私事性的画像被害に係る犯罪(リベンジポルノ等)
「リベンジポルノ」って聞いたことありますよね。
警察庁が発表した令和5年中のリベンジポルノに関する統計を読み解きましょう。
|「リベンジポルノ」とは
リベンジポルノは、別名「復讐ポルノ」とも呼ばれている犯罪行為なのだ。元配偶者や元恋人とのポルノ画像・動画等を撮影対象者の同意なくリベンジ(復讐)目的で拡散等する行為と定義している。
いわゆる自画撮り画像等の被害でもある。
スマホが普及し、SNS等の利用が当たり前となったことで、この種の被害が増えているのだ。
|リベンジポルノに係る法律の名称と概要
○ 法律名
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
(平成26年法律第126号)
○ 概要
私事性的画像記録(しじせいてきがぞうきろく)については、以下の①~③の電子情報(いわゆる電子データ)のことをいう。
① 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
(例)異性間・同性間の性交行為、手淫・口淫行為など
② 他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
(例)性器、肛門又は乳首を触る行為など
③ 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されるものであり、かつ性欲を興奮させ又は刺激するもの
(例)全裸又は半裸の状態で扇情的なポーズをとらせているものなど
なお、私事性的画像記録物(しじせいてきがぞうきろくぶつ)とは、上記①~③を撮影した画像を記録した有体物(写真、CDロム、USBメモリなど)のことをいう。
○ 罰則
☆公表罪
第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私事性的画像記録(物)を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者
⇒ 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
☆公表目的提供罪
公表させる目的で、私事性的画像記録(物)を提供した者
⇒ 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
|私事性的画像に係る事案の相談等件数
警察庁発表の「令和5年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」によると、私事性的画像に係る事案、つまりリベンジポルノに係る事案に関する相談件数が1,812件と、相談件数は平成29年以降継続して増加し、法改正後最多となった。
|相談等内容
相談等の内容をみると、「画像を所持されている、撮影された」(769件)、「画像を公表すると脅された」(676件)が多い。
|被害者の性別・年齢
被害者は、女性が84.3%を占めているが、男性も15.7%となっているが、男性被害者の占める割合が令和元年の約2.4倍に増加している。
被害者の年齢層別では、20歳代(740件、40.8%)が最多、19歳以下(558件、30.8%)の被害も多い。
|加害者の性別・年齢
加害者は、男性が多く75.8%を占めており、女性が5.8%となっている。
加害者は20歳代(491件、27.1%)が最多、19歳以下(257件、14.2%)、次いで30歳代(241件、13.3%)がとなっている。
|被害者と加害者の関係
被害者と加害者の関係では、「交際相手」(880件、48.6%)が最も多く、「知人友人(ネット関係のみ)」(383件、21.1%)となっており、交際相手だけではなく、ネットのみの知人・友人に送っている例が多いという実態をかいまみることができる。
なお、相談内容は、「画像を公表すると脅された」、「撮影された画像を所持されている」、「画像を送りつけられた」、「画像を公表された」などであり、恋人やネットで知り合った知人・友人に送った裸の画像等は、公表されたり、脅しに使われることが多いということである。
恋人のお願いを聞いてしまうことが多く、恋人に撮影されるケースも少なくない。
しかし、別れた後はこのような写真がリベンジポルノに悪用されることがある。
|私事性的画像に係る事案の検挙状況
私事性的画像被害防止法違反の検挙は、令和5年は62件(前年比+1件,+1.6%)と法施行後最多。
私事性的画像に係る事案に関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は253件(前年比+40件,+18.8%)と前年より増加し、過去最多。
このほか、被害者への防犯指導・助言、画像の削除を含む加害者への注意・警告等を行っているということだ。
|検挙罪種別
罪種別でみると脅迫や強要、名誉毀損などの刑法犯が多く、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの特別法違反も多い。
また、私事性的画像被害防止法違反としては62件検挙されており、令和元年以降増加傾向であり、昨年が最多になってる。
事例として多いのは、SNSで知り合った相手と親しくなり、性的な写真を送った後、脅迫される例だ。
相手をブロックしたりしても、写真は相手のもとに残っており、転送されたり、インターネット上で公開されてしまうリスクが残る。
顔が写っている写真の場合、公開されて知人に見られる恐怖はとても大きくなるのだ。
|撮影しない、送らない
そもそも撮らないことだ。
過去には友人のアカウントを乗っ取り画像を送らせたという事案もあったがLINSやSNSなどを通じて送らないことが大切という。
一度送ってしまうと、画像をネット上に公開され拡散され、なかなか削除しようにも残ってしまい全てを削除できなくなるリスクがある。
たとえ信頼できる相手にでも、裸の写真は撮らない・送らないことが大切だ。
スマホの使用が低年齢化していることから、子どもたちにもしっかりとこの種のリスクと対策を伝えてほしい。
|削除依頼ができる
以前の記事にも書いたが、インターネットで公表されてしまった画像等は、プロバイダー等を通じて削除要請をすることができる。
拡散防止のためには、早急に公表された画像等を削除することが重要なので、出来る限り早く最寄りの警察署等へ相談すべきだ。
もし画像を送ってしまいインターネット上に公開されてしまった場合でも、画像を削除してもらえる可能性がある。
諦めずに相談してみてほしい。
|被害に遭わないために!!
性的画像に関する被害として、裸の画像をインターネット上に掲載されたり、メールやコミュニケーションアプリによって多数の人に拡散されたりといった事案が実際に発生している。
被害防止のためには以下のことを実践することだ!
○ 「だめ」、「嫌だ」といってきっぱりと断る!
交際上のトラブルが発生した場合に、こうした画像が悪用されるおそれがあり、実際に事件に発展している例もあるので、知り合いであってもきっぱりと断ることだ。
○ 「お前の裸の画像を持っている」、「ネットにバラまかれたくなければ言うことを聞け!と脅されたら・・・
→ すぐに警察等に相談!
※ まだ性的画像が公表されていなくても、性的画像について不安にさせるような言動があった場合には、すぐに警察等に相談すべき!
○ 相手からの着信履歴、送られてきたメール等は必ず保存し、消さない。
一度公表されてしまうと、被害が大きくなる。
一人で悩まずに、早期に警察等に相談することが非常に重要。
※ 警察では、最寄りの警察署のほか、リンクにある各相談窓口でも相談を受け付けている。
○ 万が一、ネット上に画像を掲載されたら・・・
ネット上に画像を掲載されたら・・・→できる限り早く削除要請することだ!
画像を掲載された場合、違法性が明らかな場合やプロバイダ等が権利侵害を判断できる場合には、即時に削除される。
画像等は拡散されるので、できる限り早く削除要請をすることが必要だ。
そのためにも、すぐに警察等に相談することが肝要だ。
|最後に強調したいこと
SNSなどで知り合った相手に性的画像を送るのもやめよう。
最終的に泣くのは送付したあなただ!
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