2020年1月の記事一覧
『サスペリア』(2018) 「クローゼット」が同性愛であることを隠しているメタファーであると気が付くかどうか
in the closetがLGBTであること隠している暗喩であるのを知らない映画評論家の解説を聞いても無意味。主人公が同性愛だと気が付かないと理解が難しい、魔女社会をLGBTコミュニティーのパラレルとして描いた作品。
一般の映画ファンでも、雰囲気からなんとなく同性愛映画と感じている方も多いようだが、はっきりと指摘している日本の映画評論家はいないようだ。これでは解説にも考察にもならないだろう。
『ウインド・リバー』(2017) テーマは良いが、低評価する人がいるのも理解できる
〈物語の核心や結末に関する記述あり〉
テーマは良いがケーブル/ウェブTVのミニ・シリーズにしたほうが良かったかもしれない。
全体としてやや説明不足な感もあり、終盤の病室のシーンやフェイス・ペイントした被害者の父親などは、監督の思い入れがあるのだろうが、107分では足りなかったのではないか。特に日本人からすると分かりにくいところも多い。
主人公の元妻がジャクソンに面接に行くと言っていたのは、カジノ
『ハンナ』(2011) 『白雪姫』と『不思議の国のアリス』のオマージュ映画
プライム・オリジナル・ドラマ『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』がリリースされ、それに合わせて映画版もプライム無料入り。今になってあらためて観直してみると、『ダウントン・アビー』のミシェル・ドッカリー(2010年9月に放送開始されたダウントン・アビー撮影開始直前の撮影か?)や、『ファントム・スレッド』のヴィッキー・クリープスが出演していてビックリ。
どちらもまだ未観賞という人は、どちらを先に観るか
『トランス・ワールド』(2011) 金庫はnowhere(実在しない場所、どこか分からない所)への入り口?
(物語の核心と結末に関する記述あり)
いろいろな映画やTVドラマの影響が感じられるが、全体としては『素晴らしき哉、人生!』や『天使のくれた時間』の逆ヴァージョンといったところだろう。サマンサが娘を出産して命を落とすというのは『スウィッチ/素敵な彼女?』の影響が伺える。終盤で感じたのはドナルド・P・ベリサリオ製作の 『タイムマシーンにお願い 』のオマージュ。
『ドニー・ダーコ』の主人公は、ガールフレ
『ビューティフル・デイ』(2017) 引きこもりでないノーマン・ベイツ
『タクシー・ドライバー』『イコライザー』 『レオン』あたりがよく引き合いに出されるが、まったく違う。本作品は『サイコ』のような心理スリラーだ。
主人公ジョーの心の闇は『サイコ』のノーマン・ベイツ級である。母親がTVで『サイコ』を観ていたというシーンでは、壁に鳥の画が掛けてある。ヒッチコックへのオマージュだ。
「このシーンは偶然付け加えただけだ」という監督のインタヴューがあるのだが、これもイギリ
『テイキング・チャンス』(2009) ストローブル海兵隊中佐の日記に基づく実話
ストローブル海兵隊中佐が、戦死者の遺体を故郷へと移送する任務中につけていた日記を、後にエッセイとして発表、それを映画化した作品です。
ケヴィン・ベーコン演じる劇中のストローブル海兵隊中佐の経歴(17歳で入隊、湾岸戦争に従軍など)も事実に即しています。仕事を選ばない俳優の一人であるケヴィン・ベーコンですが、本作での演技は素晴らしい。
有料放送局の作品にもかかわらず血生臭い描写はほとんど無く、台詞や
『トゥループ・ゼロ〜夜空に恋したガールスカウト〜』(2019) 『がんばれ!ベアーズ』以来の感動コメディの傑作
日本ではキッズ向け映画と誤解されてしまいそうだが、女の子版『スタンド・バイ・ミー』(1986)といったところの、むしろ大人向け映画(お子さまが観ても問題は無いと思うが、理解できるか、楽しめるかは別)。
主演のマッケナ・グレイスは、『gifted/ギフテッド』(2017)の主演、同年の『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』ではトーニャ・ハーディングの子供時代を演じ、今アメリカで一番注目の子役と
『ザ・レポート』(2019) 『大統領の陰謀』以来のポリティカル・スリラーの傑作
事実に基づいたポリティカル・スリラー。主人公のダニエル・J・ジョーンズは実在の人物。
THE TORTURE REPORTのTORTURE(拷問)の部分を塗りつぶしたTHE REPORTがタイトル。上院情報問題特別調査委員会のCIAの拷問に関する報告という、CIAによる「拘留」と「尋問」についての調査報告書からきている。
主演はスター・ウォーズ・シリーズ新3部で知られるアダム・ドライヴァー。助演