこなかったことの裏返しのように、似た境遇同士がお互いにどこか惹かれ合い、繋がっていったのではないかと。ずっと欲しかった「家族の温かさ」をそこで補填するかのように。

同じようにチカーノの人達も仲間を心から大切にしている。まるでそこに自分が何人もいるかのように。「仲間に起こることは自分毎として」考え、行動している。そんな彼らにも歴史を振り返ると「差別、人種分離、暴力」といった「虐げられてきた過去」があった。だからこそ彼らは団結し、仲間意識を持ちながら、一緒に強く生き抜いてきたのではないだろうか。

KEIさんもチカーノの人達も、国籍も違えば人種も違う。でも「当たり前がない中でも、強く生き抜いてきた」両者だからこそ、お互いどこか似たものを感じ合い、垣根を超えた強い絆を生み出すことができたのではないのだろうか。

僕は社会に出てから、綺麗事を言いながらも結局は「自分が全て」みたいな人をたくさん見てきた。だから、こういう心から信頼しあえる仲間だったり、損得なく付き合える関係性をとても素敵だと思うし、羨ましいと思う。

でも、彼らの背景にある生い立ちや歴史を鑑みたとき、同時に悲しく、少しやりきれない気持ちにもなった。

生き残るために本気で学ぶということ

ずっと日本で生まれ育ち、英語は全く話せない状態にも関わらず、いきなりアメリカの刑務所に入れられてしまったKEIさんは、そこで生き残るために英語を必死に学ぶ。

そのやり方というのがとても印象深かった。まず、テレビで放映されている映画を集中して観て、よく出てくるフレーズだったり単語を「カタカナで」メモする。次に部屋に帰ってから、チカーノの仲間にそのカタカナを読み聞かせ、彼らに書き起こしてもらい、その単語を辞書で調べ、覚える。

実際、刑務所内では教科書に書いてあるような単語は一切使われなかったという。仮に使ってしまったものなら、一気に舐められてしまうのだと。だからKEIさんは、実際に生活の中で使われるようなフレーズに着目し、集中して学んだのだという。

映画の中でKEIさんがチカーノの仲間と会話しているシーンがあるのだけど、何の違和感もなく普通に英語で話し合えていた。これは本当に素晴らしい学び方だと思う。

僕はどうも形式張った勉強をしてしまい、役に立たない無駄な知識を詰め込んでしまいがちなのだけど(もちろん基礎が大切なのはわかっているけれど)、KEIさんのような実学主義のもと、生きる力を身につけていくやり方を聞いて、これからの予測不可能な時代を生き抜く上でとても参考になると思った。

「変わる」というより「変わり続ける」

最後にこの映画が問いかけようとしていることについて。

この映画は、あらすじにもあるように「人との繋がりは何なのか」を問いかけるものだと思う。そして、もう一つ考えるきっかけをくれるのは、(人との繋がりを通じて)「人は変われるのか」というテーマだ。

KEIさんはきっとチカーノとの出会いを通じて変わったのだと思う。でも、それは終わりのない旅のようなもので、「これからも変わり続けないといけない」のだと思う。ヤクザを辞めたから「変わった」訳ではなく、これからも生き方を変え続ける必要がある。そのために、KEIさんは今も闘い続けているのではないだろうか。

人は変われる。でもそこに終わりはなくて、選択を迫られるような分岐に立たされるたびに、自ら生き方を選び、決断し続けないといけない。今「変われた」としても、次また「変われるか」はその時の自分次第。ブレずに変わり続けるには、強い決意と覚悟が必要になると思うし、それを支えてくれる「人との繋がり」があるかどうか、が大切になってくるのだと思う。


この映画は都内だと渋谷のみで上映されており、1日1回、それも21時過ぎからの開始となるので、遠方の人には少しハードルかもしれない。もしこのnoteを読み、興味を持ってくれた方は是非一度観て欲しいし、感想を聞かせて欲しいと思う。

(ちなみに私はKEIさんとは何の面識もありません。)


追記(2019/5/4_09:00)

朝、寝ぼけ眼をこすりながらTwitterを開くと、なんとKEIさんがこのnoteを紹介してくれていた。(ありがとうございます!)

この映画は「今時点では渋谷のみ」で公開されていますが、今後は全国で随時公開されていきます。僕の書き方が語弊を招く可能性があったので、ここに情報を追記させていただきます。大変失礼いたしました。

サイトより転用します。(情報は2019年5月4日時点のものです)

上述のサイトやKEIさんのTwitterをフォローすれば、映画の最新情報を入手できるので、よろしければそちらもご覧になってください。


(ちなみに私は映画会社の回し者でもありません。)


※出典


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